13万人が「パンツァーフォー!」『ガルパン』最終章の情報も明かされた 第20回大洗あんこう祭レポート
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テレビアニメ『ガールズ&パンツァー』(以下『ガルパン』)の舞台としても知られる茨城県・大洗町にて11月13日、第20回大洗あんこう祭が開催された。ここ5年恒例のガルパントークショーには、渕上舞、茅野愛衣、尾崎真実、中上育実、井口裕香ら“あんこうチーム”の声優陣に加えて、水島努監督も登壇。『ガールズ&パンツァー 最終章』が、2017年12月公開予定、全6章(各章40分以上)構成であることなどが明かされた。トークショーほか、主だったステージイベントなど、祭の様子をレポートする。
『ガルパン最終章』全6章には新キャラも新戦車も登場
ガルパンファンへ向けて、何かしら大きな発表がされる場でもある「大洗あんこう祭」。テレビシリーズが放送された2012年から数えて、ガルパンとしては今年が5回目の参加になる。昨年11月から現在までロングラン上映されている『ガールズ&パンツァー 劇場版』のヒットを受け、今年も来場者数が増加。昨年の約11万人を上回る、過去最高の約13万人を記録した(公式発表)。
トークショーではまず、西住みほ役の渕上舞、武部沙織役の茅野愛衣、五十鈴華役の尾崎真実、秋山優花里役の中上育実、そして冷泉麻子役の井口裕香がステージに登場。中上は、「ヒヤッホォォォウ! 最高だぜぇぇぇぇ!!」と、優花里お決まりのセリフで挨拶したかと思えば、観客をバックにスマートフォンでパノラマ撮影を始める自由っぷりを披露し、さっそく会場を沸かせていた。
中上育実
トークショーを見守る大群衆は、茅野が「水平線のようです。みなさんが海のよう」と表現するほど。「(劇場版を)見に行ってくれた人?」と観客たちに振ると、海が波打つかのように、ほぼ全員の手が上がった。2桁の回数を見に行った人も、ここでは多数派だ。なかには3桁、100回以上見たという筋金入りのファンもいることがわかり、「ガルパン」のパワーを改めて思い知らされる。
茅野愛衣
そんな中、会場に「クラッシュ~戦慄~」が響くと、「蝶野コール」とともにプロレスラーの蝶野正洋と、大洗町の公式イメージキャラクター・アライッペが登場。蝶野は、昨年のあんこう祭で「ガルパン応援大使」に、そして今年春には「大洗大使」にも正式就任している。挨拶では、東日本大震災の復興支援で茨城県の被害はあまり注目されずに“スルー”されてしまったこといや、そこからの盛り上げに「ガルパン」が一役買っていること、そして大洗町の住民がガルパンファンをあたたかく受け入れていることなどにふれていた。
蝶野正洋とあらいっぺ
続いて「ガールズ&パンツァー最終章」の話題になると、ステージに水島努監督が登場。この夏に制作発表された『ガールズ&パンツァー 最終章』が、全6章構成で劇場イベント上映されること、そして第1章が2017年12月に公開予定であることが発表となった。「1年後までに作れと言われましたが、個人的には(2017年)“度”を付けたいです」「(TVシリーズで)2回も落としているので、もう土俵際かなと思っています。がんばって作ります」と、水島監督が反省と意気込みを語ると、ファンからは生あたたかい笑いと声援が飛んだ。
水島努監督
ここからは、声優陣5人による『ガルパン最終章』についての質問タイムが設けられ、水島監督の口から作品の詳しい情報が明らかになった。
尾崎真実
まず、映画の長さに関しては、1章あたり40分以上になるとのこと。質問した渕上から「これはたぶん、伸びるな!」というツッコミが入ると、会場は大爆笑に包まれた。昨年から公開の劇場版でも、当初80分予定だったところから、「150分になり、泣く泣く120分にした」(水島監督)という。
井口裕香
