間宮祥太朗インタビュー「とにかく飢えていた」10代を越え、時間をかけて変わった23歳の気持ち

2016.10.17
インタビュー
アニメ/ゲーム
イベント/レジャー

間宮祥太朗 撮影=赤山恭子

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先に言っておけば、間宮祥太朗の最新出演作『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』で、その端正な顔立ちを拝める場面は、ない。というのも、特殊メイクでがちがちに覆われてしまっているので、注意深く見ても間宮だと気付くのが困難なほど別人であるからだ。間宮が演じたのは、闇金会社を経営する主人公・カウカウファイナンス社長・丑嶋馨(山田孝之)の最凶最悪のライバル・鰐戸三兄弟の三男坊で「最終兵器」と呼ばれる三蔵。真鍋昌平氏の同名コミック内でもとりわけインパクトの強いキャラクターを、想像以上の濃さで熱演した間宮に、変わらない映画への愛情と、少しずつ変わりゆく胸のうちを聞いた。

――2016年は『ライチ☆光クラブ』、『高台家の人々』、『黒い暴動♥』、そして『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』とコンスタントに公開作が続いています。

そうですね。すべて映画を撮ってから1年くらい経っているので、こうして取材を受けさせてもらうと、いよいよ公開だなというのをすごく感じます。

――取材の最中に思い返す出来事やエピソードも多かったりしますか?

たくさんありますし、公開に向けて熱が上がっていったりします。自分が1年前にやったことに対して、客観的ではないですけど思い出しながらしゃべると、もしかしたら自分はこういうふうに考えてやろうと思っていたのかなとか、新しいひらめきもあったりして、すごく面白いんですよ。

――では早速、『ザ・ファイナル』で演じた三蔵についてお聞かせください。

原作も読んでいましたし、今までのシリーズも観ていましたので、最初に『闇金ウシジマくん』のお話を聞いたとき、まさか自分が三蔵だとは思わなかったです。僕くらいの年の俳優が出る場合、だいたい丑嶋に借金をしてしまう側じゃないですか。自分も例に漏れずと思っていたんですけど、まさかこんなモンスター級の役がくるなんて(笑)。『闇金ウシジマくん』シリーズでは、特に危険な人物の場合、ポスターに矢印のマークが記載されているんですけど、今回は自分もされているんですよ。「こいつ、やばい」という感じで自分に矢印が向けられているので、実はすげえうれしいです。

――オファーの段階からイメージは十分だったんですね。

イメージはありました。とはいえ、原作はコミックなので、見た目もものすごいし、キャラクターとしての圧もすごいので、自分が1から作るというよりも、周りの方に作ってもらった部分が大きいです。外から作っていただいたものや、オリジナルの三蔵という役の強さに、悪として発するエネルギーが負けないようにしようと思っていました。暴力が歩いている、みたいな感じに見えればいいなと。

――見た目に関していえば、特殊メイクに2時間かかったんですよね?

作るのに2時間、バラすのに2時間です。計4時間!キャストの皆さんが入るより前に入って、皆が帰ってもずっとバラしていました。三蔵の状態でしか会っていないスタッフさんたちは、僕の顔がまだいまいちわからないようです(笑)。打ち上げとかで普段の僕のままいくと、「え?」「三蔵か?」みたいなことにはなっていました。

――準備も大変ですが、その状態で演じるのはかなりきつかったのではないですか?

もう本当に!首から眉毛の下まで1枚でなじませていてゴムみたいな感じなので、頭が蒸れ蒸れなんです。1日撮影すると、びしょびしょだし。作品内で拷問されるシーンもあるんですけど、終わったときに「近くのビジネスホテルでバラします」と言われて。その状態で車に乗って、ホテルのフロントを通るって、血だらけだし、やばいでしょうと思いました(笑)。それだけ技術が素晴らしいんですけどね。僕もびっくりするくらいでした。

――見た目のインパクトが演技の助けになりましたか?

三蔵が商店街を歩くシーンがあるんです。歩くだけなんですけど、僕はすごく三蔵が三蔵たる象徴的なシーンだと思っていて。カメラが遠くにある中で撮ったので、周りの一般の方たちは映画を撮っていると気付かないんですね。でも、特殊メイクの三蔵の格好でレンチを持って歩いていると、普通に通行人の皆さんがやっぱり道を開けるんです(笑)。本当にやばいやつだと周りの方が見ているのを見て、特殊メイクのレベルはすごいなとあらためて思ったりしましたね。

――普段の間宮さんとは全く違うわけですよね。別人に変われた喜びはありましたか?

何て言うんですかね。ちょっと違うかもしれないですけど、仮面ライダーとかウルトラマンとかサイヤ人とかと似たものを感じるというか(笑)。三蔵は人間ですけど、僕が普通に演じるものとは違う、何かモンスターの着ぐるみに入っているような。入ると無敵感が出ます。細かいことを考えて演技するよりも、その中に入れば、自分のやりたいように暴れるだけだという自信がつく感じはします。こういう役はなかなかないと思います。

――言い換えれば、快感ですか?

快感です。商店街を歩くとき、もちろん間宮だということも、役者だとも誰も気付かないし、ただ僕は自分とは全く別の存在としているわけで。急に現れて商店街を歩いて、みんなが引いている様子はすごい快感でした。何なんですかね?不思議な感覚ですよね。

 

10代のころは「とにかく飢えていた」

間宮祥太朗 撮影=赤山恭子

 

――『闇金ウシジマくん』シリーズは旬の俳優が集まることでも注目されていますが、間宮さんは俳優部で仲良くなりました?

