『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』公開×オーレリ・デュポン引退公演上映×パリ・オペラ座来日で“祭り”気分!

2016.12.5
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『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』よりバンジャマン・ミルピエ


バンジャマン・ミルピエ。 太陽王ルイ14世により創設されて以来350年以上の歴史を誇る世界最高峰のバレエの殿堂「パリ・オペラ座」の芸術監督に2014年、史上最年少(37歳)で抜擢された鬼才振付家である。そればかりか、そのようなこのうえない名誉を伴う地位を今年(2016年)2月に自ら手離した男である。彼は映画『ブラック・スワン』(2010年)の振付も担当したことでも知られ、その映画がきっかけとなり主演女優のナタリー・ポートマンと結婚したことも有名だ。

そんな彼の、伝統に対する異端とも言える挑戦を、圧巻の映像美で描き出した珠玉のドキュメンタリー『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』が、12月23日(金・祝)よりBunkamuraル・シネマ他にて公開となる。

本作はミルピエがパリ・オペラ座バレエ芸術監督として手掛ける新作公演『クリア、ラウド、ブライト、フォワード』完成までの40日間に密着し、公式プロデュース作品でしか成しえない、パリ・オペラ座の貴重なバックステージをスタイリッシュに映し出す。階級制度を否定し、エトワールではなく若手ダンサー達からメンバーを選び、長い歴史の中で初めて黒人ハーフダンサーを主役に抜擢するなど、伝統ある名門に大胆な変化をもたらしていく異端児の姿を追う。

『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』より

なお、ミルピエは前述のとおり芸術監督を今年辞任したが、その後任として同職に就任したのが、オーレリ・デュポンである。彼女はパリ・オペラ座バレエ最高位のスター・ダンサー=エトワールだったが、2015年5月に同バレエ団42歳定年制の年齢を迎えて引退公演をおこなった。パリのセレブたちに見守られながら披露したその演目は『マノン』であった。

そのオーレリ・デュポンの伝説的な引退公演『マノン』が、ミルピエのドキュメンタリー映画公開直前記念として12/10(土)~12/22(木)に限定上映されることも決定した(詳細は下記公演情報を参照のこと)。

『マノン』より

さらに、である。2017年3月にはパリ・オペラ座バレエが新芸術監督オーレリ・デュポンに率いられて日本にやってくる。しかも、引退公演をしたはずのオーレリ・デュポンも<グラン・ガラ>に出演し、バリバリに踊る。その中で特に注目がラヴェルの『ダフニスとクロエ』である。というのも、これはミルピエの演出・振付作品なのだ。つまり辞任した前芸術監督の作品を、後任の芸術監督にして同バレエ団を引退したスターダンサーが踊るのである。クロエを踊る。過去にライブビューイングなど映像で接することのできた舞台ではあるが、遂に生で鑑賞できるというのは貴重きわまりない(こちらも下記公演情報を参照のこと)。

Opéra national de Paris「Daphnis et Chloé」 Photo:Agathe Poupeney / OnP

そのような次第で「ミルピエ/デュポン/パリ・オペラ座バレエ」まつりが、まもなく始まろうとしている。関東在住のバレエ・ファンはこの波を乗り逃すことはあってはならない。


<映画『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』に寄せて著名人たちからのコメント>

草刈民代(女優)
新芸術監督バンジャマン・ミルピエが世界最高峰パリ・オペラ座に挑む孤高の闘いの記録。ミルピエのしなやかでいて決して折れない創作意欲の強さに感動。


森山未來(俳優)
これは見目麗しきバレエ映画ではなく、旧体制の官僚モンスター、パリ・オペラ座に立ち向かう若き勇者の物語である。そんなミルピエは2016年2月に芸術監督を辞任。僕たちは彼をドン・キホーテだと称してしまっていいのか。

井上芳雄(俳優)
革新と伝統。創造と責任。相反する二つの世界に挑む姿は、痛々しいまでに美しい。いや、生きるとは本来そういうことのはずだ。そして、一瞬で消えてしまう舞台芸術の裏側が、こうやって形に残ることに大きな意味がある。

槇村さとる(漫画家「Do Da Dancin’!」)
ミルピエは周りの人間を抗いがたい魅力で引きつけます。彼こそが生きる喜びそのものだからです。永遠の一瞬を創り上げる人たちのノンフィクション。

大貫勇輔(ダンサー・俳優)
ダンサーの創作の裏側を刺激的に繊細に描いていて、観ていて希望が湧き、今の日本ではこのレベルでできる公演はいくつあるのだろうと嫉妬してしまう。とても美しい作品です。

梅田宏明(振付家・ダンサー・ビジュアルアーティスト)
世界最高のバレエ団でも、以前の彼と変わらず、同じ好奇心と野心を持って、真正面から自分の信念を貫くバンジャマンの姿が在る。

ジョージ朝倉(漫画家「ダンス・ダンス・ダンスール」)
振り付けとは勇気と愛。芸術を創り上げる過程とは、それとまた同様に力強く美しいのですね。

上野水香(バレリーナ/東京バレエ団プリンシパル)
ミルピエのバレエへの愛と若いダンサーの情熱。アーティストの苦悩と達成感に満ちたドラマにくぎ付けになりました!

