初のベスト盤発表&地元野外ワンマン決定!! WHITE JAMが語る、現在、過去、そして新展開 <前編>

インタビュー
音楽
2016.9.1
WHITE JAM 撮影=kazuyatanaka

WHITE JAM 撮影=kazuyatanaka

インディーズ時代からSNSツールやYouTubeなどでその名を全国へと轟かせ、2014年のメジャー・デビュー以降も既存の音楽業界の枠にとらわれない活動を続けるWHITE JAM。泣き歌アーティストとして感動をもたらす反面、メッセージ性の強い楽曲で賛否両論を呼び、渋谷のカリスマとして人気を博しがらも実は全員関西人という、どこまでも一筋縄ではいかない3人。そんな彼らのキャリア初となるベスト・アルバム発売と地元野外ワンマンの開催が決定した。詳細未定の強行インタビューだったものの、近況やこれまでを振り返りつつ、その最新情報と現在進行中の企みまでを語ってくれた。

――5月末にスイスで開催された『アニメコンベンションJapAniManga Night 2016』に出られたそうですが、いかがでしたか?

SHIROSE:海外でのライブは初めてだったんですけど、すごくあたたかく迎えていただいて。「咲かないで」を歌ったんですけど、外国人の方が片言ながらも一緒に歌ってくれていて。なんか伝わってるんだな~って嬉しくなりました。

GASHIMA:最初はやっぱり勝手が違うのかな~とかいろいろ考えてしまったこともあったんですけど、いざステージに上がってみたら、音楽が好きであるとか、楽しいっていうことは万国共通的だなと思いましたね。いつものライブって感じですごく楽しめました。

NIKKI:日本の文化が好きな人が集まってたんで、それであたたかかったというもあると思いますが、“イイ”って感じたら反応も早くて、CDも欲しいと思ったらすぐに並んでくれるし……素直な人達だなって。泣いてる人もいたり、楽しさを全身で表してくれている人がいたり、表現がダイレクトで新鮮でしたね。

――どういう経緯でフェスに出ることになったのでしょうか。

SHIROSE:スイスの大使がYouTubeで僕たちの「ウソツキ」を見て、好きになってくれたみたいなんです。それでイベントを開催するというので、オファーをいただいて。

――今後も海外で活動してみたくなりました?

SHIROSE:元々僕たちの曲の半分ぐらいはヨーロッパで作っているんで、向こうに行くこと自体は頻繁にあるんですよ。そうやってヨーロッパで作った曲を今回その場所で披露することができて、本来あるべき姿……じゃないですけど、そこで作った曲なので伝わりやすいのは当然かなとも思っていて。だから、またライブしたいなって思いますね。

――このあと“作曲ツアー”で海外を廻ると伺ったのですが、この作曲ツアーというのは?

SHIROSE:年に2回くらい時期を決めて曲を制作する期間があるんですよ。スウェーデンとかフィンランド、イギリス、デンマークとかヨーロッパを中心に。L.A.とかにも行くんですけど、そのツアーがこの夏と秋にもあるんです。僕、色んなところに行って曲を作るのがすごく好きで。

――ライブをするツアーではなくて、作曲をするために海外を廻るってことですか?

SHIROSE:そうですね。ほとんど僕ひとりで行くんですけど。

――海外で曲を作るのは日本で作るのとは違うものですか?

SHIROSE:全然違いますね。国によって音楽の価値観が違うじゃないですか。だから作り方や感じ方、聴き方も違うし、音楽で何を言うか、何のために音楽があるかが違いますからね。

――確かに、音楽が生活の一部になっている国の人もいます

SHIROSE:そういう国の人もいれば、祭りみたいなのがあって、その祭りのために音楽を作っている人もいて。音楽がそれぞれ何かの役割になっているんですよね。その役割が国によって違ったりするんです。で、僕が曲を作る場合、一応世界中の作曲家たちが集まるキャンプみたいなのに参加してるんですね。なので、色んな国の色んな作り方をする人が集まって、美味しいものを食べながら作るので楽しいですよ。

――それはみんなで一緒に作るんですか? それとも個人で作ったものを披露し合うとか?

SHIROSE:数十人の作曲家が参加してるんですけど、大体グループ化して最終的に2〜3人で作ることが多いですね。そのキャンプで15曲ぐらい作ったりします。それは自分で歌う曲もあるし、他の人に提供する曲や、中には海外のアーティストのために作ったりもするし、色んなパターンがありますね。

――作曲のクレジットにエリック・リボムの名前があるのはそういうことだったんですね。

SHIROSE:彼とは僕が作曲を始めた頃からの仲ですね。今でこそ彼は日本やアジアのチャートで1位になってる作曲家ですけど、お互いに芽が出る前からの付き合いで。すごいストイックな奴なんですけど一緒に作るのが楽しくて。先月も一緒でしたね。

