トリ前のステージに現れたパンクヒーロー 高校時代からの盟友・TOTALFAT
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TOTALFAT
八王子天狗祭 【天狗ステージ】 TOTALFAT
個人的な話で恐縮だが、今から10年近く前、「次のパンクヒーローはTOTALFATだ」と友人に鼻息荒く話したところ、「ふーん」と素っ気なく返されたことを今でも覚えている。そいつに今日、ハチテンで繰り広げられた光景を見せてやりたかった。天狗ステージのトリ前を務めた4人は、あの頃も、今日というこの日も、間違いなくパンクヒーローだったからだ――。
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グドモのメンバーとは高校時代から一緒だったという彼ら、今日のステージに向けて並々ならぬ気合いが入っていたことだろう。オープニングを飾った高速メロディックチューン「Place to Try」ではいきなりの大シンガロングを巻き起こし、大きなモッシュサークルを生み出し、クラウドサーファーを続出させた。彼らはハチテンのフロアをものの数分でパンクロックで染め上げてしまったのだ。
「夏のトカゲ」では、序盤にJoseがゆっくりと歌い上げる中、サークルを作り上げた観客が勝手に盛り上がってしまい、「今、俺が歌ってるんだからちょっと聴いてもらってもいいー?」と冗談ぽく苦言を呈する、なんてひと幕もあった。「夏のトカゲ」なんて少々季節外れではあるけど、祭り囃子に合わせてフロア全体でタオルをやたらめったら振り回す光景には、白を黒に変えるぐらいの異様な説得力があった。ケガさえしなけりゃなんでもアリ、なのである。「祭りあるところにTOTALFATあり」とはよく言ったもんだ。
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その後も「宴の合図」「PARTY PARTY」と文字通りのパーティーチューンを連発。しかし、フロアが沸けばそれでいいというわけではない。その歌声、プレイ、立ち振る舞いの随所に“メロディックパンクを背負う者”としてのプライドが見え隠れしていて、そんな姿に胸が熱くなる。もちろん、Kubotyのハードロック/メタルなギターソロも鳥肌モノの切れ味で最高だ。
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「クソ楽しいじゃねぇか、ハチテン!」と興奮を口にしたShunはこう続けた。以下要約。「俺たちとグッドモーニングアメリカのメンバーは高校の同じクラスのダチだったわけですよ。いろんなことを話したよ。あの頃に話していたことを俺たちはひとつずつ叶えていって、今日、グドモがここでフェスを実現させてくれた。まだ叶ってない夢はまだまだたくさんあるけど、これからも前を見て未来へ向けてガンガン進んで行きます!」と。そして、「一番新しくて、一番未来へ向かった曲」という新曲「ONE FOR THE DREAMS」を最後にプレイした。
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今日はグドモとの関係上、過去曲をふんだんに盛り込んだセットリストを組んでみてもよかったのかもしれない。しかし、彼らはそうはしなかった。MCにあった通り、彼らの眼差しは真っ直ぐと未来へ向けられているのだ――。
取材・文=阿刀“DA”大志 撮影=佐藤広理(@hilf_ntlo)
1. Place to Try
2. 夏のトカゲ
3. Room45
4. 宴の合図
5. PARTY PARTY
6. ONE FOR THE DREAMS