日本が誇るダンスカンパニーDAZZLEの結成20周年記念公演テーマは『人魚』

レポート
舞台
2016.9.16
 (c)ヒダキトモコ

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2016年10月14日(金)~23日(日)、池袋あうるすぽっとにて、ダンスカンパニーDAZZLEの結成20周年記念公演『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』が上演される。DAZZLEの舞台を観たことがない人も、一度はどこかでその独特の振付や世界観を目にしたことがあるはずだ。本公演のチラシには、坂東玉三郎、草刈民代、藤木直人、SAM、柚希礼音ほかの舞台人からのコメントが掲載されており、この20年は国内外を問わず、様々な舞台で活躍し観客のみならず数々のクリエイターをインスパイアしてきた彼らの輝かしい才能とキャリアの一端を垣間見ることができる。

本作は、平成28年度(第71回)文化庁芸術祭参加公演ともなっており、音楽は林ゆうき(元・男子新体操選手/『Doctors-最強の名医』『あさが来た』『ストロベリーナイト』他多数の作品の音楽を担当)、衣装は北村道子が担当と、豪華スタッフが集結して制作される舞台であることも話題となっている。

舞台は、大気が汚染され海も涸れ果てた世界。人々が水を奪い合う殺伐とした環境で、人を信じることができなくなった孤独な男が、千年の時を生きてきた人魚と出会うストーリーだ。選択肢を2つ用意し、観客に結末を委ねるマルチエンディング方式での上演となる。

9月某日、本作の制作記者発表が表参道にて開催され、映像と共に彼らならではの映像的で流動的な観る者をその世界に巻き込んでくれるようなパフォーマンス、そして音楽が披露された。

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――主宰(演出・出演)の長谷川さん、20周年を迎えての感想と、今後の抱負を教えてください。

長谷川達也:DAZZLEは1996年、ストリートダンスの世界で名を挙げたいと思って結成しました。いかにして数あるグループの中で名を挙げるかと考えた時に、僕達は独自性こそが一番重要なんじゃないかと、そこに重点をおいて取り組んできました。そのおかげで注目をうけた反面、少し批判をされるようなこともありましたが、僕達は自分たちの表現を信じて続けてきました。ダンスがアートとして、エンターテイメントとして、または舞台として面白いのかどうかというところに意識を向けて、今日に至っております。

20年間、活動していく中で多くのグループが生まれては解散していきましたが、僕たちが活動を続けて来れたのは、自分たちの表現に、絶対的な確信があるからだと思っています。これからもそこは失くさないでいきたいです。そして、こうして一緒に踊るメンバーがいてくれたということが、何よりも恵まれていることで、本当に幸せなことだと思っています。これからもこのメンバーでずっと活動していきたいと思っていますので、どうぞ皆さん、これからもDAZZLEのことを観てやってください。

――他のメンバーの皆さんはいかがですか。

金田健宏:僕が一番印象に残っているのは、招聘されたルーマニアのシビル国際演劇祭です。当時は、震災直後の夏だったために日本からの観光客が歓迎されない雰囲気が少しあったんですが、そこで『花ト囮』という踊りを演じたらお客様がスタンディングオベーションをしてくださったんです。『こんな人生はないな』と、その瞬間思いました。こんな素晴らしい経験ができたのも、DAZZLEに居られたからだと思います。今回の公演については、稽古をしていて積み重ねてきた20年の経験がなければ、絶対に出来ない作品だなと思っています。

南雲篤史:おそらく両親と過ごすよりも長い時間をDAZZLEで過ごしてきました。それだけ大切にしたい仲間たちと、出会うことができました。このメンバーで20周年を迎えることができて、本当に幸せです。

渡邉勇樹:僕自身は初期からのメンバーではなく、途中加入のメンバーなんですけど、この20周年の席に居られることを、とても誇りに思っています。これまで引っ張ってきてくれた先輩方と、踊っていくという責任感も感じつつ今後も力を注いでいきたいなと思っています。今後はもっと若い世代に「DAZZLEに入りたい、そこで踊りたい」と思ってもらえるように、国内外で知らない人がいないくらいの存在になれるよう、頑張っていきたいと思っています。

(c)ヒダキトモコ

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――長谷川さん、音楽を担当される林ゆうきさん、本作の内容について教えてください。

長谷川:今回は20周年ということで、不朽の名作と言われるような、永遠や普遍的なテーマを取り扱った作品を作ってみたいと思って、今回は、人魚を登場させることにしたんです。『人魚を食べると不老不死になる』という伝説を信じて、人魚を食べて不老不死になった女性の話に“やおびくに”という日本の伝承があるんですが、1000年を生きる人魚が輪廻を繰り返したり、人が輪廻するのを目の当たりにする光景を描くということで、『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』というタイトルにしました。

