市川染五郎、荒川静香、高橋大輔が魅せる美の饗宴『氷艶 hyoen2017-破沙羅-』会見レポート
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氷艶hyoen2017 -破沙羅‐ 記者発表会(左から髙橋大輔、市川染五郎、荒川静香)
歌舞伎×フィギュア、圧倒的に美しい芸術空間
世界初の歌舞伎とフィギュアスケートのコラボレーション『氷艶 hyoen2017-破沙羅-』が、2017年5月に国立代々木競技場第一体育館で上演される。11月28日に都内で開かれた記者会見には、市川染五郎、荒川静香、高橋大輔が、本公演においてアーティスティックコンサルタントを務めるVOGUE JAPANによるモードな装いで登場した。
舞台となる国立代々木競技場第一体育館のアイススケートリンクは、デジタルアート集団TeamLabによるプロジェクションマッピングを駆使した演出で彩られるという。日本を代表する歌舞伎俳優、トップのプロスケーター、さらにVOGUE JAPAN、TeamLaboと、古今東西の美意識を結集させ、どのような芸術空間をみせてくれるのか。以下に、会見の様子をレポートする。
トップスケーターと演じる歌舞伎の勧善懲悪
本作の舞台は、神話の時代の日本。日本史の英雄である「源義経」を高橋大輔が、大敵役、極悪人の「仁木弾正(にったぎだんじょう)」を市川染五郎が演じる。本来は時代も物語も異なる善悪のキャラクターが立ちまわる中で、荒川静香は「女神」を演じる。
市川染五郎
本作で演出を務める市川は、「勧善懲悪は歌舞伎の武器」と語る。歌舞伎とフィギュアスケートに共通する美しさと艶やかさ、そしてスケートのしなやかさで、「涙が出るほどの美しさで感動していただけるような作品を目指したい」と意気込みを語った。
サブタイトル『破沙羅(バサラ)』については、南北朝時代の傾奇者(かぶきもの)を語源にしていると説明した上で、「常識を打ち破っていく人たちをバサラとも言いました。まっさら(沙羅)であるものさえ打ち破っていく、そういう作品に取りかかる精神も込めている」と話す。
髙橋大輔
高橋は「フィギュアの良さ、歌舞伎の良さを融合できる素晴らしい試み。TeamLabの協力もいただきプロジェクションマッピングとも組み合わせて、かっこいいものを目指していく」と語る。
自身の役どころについて「これまでフィギュアスケートでは、そこまで強くストーリーを意識することはありませんでした。善を象徴する義経役ということで、善をどう表現していくかを勉強し、どうかっこよく演じるかを意識していきたい」と熱を込める。
荒川静香
荒川は、スケーターの織田信成、鈴木明子の出演も発表されたことを受け、「第一線のプロのスケーターが総力を挙げて、歌舞伎界の皆様の胸をおかりし、フィギュアスケートを育てていただく気持ちでおります。歌舞伎の表現力を学んでいくことになり、フィギュアスケーターとして成長の機会になると思います。歌舞伎、フィギュアスケートの双方のファンの皆さまがこのエンターテイメントに興味をもって、そして広がっていくよう全力を尽くしたいです」と語った。
また、ふだん自身の衣装デザインにも関わる荒川は、今回の衣装について尋ねられ「VOGUE Japanがコンサルティングに入るということで、楽しみにしています。歌舞伎の衣装を身にまとってフィギュアスケートと融合させる中で、スピードや回転がどうなるかも楽しみ」と意欲をみせた。
ライバルはディズニー?!
左から髙橋大輔、市川染五郎、荒川静香
スケート靴をはくのが数年ぶりという市川は、記者からの「実際に滑るんですか?」という質問に対し「滑るにも色々あります。いかないでと言われても体の方が滑っていってしまうこともあるかもしれませんが、それも含めて私も滑ります」と笑う。
さらに「スケートって自分で止まることができるものですか?」と尋ねる市川に、「止まるのはすぐできるようになりますよ。アドバイスします」と高橋が答えると、「(練習したら)メダル獲れるようになりますか?」とさらに食い下がり、荒川と高橋がたじたじになる場面も。最後には「5回転くらいいけると思う」と自信をみせ、会場の笑いを誘った。
(左から)髙橋大輔、市川染五郎
本作の着想は10年ほど前からあったことを市川は明かす。「『ディズニー・オン・アイス』と言うものを知り『歌舞伎・オン・アイス』があってもいいのではないか。歌舞伎にも個性的なキャラクターがたくさんいますので。世界最速の飛び六方ができるかもしれません」と、場を盛り上げた。
左から髙橋大輔、市川染五郎、荒川静香
最後に市川は「フィギュアスケートとのコラボレーションは夢に描いた作品」と実現の喜びをあらためて語り、「フィギュアスケートには非現実の、夢の世界に誘ってくれる強い力があります。歌舞伎にもまだまだたくさんの可能性があるものです。歌舞伎よりも何倍も大きな、しかも3方向から見えるステージで、ついに実現するこのふたつの融合が、美しい、かっこいい、夢のような作品に、そして次につながる公演になるよう作り上げてまいります」と締めくくった。
■日時:2017年5月20日(土)~22日(月)※各日2公演
■会場:国立代々木競技場第一体育館
■出演:市川染五郎、荒川静香、髙橋大輔、織田信成、鈴木明子 他
■公式サイト:http://hyoen.jp/