東京アンティーク散歩vol.1 成城学園前にある"夢の屋根裏部屋"『attic』

2016.12.9
レポート
アート

成城学園前『attic』

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東京近郊にある、上質なアンティークショップを巡っていく連載『東京アンティーク散歩』。記念すべき第一回目は、成城学園前にあるアンティーク店『attic』をご紹介する。

成城学園前の"花咲く屋根裏部屋"

落ち着いた佇まいのお屋敷街、成城学園前。大通りから一本入ると思いのほか静かで、シックな雰囲気の路面店がぽつぽつと立ち並ぶ。それらの店のウィンドウには大人の女性が好みそうな上質な品々が大切に陳列されている。

そんな通りにある小谷森ビルの二階を見上げると、「ANTIQUE」の文字が目に入った。ゆっくりと階段をのぼり、ガラスの扉を開くと、少女時代の憧れがそのまま現れたような空間に迷い込む。さまざまな花で彩られたカップやお皿、ぼんやりときらめく古いガラス、柔らかい光を放つロマンチックな小さなランプ……。初めてこの店を訪れた女性は「こんな所にこんなお店があるなんて!」と、誰もがため息をつくだろう。そこは、足を踏み入れた誰もが「宝物のような場所だ」という気持ちを抱いてしまうアンティークショップ『attic』だ。


atticとは英語で「屋根裏」という意味。そう、ここは"夢の屋根裏部屋"なのだ。骨董屋らしからぬピンクや水色の壁に彩られた店内には、所狭しとフェミニンなアンティークアイテムが並ぶ。花柄のカップアンドソーサー、お皿、銀のカトラリー、リネン類、アクセサリー、ランプなど、丁寧にディスプレイされた品々は、いつまでも見ていたくなるような魅力を秘めている。

 

ロンドンのアンティークスタイルを東京で

atticのショップコンセプトは、ロンドンやパリの街角にあるような普段使いのアンティーク店だ。店主の木本氏は学生時代にインテリアの勉強のためロンドン留学。アンティークが身近なものとして浸透している生活を体験したという。気軽に使えるアンティークが街のあちこちで売られており、人々はそれを生活に取り入れて楽しんでいた。必需品じゃないけど、ないと寂しい。生活に華やぎを添えるアンティークの魅力を知った木本氏は留学後、都内のアンティーク店に勤め始めた。退職後、「ロンドンの住宅街にあるようなアンティークのお店を出したら楽しいだろうな」と、友人とともに成城学園前に17年前にatticを開業。敷居が高いと思われがちなアンティークをあえてカジュアルに販売しはじめた。買い付け先は主にイギリスだ。

アンティークランプも充実

感性で品物を選んでおり、特に商品の生産国にはこだわらない。自分の感覚で選んだものが売れるととても嬉しいという。何年お店を続けても一向に飽きることなく、日々ディスプレイを工夫し、撮影した写真をSNSで発信するのも楽しみのひとつだ。そんな、"アンティークの楽しさ"が空間に充満しているせいか、成城学園前のみならず、遠方からatticを訪れる客も少なくない。

ロマンチックなグラス類も取り揃えている

手ごろなレース編みの敷物や刺繍の布製品も

 

香り立つアンティークカップの花々

ここatticで特に目立つ商品は、カップアンドソーサーのコレクションだ。さまざまなメーカーのカップには、独特の花柄が絵付けされており、香り立つように美しい。中でもお店のイチオシは、エインズレイのシリーズである。エンズレイは18世紀に創業した名窯。ビクトリア女王はじめ、多くの王侯貴族に愛される英国を代表するブランドとして知られている。店頭には柔らかい黄色と薄緑をベースにしたエインズレイの上品な花柄の食器が並ぶ。カップアンドソーサーだけでなく、大皿やクリーマーも揃っているが、セットでなくともバラで購入できる。

英国の名窯エインズレイ

「たとえば、お好きなカップアンドソーサーを1客づつ買って、違う種類のものと組み合わせて、ご家族やご友人と楽しんでいただきたいんです。全部そろいのセットでなくてもいいと思うんですよ。ロンドンの若者達の間では、カップとソーサーをばらして別々のものを自由に組み合わせてミスマッチを楽しむティータイムが流行っています」と木本氏。atticのバラ売りは、こうした最新のティータイム事情を知っている木本氏ならではのホスピタリティなのだ。

かわいらしい小さな鏡台も

またatticではアンティークランプのコレクションも充実している。ロマンチックなアンティークランプで、状態のよい在庫を置いている店は案外少ない。しかもatticでは配線を国内用に手直ししており、購入後すぐに使うことができるのだ。実は筆者がこの店を知ったのは、スタイリストの仕事でアンティークランプの手配を依頼されたのがきっかけだった。はじめて訪れたとき、ランプだけ予約してすぐに帰るつもりが、ほかの品々にも目を奪われ店主の審美眼に脱帽したものだ。

国内用に配線されたアンティークランプ

店主の木本氏は言う。「アンティークに詳しくなくてもいいと思う。知識より楽しむことが一番。アンティーク店はいわば最古のセレクトショップなんです。お店がセレクトした雑貨を気軽に見にくる気分でいらしてください」

知る人ぞ知る夢の屋根裏で、小さなお気に入りを探してみてはいかがだろうか。

 

店舗情報
attic(アティック)

場所:〒157-0066 東京都世田谷区成城6/16-4 小森谷ビル2階
TEL/FAX:03-5490-6601
定休日:火曜日定休
アクセス小田急線 成城学園前駅北口より徒歩2分
公式Facebook:https://www.facebook.com/attic.antiques.seijo/
公式Instagram:https://www.instagram.com/attic_antique_seijo/?hl=ja