林ゆうき:まだ制作途中なのですが、今回はマルチエンディングだから、曲数も多くなるんですよね(笑)。苦労点は是非、皆さんに聞いていただきたい感じなのですが(笑)。達也さんの発注は、細かいんですよ。映画やアニメ、ドラマなど色々とやらせていただいているんですが、これくらい「具体的にこうして欲しい」というのが、頭の中で出来ているプロデューサーさんや監督さんが他に居ないんじゃないかというくらい、達也さんの中では先に音が鳴っているんですよね。

そんな達也さんからもらった情報で、針の穴を通すような修行に似た作業をしながら、制作しております(笑)。でも、映像と音が一体化する瞬間、プラスではなくカケルような瞬間が作れるようなことが私の喜びです。DAZZLEや達也さんとは、それを創り出せるような瞬間が無数にあって、それがとても楽しいですね。

長谷川:林さんは単純にいい曲を作られるんですよ(笑)。元々新体操をやってらっしゃったということで、身体表現に音を当てていただける点も魅力です。踊れる曲であるか、というのはとても重要なことなんです。僕達の音に関するアプローチや解釈というのは、こだわりがあったりするものなので、それを理解して作ってくださる。そして物語の情景や感情を表現できる曲を作ってくださる。その両方を兼ね備えた音楽を作ってくださる方、僕の想像を超えた音楽を作ってくださるのが林さんです。

林:今後は一緒に、海外にも行きたいですね。生演奏で、フルオケでみたいなこともやってみたいですね。

――今回、マルチエンディング方式を採用されたのは何故でしょう?

長谷川:これは、今回の大きなテーマのひとつである『決断する』ということを、観客の皆さんに体験していただきたいなと思って選択しました。何かを手にするには、何かを失わなければいけない。今回も、ひとつの結末を選ぶと、もうひとつも観ることはできない。これは、当然のことかもしれないんですけど、現代では重要な決断をした人を無責任に叩くとか、傷つくのを恐れて夢をもたないとか、そういった決断することを否定するような風潮が少しあるんじゃないかと思っていまして。

ご覧になっていただく観客の皆さんには、物語の一員になっていただいて、自分たちの未来を他人に委ねるのではなく、自分の未来を自分で選んでいくということを体験していただければと思っています。その他では、人間の尊厳とか命の大切さとか、色々なメッセージが込められているんですが、それらを全て伝えたいというよりは、観客の皆さんが自分の視点で、何かを感じていただける。その側面の面白さがより体感していただける舞台になればと嬉しいなと思っています。

DAZZLEの作品には残酷なシーンもあるのですが、そうした負の感情を体験することで、日常の小さな幸せに気づくこともあると思います。プラスの感情も負の感情も知ることで、人の気持ちは豊かになっていくものだと僕は思っているので、この作品で、何か豊かになってくれたらなと思っています。

――最後に、皆さんへメッセージをお願いいたします。

長谷川:先日、リオ五輪が終わりましたけれど、皆さんは閉会式をご覧になりましたでしょうか。新体操とダンス、本当に素晴らしいパフォーマンスだったと思うんです。2020年には東京でオリンピックが開催されますので、世界中の人が注目する夢の舞台で、僕達もダンスを披露できたり、演出の一部に携わることができたらいいなと思っています。これだけ観るものが多い世の中で、ダンスを選んでもらえる、ダンスを観たいと思ってもらえる方を増やすのはとっても大変なことなんですが、今回の舞台を通じて、そして今後の活動を通じて、僕達を豊かにしてくれたダンスの素晴らしさ、面白さ、可能性を、どんどん伝えていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします!

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最先端のエッジの効いた表現でありながら、どこか懐かしく普遍的なものも感じさせるDAZZLEのパフォーマンス。今回の舞台『鱗人輪舞』では、それをより体感し、感じられることが出来そうだ。現代の私達に警鐘を鳴らす、物語にも期待しよう。ダンスの持つ可能性を無数に体感できる彼らの舞台を観に、是非劇場に足を運んでもらいたい。

公演情報
ダンスカンパニーDAZZLE 結成20周年記念公演「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」

 日時:2016年10月14日(金)~23日(日) 
 会場:池袋あうるすぽっと 

 演出:長谷川達也
 脚本:飯塚浩一郎
 音楽:林ゆうき/北村道子 
<振付・出演>
DAZZLE(長谷川達也、宮川一彦、金田健宏、荒井信治、飯塚浩一郎、南雲篤史、渡邉勇樹、高田秀文)

 ※平成28年度(第71回)文化庁芸術祭参加公演

 
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