T.M.Revolutionが火蓋を切り、GLAYが磐石の大トリ テレビ朝日ドリームフェスティバル 2016・1日目
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GLAY 撮影=岸田哲平
テレビ朝日ドリームフェスティバル 2016・DAY1 2016.10.22 代々木第一体育館
T.M.Revolution
T.M.Revolution 撮影=岸田哲平
初日のトップバッターを務めたのは、今年デビュー20周年を迎えたT.M.Revolution。期待感をじわじわと煽る荘厳なSEがトランシーなサウンドに切り替わり、客席のテンションが高まりきったところで、西川貴教が登場。「おっぱじめんぞー!」と、「Inherit the Force」でライブをスタートさせた。
赤いレーザーが飛び交う中、雄々しいサウンドと力強い歌声を代々木第一体育館に響き渡らせると、「あげていくぞ!」と間髪あけずに「LEVEL4」に突入。さらに「今、欲しいのは“メッセージ”じゃなくて“一体感”!」と前置きしてなだれ込んだのは「HIGH PRESSURE」! 曲にあわせて踊っているオーディエンス達を、西川は「1バンド目だから盛り上がりづらいとか関係ねえ! いけるか!」「楽しんだモン勝ちや!」と煽りつつ、花道を含めてステージを縦横無尽に走り回っていた。
そこからも、大合唱を巻き起こした「WHITE BREATH」や、<テレ朝的にもオールオッケー!>と歌詞をアレンジした「HOT LIMIT」など、大ヒットナンバーを惜しげもなく連発していくところは、まさにお祭りといった感じ。そしてどの楽曲達も原曲よりパワフルなアレンジメントが施されていて、それらが手練のバンドメンバー達によって繰り広げられるところは、とにかく圧巻の一言。また、現在はツアー中ということもあり、バンドアンサンブルも実に躍動感に溢れていて、オーディエンス達を何度も高く飛び跳ねさせていた。
T.M.Revolution 撮影=岸田哲平
熱狂に次ぐ熱狂を巻き起こしつつも、「ご挨拶が遅れましたが……(笑)」と、ラスト1曲を残したところで始まったMCでも客席を盛り上げるところは彼らしい。今年で放送30周年となった『MUSIC STATION』に初出演したのは、この日も披露した「HIGH PRESSURE」だったなど、さまざまなエピソードが飛び出す。
「そこから随分とシングルを出してきましたが、その頃と同じ気持ちでステージに立てていて。今日ここでみんなと出会えたことに感謝しているし、音楽ってまだまだ力があるなっていうものを証明できるような3日間にしたいと思います!」そんな力強い言葉から、「HEART OF SWORD」へ。貫禄のパフォーマンスで、6回目となる「テレビ朝日ドリームフェスティバル」のスタートを華々しく飾った。
T.M.Revolution 撮影=岸田哲平
SCANDAL
SCANDAL 撮影=岸田哲平
T.M.Rの残した熱気も冷めやらぬ中登場した2番手はSCANDAL。ビースティ・ボーイズの「Ch-Check It Out」をSEに、リズムに乗って行進するかのようなポップな登場の仕方だ。が、そこからRINA(Dr/Vo)のスネア一閃、間髪入れず放たれたジャーンという出音は間違うことなくロックバンドのそれ。強い説得力と引力が備わっていた。
オープニングナンバー「太陽スキャンダラス」では「みんな一緒に歌ってね!」と一言告げたあと、HARUNA(Vo/G)、MAMI(G/Vo)、TOMOMI(B/Vo)の3人が代わる代わるボーカルをとって盛り上げる。彼女たちの歯切れ良いアンサンブルと華はみるみる場内を虜にしていった。曲間にはメンバーを呼ぶ声がいたるところから上がり、それに対して嬉しそうに「名前を呼んでくれてありがとうございます!」と答える一幕も。
SCANDAL 撮影=岸田哲平
ミドルテンポの「夜明けの流星群」でみせた3声のハーモニーや、アッパーに弾む「少女S」での前3人がピタリと揃えたキュートなステップなど、ガールズバンドならではの強みと魅力も存分に発揮されていた。同時に、ポップでありながらちょっぴり切なく、でも聴く者を元気付けるようなSCANDALのサウンドはいずれの曲でもしっかりと輝きを放っていたように思う。場内のファンたちも曲に合わせてジャンプしたりクラップしたりと曲を追うごとに盛り上がっていった。