『Part3』は華やかそうですが、『ザ・ファイナル』は、すげえ男くさい現場でした(笑)。お兄ちゃん二人(鰐戸三兄弟の長男・一=安藤政信、次男・二郎=YOUNG DAIS)とは初めての共演で、すごく大好きな二人です。3人でごはんを食べているときは「いいなあ」と思っていました。この3人でよかったというか、二人が兄貴だったから、撮影が楽しかったです。今でも連絡を取りますし、撮影が終わってからも皆で飲みに行ったりしています。

――三兄弟の距離感はオフでも近そうですね。いいですね。

僕は政信さんとDAISさんと呼ばせてもらっているんですけど、お兄ちゃんと呼ぶときもありますね。たまにDAISさんが「お兄ちゃん」という意味も含みつつ、政信さんのことを安藤の安で「安(アン)ちゃん」と呼ぶんです。政信さんもよく呼ばれるらしく、「アンちゃんって呼んでいいよ」と僕にも言ってくださるんですけど…呼べないっす(笑)。僕は政信さんをずっとスクリーンで観てきて、すごく好きな役者さんなので、特に

――間宮さんといえば映画好きというイメージもありますし、まさに安藤さんのようにご自身がずっと観てきた方と映画の中で一緒になるという喜びは格別ですか?

喜びはありました。実は、僕が事務所に入る前の面接で、好きな役者を聞かれたときに、挙げていたのが政信さんだったんです。政信さんは、いろいろな作品をやっていらっしゃるから、海外にも行ったりしていて、なかなか日本で出会えないというか共演できないだろうと思っていたんです。そんな中、急に共演できる、しかも兄弟役で関係性が近いとなると、すごくうれしかったです。中学生の頃の映画少年だった自分が見たら、「まじで(ハート)」というウキウキした面が、ちょっと顔を出す感じもありました。

――童心に返るような気持ちもありながら、年を重ねて大人になっている感覚は着実にありますか?

感覚はわからないですけど、変わっているのかなって思うときがあります。この1年で新しく出会った人もたくさんいますし、三蔵の経験も初めてなことがあって、なかなか珍しいことをやらせてもらいましたし。目には見えないところ、感じないところで微妙な変化はあるのかなと思います。あと、各作品での芝居の仕方とかも、たぶん僕が気付かないレベルで変わっていることもあるかもしれません。例えば、昔から僕のことを知っている人に「芝居しているときの力みが抜けたね」と言われることもありました。

――『ザ・ファイナル』で共演している太賀さんは昔からのご友人ですよね。そんなお話はされますか?

そう、僕らは10代のときから友達で。この間太賀と話していたのは、以前はとにかく…、とにかく飢えていたというか。若いからこそなのかもしれないですけど、「早くこういう作品がやりたい」とか「早くこういう役がこないかな」とか、ある意味焦っていたんです。とにかく早く何か大きいものをつかみ取りたいという、生き急ぐようなものがあったのが落ち着いて、「自分のいまを見るようになったね」というような話をしました。例えば、太賀と僕が求められているものは違うだろうとか、今はこういうものが世間的には受けているんだな、とか。15~16歳くらいのときは、一般的に受けているものや、エンターテインメントとしていま一番脂が乗っているものなんかよりも、「やっぱり自分のいいと思う作品を!」というか、「売れ線志向なんて!」という感じでしたけど、全然なくなりました。ゆっくり時間をかけて変わってきたことかもしれません。

――様々な作品での経験や関わっている人との出会いが、間宮さんをそうさせたのでしょうか?

そうですね。オンでもオフでも様々な出会いの中で、いろいろな人の言葉や姿を見ていて変わる部分はやはり大きいです。僕、正直15歳くらいまでドラマを全然見なかったんです。でも、いざ自分がドラマに出演するとなったら、自分のドラマ以外も見るようになるじゃないですか。撮影がどう進んでいるかも知って、その上で見るとなると、「ああ、すごいことをやっているんだな」と思います。例えば、さらにそのドラマが社会現象になったりすると、とてつもないことを生み出していると肌で感じます。エンターテインメント性の高いものは、多くの人を動かす力があるんだと実感しました。

――演者という形で携わっていますが、責任のようなものを感じて役を演じているのですか?

撮影しているときは、最終的に作品を観た人が少しでも僕の役から面白みというか、何かを味わってくれるような存在のひとつになれていたらいいな、と思います。あと、ドラマ、舞台、映画で共通しているのは、どちらかと言うと、多くの人に伝わるから自分でどうするより、自分が影響して一人でも見る人が増えたらいいという気持ちがあります。宣伝をすることも携わっている一部という感じがしますし、例えば、いま僕が話している記事を読んで、作品を観るつもりはなかったけど観てみようかなという人が一人でも増えるかもしれない。大勢の人に見られるからどうというよりも、僕をきっかけで作品を観る人が一人でも増えたらいいと願っています。

 

間宮祥太朗 撮影=赤山恭子

 

映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』は10月22日(土)より、全国ロードショー。

インタビュー・文・撮影=赤山恭子
 

プレゼント

間宮祥太朗 直筆サイン入り『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』プレスを1名様に

 

 


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作品情報

映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』

(C)2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会


キャスト(順不同)
山田孝之
綾野剛 永山絢斗
真飛聖 間宮祥太朗 YOUNG DAIS
最上もが 真野恵里菜 太賀 狩野見恭平 湊莉久 天使もえ
マキタスポーツ 玉城ティナ 六角精児 モロ師岡
安藤政信 八嶋智人
高橋メアリージュン 崎本大海 やべきょうすけ
監督:山口雅俊
公式サイト:http://ymkn-ushijima-movie.com/

(C)2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会
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