パリの若き芸術家たちの青春と悲恋を描くオペラ『ラ・ボエーム』新国立劇場でまもなく開幕!
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『ラ・ボエーム』2012年公演より
プッチーニの名作『ラ・ボエーム』が、11月17日より新国立劇場オペラハウスで開幕する。大ヒットミュージカル『RENT』の原作となったことでもよく知られたオペラだ。
舞台となるのは19世紀パリ、詩人ロドルフォとお針子ミミの純愛、そして明日の成功を夢見る若き芸術家たちの貧しくも自由な生活を描いた青春オペラ。名アリア「冷たき手を」「私の名はミミ」をはじめとするプッチーニならではの甘美な音楽が、とびきりロマンティックな物語を紡ぎだす。
指揮は、ベルギー・ワロニー王立歌劇場音楽監督を務め、特にイタリア・オペラに定評のあるパオロ・アリヴァベーニ。演出は粟國淳で、オーソドックスながら登場人物の心理を丁寧に描き出していて、深い感動を誘う。また、クリスマス・イブのカルチェ・ラタンが舞台上に再現される豪華な第2幕にも注目したい。
『ラ・ボエーム』2012年公演より
【物語】
第1幕 若き詩人ロドルフォ、画家マルチェッロ、音楽家ショナール、哲学者コッリーネは、成功を夢見て、パリの一角の屋根裏部屋で暮らしている。薪を買う金もなく、原稿を燃やして暖を取るほど貧しいが、クリスマス・イヴの今日はショナールの報酬でディナーへ出かける。しかしロドルフォだけ急ぎの原稿を仕上げるため部屋に残る。すると隣の部屋に住むお針子ミミが火を分けてほしいとやってくる。体調の悪そうなミミは、火をもらって帰ろうとしたとき鍵を落としたことに気づく。火が消えた闇の中、2人で鍵を探すうちに手が触れ合い、恋に落ちる。
第2幕 カフェ・モミュスで仲間と合流したロドルフォはミミを紹介する。そこへマルチェッロの元恋人ムゼッタが、新しいパトロンの老人アルチンドロとやってくる。マルチェッロの気を引くためムゼッタはわざと大げさに振る舞うが、マルチェッロは無視。しかし、ついにはアルチンドロを追い払い、2人はめでたくよりを戻す。
『ラ・ボエーム』2012年公演より
第3幕 雪降る夜明け。最近のロドルフォの冷たい態度に悩むミミは、マルチェッロに相談したくて、彼の働く酒場へ向かう。しかし店にはロドルフォがいた。彼はマルチェッロに語り出す。ミミの胸の病は重く、自分の稼ぎでは治療代を払えない、だからミミが離れるようにわざと冷たく当たっているのだと。木陰で聞いていたミミは自ら身を引く決意をし、ロドルフォに別れを告げる。マルチェッロはムゼッタの浮気を疑い、けんか別れする。
第4幕
ロドルフォとマルチェッロは元恋人に想いを馳せて仕事がはかどらない。ショナールとコッリーネが帰宅し、ともに騒いでいると、ムゼッタが瀕死のミミを連れてくる。皆で所持品を質に入れて薬代にしようとするが、時すでに遅く、ミミは、望み通りロドルフォの側で息を引き取る。部屋にロドルフォの絶叫がこだまする。
『ラ・ボエーム』2012年公演より
キャストは、新国立劇場初登場のフレッシュな顔ぶれが揃った。ミミ役はルーマニア出身のアウレリア・フローリアン。近年ヴェルディ、プッチーニ作品を中心にヨーロッパで頭角を現している注目の若手ソプラノだ。ロドルフォ役は、伸びやかな高音で人気を博しているイタリア人テノール、ジャンルーカ・テッラノーヴァ。マルチェッロ役は、ミラノ・スカラ座をはじめ世界の一流歌劇場で活躍するファビオ・マリア・カピタヌッチ。また、石橋栄実、森口賢二、松位浩ら実力派日本人歌手陣にも期待が高まる。
『ラ・ボエーム』2012年公演より
〈公演情報〉
新国立劇場 2016/2017シーズン オペラ公演
【文/榊原和子 資料提供/新国立劇場 撮影/三枝近志】