また、この日=10月22日が8周年のデビュー記念日であることをHARUNAの口から明かした際には、大きな祝福が起き、そのまま「せっかくなので」と放たれたデビュー曲「DOLL」は、重厚なサウンドと可憐な歌声のコントラストという、いまや確固たるものとなっているSCANDALらしさが当時から備わってたことを証明していた。
ラストナンバーは「Image」。センターステージも左右の花道も一切使うことなく、終始まるでライブハウスかのようなライブに、SCANDALのロックバンドとしての誇りと矜持を見るような、そんな潔いステージであった。
SCANDAL 撮影=岸田哲平
BLUE ENCOUNT
BLUE ENCOUNT 撮影=岸田哲平
「おっ! 青いサイリウム! 今すごいテンションあがっちゃった(笑)。青いサイリウム、青い、青……BLUE ENCOUNTはじめます!」(田邊駿一)
バッチリな掴みでライブをスタートさせたのは、先日初の日本武道館ワンマンを成功させたばかりのBLUE ENCOUNT。1曲目の「Survivor」から熱く駆け出した4人は、そのまま「LIVER」を繰り出し、エモーショナルなバンドサウンドを轟かせていたが、曲中で一度演奏をストップ。「いつもと違ってランウェイがあるからテンションあがってます!」という田邊が、「まさか行くんじゃないだろな!?」という辻村勇太(B)の声を振り切って、明日出演するV6の「MUSIC FOR THE PEOPLE」を口ずさみながら花道の先端へ。
BLUE ENCOUNT 撮影=岸田哲平
さらには、同じメガネ繋がりということで「高橋 優さんではございません!」などと、今年のドリフェス出演者にちなんだ発言を間に挟みながら、これまで自分達が歩んできた道のりを口にする。12年前に高校の友達とバンドを結成したこと、ボロボロになりながらも前に進んできたこと、2年前にようやくメジャーデビューが出来たこと。
「出れたことが嬉しいんです。でも、こんな無名なバンドが、全然ヒット曲も書いてねえようなバンドが、こうやってすげえフェスに出られるっていうだけで、このフェス、まさに夢があると思います!」
そこからも新曲である「LAST HERO」など、今のバンドの勢いを体現するような、そして積み上げてきたすべてをオーディエンスにぶつけるような、熱いステージを繰り広げていく。そして、音だけでなく、言葉を叩きつけるのも彼らのステージだ。「キャリアとか関係ねえだろ? 本気で歌いてえ気持ちがあれば届くんだよ。あなたに届くように……!」と、披露されたのは「もっと光を」。泥だらけになりながらも光に手を伸ばすような熱いサウンドを高鳴らし、「ここであなたと別れるつもりはありません。いつかまた、あなたと一緒に歌えるように!」と、ラストナンバーは「はじまり」。ドラマティックなエンディングに、客席からは鳴り止むことのない大きな拍手が送られていた。
BLUE ENCOUNT 撮影=岸田哲平
高橋 優
高橋 優
クラップに迎えられ4番手として登場したのは、高橋 優だ。まず深々と一礼し、「一曲目、「福笑い」っていう曲を聴いてください」とアンセムというべき名曲を披露。スクリーンには歌詞が映し出され(このあとも全曲そうだった)、初見のお客さんへの配慮であると同時に、歌詞を大切にする彼らしい演出だ。一転して真っ赤に染まった場内に性急なリズムと荒々しいギターに乗せて届けた「太陽と花」では、哀愁を帯びた大きなメロディを圧倒的声量で歌い上げながら、気合いのほとばしるようなステージアクションでも魅了してくれた。
ここでMCへ。一つ前のアクトの発言を受けて、「改めましてこんばんは、BLUE ENCOUNTです!!」と気の利いたお返しをして喝采を浴びたあと、中学時代にバンドを組んで初めてコピーした曲が、この日のトリを務めるGLAYの「SOUL LOVE」であったエピソードを、まるでバンド少年に戻ったかのように生き生きと明かす。「今日は本当にドリームな1日を過ごさせていただいてます!」と心底嬉しそうだ。
