夭折の作家・深津篤史の作品を集めた演劇祭
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深津篤史(深津篤史コレクション宣伝チラシより)
人間たちの孤独を描き続けた深津の世界を、今一度舞台に立ち上げる。
2014年に肺小細胞ガンのために46歳の若さで逝去した、大阪の劇団「桃園会」主宰で作・演出家の深津篤史(ふかつ・しげふみ)。彼の作家のワークの数々を収録した「深津篤史コレクション」全3巻が、命日にあたる7月31日に刊行されるが(こちらの記事を参照)、それと連動して、今年9月~2018年3月にかけて「深津演劇祭」が開催されることになった。
桃園会を始めとする東京・東海・関西の11団体が、コレクション収録&未収録に関わらず好きな深津戯曲を演出・上演するという企画。第42回岸田國士戯曲賞受賞作品『うちやまつり』などの代表作と言えるものから、劇団創成期の知られざる戯曲まで、様々な作品がピックアップされた。参加団体の方も、劇団太陽族や遊劇体など深津とは共闘関係にあった同世代の劇団から、空の驛舎や虚空旅団のような「深津チルドレン」と言える劇団まで、いろいろな年齢層&演出スタイルの団体がそろっている。その中でも特に、桃園会メンバーたちが深津の言葉をコラージュした新作に挑む『ふっと溶暗~断章・ふかつしげふみより~』は、深津&桃園会のファンには待望ともいえる舞台になるだろう。また東京からも、燐光群の参加が急遽決定している。
「深津演劇祭」第一弾は、はしぐちしんが主宰するコンブリ団『カラカラ』。演出は岐阜の劇団ジャブジャブサーキットのはせひろいちが務める。
桃園会のサイトに掲載されている「個人は一個の生き物として孤立している。ただ個人はそれを理解できないし、理解しようとしないゆえに孤独であり、だからこそ関係性を求める」との言葉通り、現代社会における様々な(主に負の感情に満ちた)関係性を描いてきた深津。ワンシチュエーションものから、時間軸を組み替えた実験的なものまで、その語り口は意外とマイナーチェンジを繰り返していた。しかし一見静かだけど、底の方で何かが熱くたぎっている…さながらいつ噴火するかわからない休火山を観察するかのような緊張感の中で、人間の孤独とほのかな希望を見せていくという姿勢は不変だった。できれば作品集と合わせて、彼が生涯をかけて描こうとしたモノ/変えようとしたモノを、ぜひ感じ取ってもらいたい。そして誰もが口をそろえて「手強い」と言う深津の紡いだコトバを、手練の演出家たちがどのように立体化していくかを、ロングスパンで確認してほしい。
『壁の中の鼠』
2016年10月7日(金)~11日(火) アトリエ劇研
『五軒町商店街寄合会』 ※コレクションⅢ収録
期間・会場:未定
『演目未定』
期間・会場:未定
『blue film』 ※コレクションⅡに収録
2018年1月17日(水)初日予定 アートグラウンドcocoromi
『うちやまつり』 ※コレクションⅠ収録
期間・会場:未定
『湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土日除ク)』
期間・会場:未定
特製函入り3巻ボックスセット(事前予約のみ)8,300円 ※すべて税別