――その作曲ツアーと並行してHIP HOPコレオグラフ(振付け)の基礎も学びたいそうですね。

SHIROSE:それはイタリアで、なんですけど。世界中から……例えばアメリカとかスウェーデンとか、色んな国からそれぞれの地元で流行っているコレオグラフを持って来て、それを出し合うというキャンプがあるんです。僕自身、世界観というか、演出とかコンセプトがあってそれを曲にすることがあったり、ダンスやステージ構成から曲を作ったりもするので、まぁ、一度行ってみようかなと。

――キャリアを積んでも、まだまだ勉強したいと。

SHIROSE:僕は意味とか歴史が好きなんですよ。YouTubeなんかで見て、それっぽいことを簡単にやろうと思ったら全然できる時代だと思うんですけど。でも本質というか、それを通してどうやって遊んでるのかとか、それが出来た過程とか理由みたいなことを知りたいので、勉強というより楽しみのひとつですね。

――お二人は一緒に?

GASHIMA:はい、僕は一緒に行きます。

NIKKI:私は行かないんです。やることが多いんで(笑)。

――NIKKIさんはその間、何を?

NIKKI:自分たちで会社をやってますので、基本的にマネージメントの業務をやってます。

SHIROSE:僕の会社です。

――で、ベスト・アルバムをリリースされるということなのですが、現時点(6月末)で詳細はまだ未定ということで…….。

SHIROSE:ただ、これだけは言えますけど、新曲が多いんですよ。

GASHIMA:うん、ベスト・アルバムと言いつつ。

SHIROSE:ベストアルバムってこれまでの総まとめでもあるんですが、“ベスト”っていう意識でもあって。もちろん、今までのリード曲「咲かないで」「ウソツキ」「夏なんて」「Valentine」といったシングルに収録されている曲は入れて、「これがWJのすべてだ!」みたいな意味合いでも出すんですけど、やっぱり新しい一面も見せたいというか。これを皮切りに始まるぞ、という意味も込めていて。すごい面白い新曲を収録しています。

――どうしてこのタイミングでベスト盤をリリースしようと?

SHIROSE:えっと……特に意味はないんですけど(笑)。

――シングルは全部入るようですが、新世代の卒業ソングとして話題の最新シングル「咲かないで」が映画『泣き虫ピエロの結婚式』(9月公開)の主題歌にも決まりましたね。これはインディーズ時代からある曲なので、映画関係者の方が気に入られてのお話ですか?

SHIROSE:そうですね、2013年頃に作った曲なので。でも今回、主題歌の話を受けて、自分の感じた思いを歌詞に込めたりもしたんで、相思相愛的な感じになってます。

――新たに歌詞を書き変えて?

SHIROSE:そうです。元々の曲は僕が中学生ぐらいの時に書いてた日記を元に作った曲なんですが、それを気に入っていただいて。自分でも映画を観て、感じたことも入れつつ……でも「咲かないで」の歌詞自体、もうすでに何パターンもあるんですよね。

――そう言えば、「Valentine」もインディーズ時代からあった曲で、伝えたいことは変わらないけど詞がどんどん変わっていって、メジャー・デビュー時に完成形になったと。

NIKKI:そうです、そうです(笑)。

SHIROSE:そういう意味ではベスト「咲かないで」が収録されるんですよ、ベスト・アルバムに。

GASHIMA:それぞれ全部ベストですね。

――何だか複雑な状態に(笑)。でも「咲かないで」が映画の主題歌に決まって、SHIROSEさんがTwitterで「また夢がひとつ叶った」とつぶやいてらっしゃいましたが、やはり多くの人に届けられるのは嬉しいですね。

SHIROSE:そうですね。試写会があって、大きな映画館の真ん中で、ほぼ僕ひとりの状態で観れたんです。で、映画を最初から最後まで観てて、最後に曲が流れるんですけど、やっぱりすごい感動したんですよ! 作品自体がすっごい良くて、映画館で観て欲しい映画ですね。

NIKKI:うん、そう。私、実話の映画が好きなんですけど、これも実話の物語で。WHITE JAM(以下、WJ)の音楽も実際にあったことが曲になってることが多いので、感じるところがあったというか、色んな意味で鳥肌が立ちましたね。

GASHIMA:僕も観たんですけど、相思相愛的に作ったとは言え、やっぱり「咲かないで」は卒業ソングのイメージが強くて。映画は卒業を題材にしているわけじゃないから、作品の中でどう聴こえるか気になっていたんです。実際に映画を観たら、別れっていう意味では一緒なんだなって思って。でもやっぱり映画を観ると全然違うように聴こえますね。だから「咲かないで」を知っている人にも、改めて映像と一緒に観て欲しいですね。

――そして『WHITE JAM 初の地元野外ワンマン~ベストアルバム発売感謝祭 in 大阪~』と銘打ったライブも決まっています。

SHIROSE:僕ら3人とも関西人なんですよ……あんまり知られてないんですけど。兵庫(GASHIMA)、京都(SHIROSE)、大阪(NIKKI)で。でも、今まで地元であまり大きなライブをやったことがないので、ベスト・アルバム出すからちょっとやってみようかなって。

