限界<リミッツ>を突破せよ! 凄腕アーティストたちのガチバトル『LIMITS』TGSエディションレポート

2016.9.28
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昨年誕生し、進化し続けているデジタルアートバトルイベント『LIMITS』。

その場でランダムに決められたテーマから20分で作品を完成させ、会場やライブ放送で見守っているオーディエンスの投票と審査員の採点によって勝敗を決する、アーティストのガチンコバトルだ。手に汗握る白熱のバトルと芸術の魅力が絡み合うその模様をお届けしていこう。

 

この競技のポイントは出されたテーマに対して即座に表現するスピード、柔軟性、アイデア、更に加えてイラストを描いている過程でオーディエンスにテーマを伝えつつ楽しませられるか、という2点があげられる。これを20分の中で作品に込めなければいけないのだから、アーティストの凄さがわかろうというもの。

来年2月にワールド・グランプリを控え、国内外で準備予選のエントリーを受け付けている中で、今回LIMITSはTGS主催者企画の“TGSエディション”として関東初上陸。朝イチのステージにも関わらず、LIMITS専用列が形成され、多くのファンが実際のライブを見るべく長い列を作っていた。事前に発表されていた参加アーティストはランキング1位のチャンピオン、jbstyle.とランキング3位のKENTOO、ランキング4位のkathmiに加えて、韓国チャンピオンのKIM SUNG。この4名でトーナメント形式を争うことになった。

当日はe-Sportsステージの上にアーティストのツールが並べられ、いつでもバトルが開始できる体制になっていた。最初のバトルは韓国チャンピオンKIM SUNGと日本ランキング3位のKENTOO。テーマを決めるルーレットが用意され、レッドポッドのテーマとブルーポッドのテーマの順に選ばれる。決定したテーマは「ゲームオーバー+コンボ」という、TGSにちなんで用意されたテーマの中でもゲームに極端に振り切ったようなものになった。果たしてこれがどのようにイラストとして仕上がるのか楽しみだ。そして時を待たずして、バトルがスタート。

撮影:鈴木久美子

DJのKSUKEがテーマにちなんだようなゲームサウンドでステージを演出する中、二人は画面に集中してイラストを作り上げていく。KENTOOはポップな絵柄で文字周りのデザインから取り掛かりそこから女性のイラストにシフトする。KIM SUNGは下書きの線を置いていき、全体のディティールを作っている。この時点ではまだ完成形はどちらも見えない情況だ。

5分経過の時点で奇しくも両者は女の子を書き始める。KENTOOはポップなアイコン系女性を、KIM SUNGは水彩のタッチで女の子を浮かび上がらせていく、残り10分経過の時点でKENTOOはアニメーションの準備を開始。KIM SUNGは温かい雰囲気のイラストで全体像が見えつつあるところまで進めてきたが、両者ともにまだテーマである「ゲームオーバー+コンボ」の解釈が見えないところだ。

残り5分でほぼ完成形が見えつつあるのだが、KENTOOの絵からはゲームチックな演出が入ってくる。一方KIM SUNGのイラストはPCの下で猫とネズミがケーブルに絡まっていて、じゃれ合いでゲーブルが抜けるコンボでPCがダウンし女の子がゲームオーバー、と受け取れるイラストが仕上がってきていた。この時点ではKIM SUNGが優勢と思われる感じだ。どちらも仕上げに向かって追い込みをかけるが、残り一分を切ってもKENTOO選手は追い込みを止めない。ギリギリまで力を振り絞りタイムアップ。

作品の発表で伝えられたそれぞれのタイトルはKIM SUNGは「私の友達、猫とネズミ」、KENTOOは「天使のコンボでゲーム終了」。どちらかと言うとKIM SUNGのほうがテーマに即したイラストを描いているように思えたが、会場投票に加えてライブで視聴しているユーザーのオンライン投票に全ては委ねられた。その結果、60対40でKIM SUNGが勝利、トップランカーであるKENTOOを下して決勝進出を决めた。

セミファイナル第2戦はレッドコーナーに油絵の技法を駆使するランキング4位kathmi、ブルーコーナーに現チャンピオンである「スピードスター」jbstyle.が登場。早速ルーレットを回すと、今回のテーマはゲームショウらしいテーマ「16ビット+ラスボス」となった。

kathmiは画面全体を塗りつぶして素地を作成。そこから筆ツールを使ってキャラクターの顔を組み立てていく。jbstyle.は決め打ちでキャラクターのボディを作り始めるが、細かいディティールまで既に書き込んでおり、完成度の高さを伺わせる。奇しくも両者ともラスボスは女性キャラクターになるようだ。