この日、高橋 優は色々な表情を見せてくれた。今年リリースされたバラード「産まれた理由」で、身近な言葉で語りかけるように命や生といった壮大なテーマを描き出したと思えば、続く「光の破片」では駆け出すピアノに乗ってドラマティックな熱唱。いずれの曲にも言えることは、ステージ上の彼と自分の間にある物理的な距離を越えて、間にいる無数の人々も越えて、一人一人の聴き手の心にダイレクトに伝わる力をもっていることだ。
高橋 優 撮影=岸田哲平
後半戦。会場中を巻き込んだ盛大なコール&レスポンスからなだれ込んだ「泣ぐ子はいねが」ではセンターステージまで歩み出て、秋田弁のローリング・ストーンズとでもいうべきロックンロールを響かせる。本人の言葉を借りれば「メガネをかけて黒髪でTシャツなんか着てる」男は、その秘めたロック魂を解放したあと、ラストナンバー「明日はきっといい日になる」をとびきりゴキゲンなリズムに乗って会場全体とともに歌い上げ、ステージを去っていった。
ときに眼光を光らせながら、ときに顔をクシャクシャにしながら、ときにはとびきりの笑顔を見せながら。ひたすら全力でその歌声と言葉を届けてくれた高橋 優の姿には、多くの観客が心を鷲掴まれたに違いない。
高橋 優 撮影=岸田哲平
back number
昨年に続いて2年連続出場となったback numberは、「青い春」のギターフレーズをサンプリングしたエレクトロなSEが流れる中、サポートメンバー達と共に登場。「代々木ー!」という清水依与吏の叫び声から、1曲目は「SISTER」。瑞々しく軽やかに、かつ、どこまでも高く駆け上がって行くようなバンドサウンドを会場いっぱいに響かせると、オーディエンスも一緒になってジャンプを繰り返していた。
MCでは、今年はトリ前での出演ということで、「今日という一日のすごく大事なところを担っている気がするので、一生懸命、一曲一曲を大事に……今日、空き時間に買い物に行ってきたんですよ。2時間半ぐらい」と、脱線トークを始める清水。服屋の店員さんといろいろと話をしていたものの、ずっと服を前後ろ逆に着てしまっていたという、ちょっと切ないエピソードに続いて届けられたのは「花束」。時折アイコンタクトをして呼吸を合わせつつ、歌詞を口ずさみながらプレイする小島和也(B)と栗原寿(Dr)のグルーヴも心地よく、温かな空気が広がっていく。
back number 撮影=岸田哲平
続く「クリスマスソング」では、イントロが鳴った瞬間に客席から感嘆の声が。至極のラブソングにオーディエンス達はおおいに酔いしれていた。そんな余韻に浸って静まりかえっている客席へ向けて、“新曲やります”と一言。披露された「ハッピーエンド」は、大切な人との別れを歌ったバラードナンバーで、代々木第一体育館全体を凄まじいセンチメンタリズムで包み上げていた。
「僕らの曲って、大袈裟なものがないというか。基本的に、気になっている女の子が自分のことを好きなのかどうかってことばっかりなんですよね。たまに違う歌も歌いますけど。でも、みんなそういう経験ってしてるでしょ? 伝わればいいなと思ってます」(清水)
ラストナンバーは「高嶺の花子さん」。誰もが一度は経験したことのある切ない想いを、郷愁感のあるサウンドで彩ったアップチューンに、オーディエンス達は再びジャンプ。なんとも彼ららしい曲でステージを締め括った。
back number 撮影=岸田哲平
GLAY
GLAY 撮影=岸田哲平
場内が暗転し、次なるアーティストがビジョンに映し出されるその前に、凄まじいリアクションが巻き起こる。それもそのはず、残すアーティストはあと1組のみ。この日のヘッドライナー、GLAYだ。
「代々木行くぞ!」とTERU(Vo)がトレードマークの両手を広げるポーズを決め、炸裂する「YOU MAY DREAM」のイントロ。噴射されるCO2。さあ、ロックショウのはじまりだ! TAKURO(G)とHISASHI(G)は両翼の花道に大きく広がってのプレイ。JIROはクールな佇まいで客席に向かって頷くような仕草を見せている。そんな4人の一挙手一投足に、会場全体が大いに沸く。続いて図太いベースとデジタルなシーケンスが牽引し疾走する「デストピア」。さらにTERUが高らかにシャウトして「千ノナイフガ胸ヲ刺ス」へ。もはや5人目のメンバーといっても過言ではないサポート・ドラマーのToshiが叩き出す勇ましいビートが要のこの曲には、問答無用でテンションを吊り上げられる。20年以上前の楽曲だが、昔も今もライブのキラーチューンであり続けるのは本当にすごい。そこから一気に時代は巻き戻って、最新シングル「超音速ディスティニー」を披露した。