――東京で結成されているし、インディーズ時代にリリースした『渋谷クラシック』に「東京」って曲があったり、どちらかというとそちらのイメージが強いのですが、地元=関西に対してどう思われているのでしょう。

SHIROSE:そう、どちらかというと東京のイメージですよね。地元への思いとか言われるとよくわからないですけど、いつもツアーのファイナルを東京でやるんですよ。だから、おばあちゃんを呼べなくて。遠いから来られないじゃないですか。一度おばあちゃんに見せてあげたいなと。

GASHIMA:僕は小学校の時しか日本に住んでないんですよ、ずっとアメリカで住んでたんで。でも、小学校時代の地元の友達とは今でも仲が良くて。「咲かないで」の歌詞は、実は小学校を卒業して同級生の中で僕ひとりだけアメリカに行かないといけなかった時のことを思い返して書いたんです。その曲が色んなところでかかってくれたことで、最近、音信不通になっていた友達が連絡をくれたり、大好きだった担任の先生とも連絡が取れたり、地元の友達とこの曲をきっかけに繋がることができたんです。みんなテレビを観てくれたりして。そんな当時の仲間に、もう15年以上も会ってない人もいるけど、ライブをしているところを観てもらいたいなっていう気持ちでは、今回地元でやれるのが、このタイミングで良かったかなって思いますね。

NIKKI:私はそんなに地元とか気にするタイプではないんですね、正直。でも活動してるなかで、大阪や関西方面の方々がすごく誇りに思ってくれているみたいで。私たちが関西でライブをやると「地元のアーティストやから観に来た」っていう人がいてくれたり、「戻って来てくれてありがとー」みたいな空気をすごく感じるんですよ。だから今回、野外ライブは初めてなんですけど、関西でできることは嬉しいですね。

――野外が初めてということですが、どうして野外で?

SHIROSE:それはテンションが上がるからです!(笑)

――野外の印象があまりなくて。どちらかというとライブハウスとか屋内の感じが。

SHIROSE:そうですね、僕らライブハウス出身のアーティストなんで。

――あっ、でも元々はストリート・ライブをやっていましたね。

SHIROSE:そうです!

GASHIMA:今でも学園祭とかフェスとかで野外ステージで歌ったりする機会があるんですけど、外で歌うの好きなんですよね。人間って視覚と聴覚だけじゃないじゃないですか。その時の気温だったり風の感触だったり、それが全部記憶に残る気がして。

――そのストリートから始まって、今は何千人っていう人を集められるようになったという実感はありますか?

SHIROSE:う~ん、別に……。単純に野外だからテンション上がるなとしか思ってないですね。

――お客さんの数は気にしない?

SHIROSE:いや、5人とかだったら困りますけど(笑)、最低限は来てくれると信じているので。

――例えばアリーナでやりたいなとか。

SHIROSE:もちろんやりたいとは思いますけど、ひとりひとりの顔が見えるところでのライブが好きなんで、今はすごい幸せですね。どちらかというと、大きさより回数や場所を増やしたいかな。僕は作った曲を自分で聴くときと、他人に聴かせる瞬間が一番幸せなんですね。しかも今回は野外でその機会があるということで、スーパーテンション上がってます。

――あと驚いたのが料金(1980円)に、思わずノケゾリました。

SHIROSE:僕が一番驚いてますよっ!

――えっ、SHIROSEさんのアイデアじゃないんですか? 「さすがWJ、やるな」と……。

SHIROSE:いや、完全に大阪のイベンターのアイデアです。

SHIROSE:でも、言われて確かにそうだなと思ったのは、WJは東京・渋谷のイメージが強いと。ファイナルとか区切りのライブはほとんど東京で、贔屓しまくってるし。そっちはそっちでリスペクトしつつ、でも地元は関西だということで、一回ぐらいはそこで良い景色を作りたいなって。おばあちゃんを呼びたいっていうのもあり。で、ベスト・アルバムが出せるというタイミングも重なったので、「これはちょっと地元に感謝しなくていいのか」って提案されまして。その気持ちを伝えるために一番良いのが……それはお金だと(笑)。

GASHIMA:感謝プライスで!

NIKKI:関西人はやっぱり安ければ安いほど喜んでくれるだろうと。

SHIROSE:あと、せっかくベスト・アルバムを出すので、聴きやすいものを、行きやすいライブを、っていうのがテーマにもなっていたりするので、ちゃんと食べやすいライブにしたいなという意味合いもあります……とイベンターさんが言ってました(笑)。

――かなり食べやすい価格ですね(笑)。

撮影=kazuyatanaka インタビュー・文=池田久美

▼後編では、ベスト・アルバム、そして音楽を始めたきっかけをお届けします。​
http://spice.eplus.jp/articles/75168

イベント情報
WHITE JAM 初の地元野外ワンマンライブ
“ベストアルバム発売記念感謝祭”in 大阪


日時:9月22日(木・祝)
会場:服部緑地野外音楽堂
出演者:WHITE JAM

 

 

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