「原爆乙女」の悲劇と再生を描く、On7第2回公演『その頬、熱線に焼かれ』
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公式サイトTOP画像より
由緒ある新劇5劇団(青年座、文学座、俳優座、演劇集団円、テアトル・エコー)の同世代女優による、女七人の演劇ユニットがOn7(オンナナ)だ。2013年に活動を開始、このほど第2回公演『その頬、熱線に焼かれ』を9月10日(木)~20日(日)、こまばアゴラ劇場でおこなう。まあ第2回公演といっても、第0回公演や複数の番外公演を数えると、厳密には6回目の公演となるようだが…。
今回の公演では、近現代の歴史・社会問題に鋭く緻密に切り込み、ここ数年大きな注目を集めてきた硬派劇団の雄「劇団チョコレートケーキ」から、古川健(作)と日澤雄介(演出)を招き、70年前のあの出来事を問う。
1945年8月6日広島、そして同9日長崎の原爆投下。一瞬の熱線に焼かれ、消すことのできないケロイドをその顔や体に負った若き女性被爆者たちを世間は「原爆乙女」と呼んだ。1955年5月、彼女たちから人生を奪ったケロイドを治療するために、原爆投下国アメリカに勇気を奮って渡った25人の原爆乙女がいた…。その事実を題材に、日本に核が落ちたことの意味をいま改めて掘り返す物語が『その頬、熱線に焼かれ』であると、作者の古川健は述べる。7月には今回のメンバー全員で広島を訪ね、実在する「原爆乙女」や関係者たちに取材したという。
女七人が爽やかに佇む宣伝ヴィジュアルは一見、可憐。また、「劇団チョコレートケーキ」などというスウィーティな名の劇団のスタッフを招いての公演ということで、うっかり緩やかな気持ちで劇場に足を運んでしまいそうだが、そこでまのあたりにするものはおそらく真逆であろう。深刻で胸が締め付けられるような内容になると思われる。しかし原爆投下から、そして終戦から70年を迎える今こそ、時間的地続きの此の国で起こったことを直視すべきなのだ。平和という名の幻想の皮膚の下に厳然として在る歴史の真実を体感し、そしてその悲劇のメカニズムを考えるうえで、この演劇作品は極めて有効性の高いものとなるはずである。
期間:2015年9月10日(木)~20日(日)
会場:こまばアゴラ劇場
作:古川健
演出:日澤雄介
出演:安藤瞳(青年座)、尾身美詞(青年座)、小暮智美(青年座)、渋谷はるか(文学座)、保亜美(俳優座)、宮山知衣(テアトル・エコー放送映画部)、吉田久美(演劇集団円)
問合せ:070-5366-8081(担当:高橋)【10時~20時】on7onnana@yahoo.co.jp
公式サイト:http://onnana.com/