くるり、積年の夢実現したオーケストラ公演「NOW AND 弦」
QURULI featuring Flip Philipp and Ambassade Orchester「NOW AND 弦」公演の様子。(Photo by Takeshi Shinto)
くるりが9月20、21日に東京・Bunkamura オーチャードホールにて、スペシャルライブ「NOW AND 弦」を開催した。この記事では20日公演の模様を紹介する。
結成20周年というアニバーサリーイヤーに、ベスト盤のリリースやライブツアーの開催と精力的な活動を展開しているくるり。主催ライブイベント「京都音楽博覧会2016 IN 梅小路公園」の直後に実施された「NOW AND 弦」は、アルバム「ワルツを踊れ Tanz Walzer」のレコーディングに参加したウィーンアンバサーデオーケストラをはじめ、松本大樹(G)、野崎泰弘(Key)、クリフ・アーモンド(Dr)、UCARY & THE VALENTINE(Cho)、神田智子(Cho)という豪華な編成で行われ、2時間にわたって満員の観客を圧倒した。
ライブは厳かな雰囲気の中で幕を開け、まずはオーケストラの演奏をメインにした「Remember me」のインストゥルメンタルバージョンが披露される。クリフのスティックカウントから入った「ジュビリー JUBILEE」では、オーケストラの演奏をバックに岸田繁(Vo, G)が朗々と歌い上げた。
「NOW AND 弦」というタイトルを体現するように、この日は新旧の楽曲がオーケストラアレンジを施して披露され、オーディエンスは豊かなアンサンブルで奏でられる楽曲をじっくりと堪能する。「everybody feels the same」や「chili pepper japones」は弦楽器と管楽器が加わることで、各楽曲はひと際ドラマチックに響き渡った。岸田はMCで「この編成でやるのは積年の夢でございまして。帽子まで被ってしまいました」と、自身と佐藤征史(B)のシックな装いについて言及して会場を和ませつつ、気合いの入った演奏を繰り広げていった。
中盤のハイライトとなったのは「ワルツを踊れ Tanz Walzer」にも収録されている「ブレーメン BREMEN」。迫力たっぷりのサウンドと、岸田の伸びやかな歌声にオーディエンスは息を飲み、曲が終わるや否や大きな拍手をステージ上の出演者たちに贈る。また「WORLD'S END SUPERNOVA」が始まると、会場の空気はさらに高揚したものに。クリフが刻むタイトなリズムに、佐藤の奏でるうねるようなベースやストリングスの音が絡み観客を心地よく揺らす。また「琥珀色の街、上海蟹の朝」では岸田が軽やかにステップを踏んだり、ハンドマイクでラップを披露したりして観客を魅了した。
本編のクライマックスに届けられたのは「Remember me」。「最後に渾身の1曲をお届けします」という岸田の言葉から、イントロが高らかに奏でられ、優しいアンサンブルと歌声がホールを包み込む。演奏が終わると岸田と佐藤は、オーケストラの指揮を務めたフリップ・フィリップと抱擁を交わし、割れんばかりの拍手を浴びていた。
アンコールに応えステージに戻ってきた岸田は、「練習大変だから全部やったんですよ」と笑う。そんな言葉に続いたのは、オーチャードホールという会場にふさわしい「ブレーメン BREMEN」。出演者たちは本編以上に伸び伸びとしたパフォーマンスを繰り広げ、深い余韻を残して名残惜しそうにステージをあとにした。
QURULI featuring Flip Philipp and Ambassade Orchester「NOW AND 弦」
2016年9月20日 Bunkamura オーチャードホール セットリスト
01. Remember me(feat. Flip)
02. ジュビリー JUBILEE
03. everybody feels the same
04. chili pepper japones
05. ロックンロール・ハネムーン
06. ブルー・ラヴァー・ブルー BLUE LOVER BLUE
07. デルタ
08. 春風
09. ブレーメン BREMEN
10. 2034
11. ふたつの世界
12. かんがえがあるカンガルー
13. コンチネンタル CONTINENTAL
14. アナーキー・イン・ザ・ムジーク ANARCHY IN THE MUSIK
15. WORLD'S END SUPERNOVA
16. さよなら春の日
17. 琥珀色の街、上海蟹の朝
18. Remember me(Wien mix)
<アンコール>
19. ブレーメン BREMEN
※本文中「chili pepper japones」の「japones」の「e」はサーカムフレックス付きが正式表記。