廣川玉枝(デザイナー)
一つの舞台に注がれる情熱と葛藤。厳しさの向こう側にある美には、人を感動させる力がある。沢山の想いが開花する舞台の幕開けは、曙に登る光のようだ。

岩田守弘(ダンサー/国立ブリヤートオペラ・バレエ劇場バレエ団芸術監督)
この映画は、現代の芸術が抱える問題点をデリケートにそして間接的に、我々に考えさせてくれるとても興味深い作品である。

公演情報

映画『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』

■監督:ティエリー・デメジエール/アルバン・トゥルレー
■音楽:ニコ・マーリー
■衣装:イリス・ファン・ヘルペン
■出演:バンジャマン・ミルピエ、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェ、アクセル・イーボほか
2015年/フランス/110分/原題:Relève(原題)、Reset(英語題)
■配給:トランスフォーマー
©FALABRACKS,OPERA NATIONAL DE PARIS,UPSIDE DISTRIBUTION,BLUEMIND,2016
12月23日(金・祝)より全国順次公開。

 
パリ・オペラ座300年の歴史に若き異端児が挑む、新作上演までの40日間。創作の喜びを呼び覚ます、エモーショナル・バレエ・ドキュメンタリー。名作『ブラック・スワン』の振付師であり、女優ナタリー・ポートマンの夫として知られる稀代のダンサー、バンジャマン・ミルピエ。20年近く芸術監督を務めたブリジット・ルフェーヴルの退任後、ニコラ・ル・リッシュ、マニュエル・ルグリら錚々たる有力候補を押しのけ、史上最年少でパリ・オペラ座の芸術監督に大抜擢された彼は、350年以上の歴史と伝統を誇る名門に挑み、次々と革新をもたらしていく――。しかし、ミルピエは就任後わずか1年半ほどでパリ・オペラ座の芸術監督を辞任することに。果たして何があったのか? なぜパリ・オペラ座はミルピエを起用したのか? そして、彼はパリ・オペラ座に何をもたらしたのか? 伝統に対する挑戦か異端か、それとも……。伝統と革新が激しくぶつかるとき、歴史に新たなページが刻まれる――。
 
本作はミルピエの芸術監督として初の仕事であり、彼が歴史と伝統に対峙しながら挑む演目「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」のバックヤード、そして完成までの道程を、スタイリッシュかつ圧巻の映像美で描く。ルー・リードやビョークの『メダラ』『拘束のドローイング』に参加したピアニストのニコ・マーリーが音楽を手掛け、アヴァンギャルドな気鋭ファッションデザイナー、イリス・ヴァン・ヘルぺンが衣装を手がけ、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェ、総勢24名、次世代のスターたちが出演していることも注目だ。


『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』公開直前記念! オーレリ・デュポン引退公演『マノン』限定上映

■上映期間:12/10(土)~12/16(金)連日19:10~、12/17(土)~12/22(木)連日12:25~
■会場:Bunkamura ル・シネマ http://www.bunkamura.co.jp
■料金:2500円均一(税込)
■映像監督: セドリック・クラピッシュ
■出演:オーレリ・デュポン、ロベルト・ボッレ、ステファン・ビュリョン、アリス・ルナヴァン、バンジャマン・ペッシュ、カール・パケットほか
2015年/フランス/135分
■配給:カルチャヴィル
■配給・宣伝協力:dbi inc.
クレジット:(C)Opéra National de Paris, la Belle Télé and France Télévisions 2015

 
バレエの神に愛された永遠のバレリーナ、伝説の引退公演がスクリーンで蘇る――。バレエファンならずとも、“オーレリ・デュポン”の名前は聞いたことがあるだろう。バレエ史上最も多くの ファンに愛されたバレエダンサーの一人であるオーレリ・デュポンが長年トップエトワールとして活躍してきたパリ・オペラ座で、2015 年 5 月に彼女のダンサーとしての人生の幕を閉じる引退公演が行われた。
 
この引退公演「マノン」には、主役のオーレリ・デュポンだけでなく、ステファン・ビュリョン、アリス・ルナヴァン、バンジャマン・ペッシュ、カール・パケットなど豪華エトワールが参加している。しかもオーレリ・デュポンの相手役を務めたゲスト・ダンサーのロベルト・ボッレ(『ミルピエ~』と同時期公開の『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』にも出演)はミラノ・スカラ座バレエ団エトワールでありアメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルだ。オーレリのためにトップダンサーが集結した引退公演は、ファンに大きな感動を与え、オーレリ・デュポン――にとってはダンサー人生の素晴らしい幕引きとなった。
 
この公演は日本のバレエファンの中でも話題になり、フランスでは収録された公演が映画館で上映されたこと もあり、日本での映画館上映を心待ちにしていた方々も多いだろう。収録にあたり監督を務めたのは、世界の映画祭でも高い評価を得てきた映画監督セドリック・クラピッシュ(『PARIS』『スパニッシュ・アパートメント』)。クラピッシュによる繊細な映像は、生の公演の感動をそのままに、オーレリの細かな表情や仕草、そしてダイナミックな舞台上の動きを見事にとらえている。



パリ・オペラ座バレエ団

■演目・日程:
<グラン・ガラ>2017/3/9(木)~3/12(日)(※オーレリ・デュポン出演=3/9(木)18:30・3/11(土)13:30&18:30予定)
「ラ・シルフィード」2017/3/2(木)~5(日)
■会場:東京文化会館大ホール
■公式サイト:http://www.nbs.or.jp/stages/2016/parisopera/index.html