茅野からは、「(劇中に)前生徒会メンバーは出てきますか?」という質問。今年8月に行われたイベント「第2次ハートフル・タンク・カーニバル」での朗読劇『選挙活動します!』の中で、生徒会メンバーが退き、新生徒会(会長:華、副会長:優花里、広報:沙織)が発足していることを踏まえたものだ。水島監督は、「良い意味でも悪い意味でも大活躍」すると答えつつ、西絹代ら劇場版で登場したメンバーを含めて、これまでのキャラクター全員が登場することを明らかにした。ものすごい数の新キャラクターも登場するという。
戦車に関しても「強いのから弱いのまで出ます。カルロ・ベローチェより弱い戦車も出てくるかもしれません」(水島監督)とのこと。また、最後に物語の時系列について、夏だったテレビシリーズと劇場版から時間が経ち、冬になっていることも明かされた。
渕上舞
『ガルパン最終章』の公開(予定)約1ヶ月前には、来年の大洗あんこう祭を迎える。「来年はスタジオから応援しています!」という水島監督に続き、声優陣からも結びの挨拶がされると、渕上の音頭で会場全体が「パンツァーフォー!」と声を合わせていた。
ガルパン楽曲演奏をはじめ充実のステージ
大洗あんこう祭では、ガルパントークショーのほかにも、多彩なステージプログラムが催された。なかでも全国大会常連の大洗高校マーチングバンド部「BLUE-HAWKS」による演奏は大盛況。「ガルパン」の楽曲も組み入れ、トークショーと変わらない数の観客が楽しんでいた。
披露されたガルパン楽曲は、おなじみの『戦車道行進曲!パンツァーフォー!』、『アメリカ野砲隊マーチ』に、劇場版の『学園十色です!』を加えた3曲。『学園十色です!』は映画序盤、大学選抜チームとの公式戦で不利に立たされた大洗女子学園メンバーのもとに、他校の生徒たちが戦車に乗って駆けつけるシーンで流れたもの。「カチューシャ」「フニクリ・フニクラ」など、各校テーマ曲のメドレー形式のため、劇中のどの高校のファンも満足できるニクい選曲だ。
この日は「BLUE-HAWK」のメンバー80人全員が演奏に参加。11月6日に関東大会を終えて全国大会に進むという報告もあり、会場からは大きな拍手が送られていた。
大洗あんこう祭の“顔”ともいえる「あんこう吊るし切り」も盛況だ。今が旬のどっぷりとしたあんこうを、大洗シーサイドホテルの料理人が、解説をはさみながら手際よく切り落としていった。「あんこうの七つ道具」と呼ばれる、ひれ、皮、えら、きも、胃袋、ぬの(卵巣)、だい身(白身)が一つずつ現れて、最後はきれいに頭と背骨だけに。あんこうは体が柔らかいため、まな板に置くよりも、吊るしたほうが安定するという。
多くの模擬店が出たこの日、「あんこう汁」2,000食のチャリティー販売も実施されたが、あっという間に完売していた。そのおいしさは、「仮面ライダーエグゼイドショー」で観客席に乱入してきた怪人・バグスターウイルスたちも、観客の持つあんこう汁に興味を示したほど。しきりにあんこう汁を指差して、何か言いたげに首をウンウン振っていた。
第二会場の商店街には痛車とコスプレイヤーが集結
第二会場となる地元3商店街(髭釜商店街、永町商店街、曲がり松商店街)では、恒例の痛車コンテストが開催。約850メートルの歩行者天国に、痛車80台以上と、戦車、コスプレイヤーが多く集まった。今年は、劇場版から登場した聖グロリアーナ女学院のローズヒップや、継続高校のミカ、アキ、ミッコをモチーフにした痛車も多く見られ、多くの人が撮影を楽しんでいた。
商店街の店舗も、祭に合わせてガルパン仕様になるのが大洗流。活魚店/海鮮料理店の「魚忠商店」は、「魚忠」の看板を劇中どおりの「魚剣」に替えて、あんこう汁などを販売していた。商店街自体も、「祝 聖グロリアーナ女学院 大洗女子学園 戦車道親善試合開催」という劇中どおりの横断幕を用意するほどのノリの良さを見せている。
「大洗に笑顔がたくさん ありがとうガルパン!」というのぼり旗が立っているように、大洗町は「ガルパン」とそのファンをあたたかく受け入れてきた。『ガルパン最終章』が全6章構成なら、「ガルパン」は今後まだまだリアルタイムでありつづける。来年の大洗あんこう祭も、今回にも増してにぎわいそうだ。
レポート・文・撮影=小林 真之輔