5分経過時点でjbstyle.は小物を書き込み始める。黒と白のコントラストが生える出来栄えだ。一方のkathmiは色をふんだんに使って女性キャラクターのイメージを膨らませていく。残り10分の時点でjbstyle.はラスボスの全体的なディティールが完成し、作り込みに移行している。kathmiは色彩感覚に溢れるタッチで全体像を作っていく。まだこの時点でどちらも16ビット感は見えてこない。

残り6分の時点でjbstyle.はドット絵系のキャラクターを書き足していく。どうやら主人公キャラクターたちのようだ。kathmiは色彩を足して完成度をあげていくが、まだ16ビット感が見えてこない。残り3分でエフェクトを書き足していくjbstyle.、kathmiはスクリーン全体にデジタルモザイクのような16ビット感を足し、最終調整しながらフィニッシュに向かっていく。

そしてタイムアップの後に、作品タイトルの発表となる。kathmiは「16本のメデューサ」、jbstyle.は「16ビットの世界にやってきた顔の小さなラスボス」とのこと。ここでネット投票が開始され、結果発表を待つことに。

そして結果は34対66でjbstyle.が勝利を納め、決勝進出とKIM SUNGとの対戦を决めた。

休憩を挟んだあと待望の決勝戦が始まり、KIM SUNG対jbstyle.の日韓チャンピオン対決となった。最後のテーマは「20周年+勇者」という難しいテーマ。即座にカウントダウンが始まり、制作に取り掛かる両名。お互いにキャラクターの顔から書き始める展開となった国際交流戦はどのような結果になるのだろうか。

最初の5分間でjbstyle.は顔を描き終え、早くも全体のディティールを突き詰めていく。描き損じ無しで迷いなく書き進めていく姿はまさにモンスター級の才能だ。KIM SUNGは体全体の下書きをした情況から水彩の塗りにシフトしていくものの、まだキャラクターが浮かんでこない。だが着実にゴールに向けて進めていく。

10分経過の時点で、KIM SUNGは中年のおじさんを、jbstyle.は成人式の女性らしきイラストを描き込んでいく。現時点ではjbstyle.が圧倒的にリードしている情況だ。タイムは無慈悲にも過ぎていき、タイムは残り5分に。ここからはクオリティアップに費やしていく。jbstyle.は成人式の女性が剣を携えているイラストを仕上げ、KIM SUNGはスーパーマンぽい格好をした中年のおじさんを細かく仕上げていく。ブラッシュアップを終え、残り1分の時点でお互いに作品へサインを入れる。そしてタイムアップから審査の時間に入る。

撮影:鈴木久美子

撮影:鈴木久美子

両選手のタイトル発表は、KIM SUNG「私の勇者に会うためにTGS20周年に参加しました」、jbstyle.は「成人式を迎えた勇者」というもの。作品名が決まり、投票が始まる緊張の時間がスタート。最終結果は14対86というスコアでjbstyle.が優勝! 終わってみれば圧巻の実力で頂点に君臨していた。

試合後のコメントでjbstyle.は「テーマとして出たら困るなあ、というテーマが出てしまったので、見ている人に『あ、女の子を描く人なんだな』って分かってもらえるように、成人式の女性を描きました」と吐露。いかにオーディエンスにアピールできるかが重要であり、勝敗につながるかをわからせてくれた一戦であった。

撮影:鈴木久美子

いままでネットのアーカイブでしか見ていなかったLIMITSをライブで見た感想としては、20分で1つの作品を仕上げる気迫や、描画する技法、表現のスタイルなどを体感できるため、見ていて時間が経つのを忘れてしまうぐらい熱中させられたという点が第一に挙げられる。アーティストは20分内でいかに仕上げまで持っていけるか、という見切りの能力も問われるため、完成するのかどうか? というスリルがあるのも見ていてハラハラさせられる。全く新しいライブバトルとして、世界目標で初めから考えていたという制作陣の慧眼に驚かされるばかりだ。

最初はFresh! by Abema TVなどにあるネットアーカイブを見ることからスタートし、ライブイベントが開催されたら是非現地で見て、その熱狂とアーティストの素晴らしさを体感して欲しい。

現在ワールド・グランプリ国内予選のエントリーを受付中なので、チャレンジしてみたいという方はこちら(http://limits.jp/entry/)から申し込んでみてはいかがだろうか。あなたの20分で世界が変わるかもしれないこの機会、是非とも挑戦してみて欲しい。

レポート・文 鶴岡八幡

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