GLAY 撮影=岸田哲平
開幕から怒涛の4連発を終え、ここで「21年目を迎えます。GLAYと申します」と謙虚な自己紹介。楽屋裏でback numberが挨拶に来ようとしていたが先に自分たちから挨拶しに行った、などと優しい先輩エピソードを展開していた……のも束の間、「負ける気はさらさらない。最高の音楽を届けたいと思います!」と後輩たち、そしてオーディエンスに宣戦布告し、「BELOVED」「グロリアス」という不朽の名曲を連続投下。思わずあの頃の“Teenage Memories”を呼び覚まされてしまったのは、筆者だけではないはずだ。続いて、当時のバンド少年・高橋 優が登場し、「SOUL LOVE」で夢のコラボが実現した。「続けていれば夢は叶う、そんな瞬間を感じてください」とTERUが言う。高橋は、<生きて行く術を あなたはこんな俺に示してくれた>の一節をTAKUROに向かって歌い、<待ちこがれていた あなたをこうして>のフレーズではTERUと手を取り合うなど、大熱唱。感極まった表情でステージを後にするその背中を、TERUの「好青年だなぁ(笑)」の一言と会場中からのあたたかな拍手が送った。
後半戦はハードなナンバーが並び、場内のボルテージも天井知らずの展開になったが、中でもHISASHIの「久しぶりに4人でセンターステージでやらないか」という提案を受けて、ランウェイの先端に全員集合した「彼女の“Modern”」がハイライトだろう。これまで定位置で演奏し続けていたJIROが間近にやってきたことで周辺は半狂乱だ。そのアリーナめがけてTAKUROが降りていって演奏してみせ、TERUとHISASHIは肩を組んで楽しそうな表情を浮かべている。見どころであるギターソロでのユニゾンも完璧に決めてくれた。
「この曲で思いっきりあたためて、明日の1組目のアーティストに渡したいと思います」(TERU)
1日目のラストを締めくくったのは「誘惑」だ。冒頭からのヘヴィリフがフロアを突き動かし、ラストサビでは煌々と照らされた場内に無数の手が挙がり、大きな歌声が響いていた。激しさやクールさと両立する親しみやすさ、そして時代を超えて響く名曲たち。GLAYが我々にみせてくれた1時間は、夢の共演のトリに相応しいと同時に、国民的バンドとしての理想的な姿であった。
取材・文=山口哲生(T.M.Revolution、BLUE ENCOUNT、back number)、風間大洋(SCANDAL、高橋 優、GLAY) 撮影=岸田哲平
GLAY 撮影=岸田哲平
1. Inherit the Force
2. LEVEL 4
3. HIGH PRESSURE
4. WHITE BREATH
5. HOT LIMIT
6. HEAT CAPACITY
7. HEART OF SWORD
1. 太陽スキャンダラス
2. 瞬間センチメンタル
3. 夜明けの流星群
4. 少女S
5. テイクミーアウト
6. 会わないつもりの、元気でね
7. DOLL
8. Image
1. Survivor
2. LIVER
3. LAST HERO
4. DAY×DAY
5. もっと光を
6. はじまり
1. 福笑い
2. 太陽と花
3. 産まれた理由
4. 光の破片
5. 現実という名の怪物と戦う者たち
6. 泣ぐ子はいねが
7. 明日はきっといい日になる
1. SISTER
2. 黒い猫の歌
3. 花束
4. クリスマスソング
5. ハッピーエンド
6. 高嶺の花子さん
1. YOU MAY DREAM
2. デストピア
3. 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
4. 超音速ディスティニー
5. BELOVED
6. グロリアス
7. SOUL LOVE
8. 彼女はゾンビ
9. 彼女の“Modern”
10. Supernova Express 2016
11. 誘惑