"成長期"を迎えますます輝きを増すMrs. GREEN APPLE バンド史上最大ワンマンでみせたもの

SPICER
Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

画像を全て表示(9件)

In the Morning Tour 2016.12.8 TOKYO DOME CITY HALL

昨年ぐらいから何度もMrs. GREEN APPLEを観させてもらっているが、このバンドのライブはいつでも楽しい。それは先日、12月8日に行われた秋の全国ワンマンツアーのファイナル、TOKYO DOME CITY HALL 2日目公演でも同様だった。ではなぜ、彼らのライブはいつでも“楽しさ”という部分に集約していくのだろう。そこには“自分の歌が誰かの歌になっていく”という特別な事実を目の前に、素直に喜びを発露させる5人の姿があった。

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

バンドロゴ型のネオンがあったり、花道が伸びていたり、少し高い位置にメンバーが通る用の通路があったり、その背後には巨大スクリーンがあったり……と仕掛け満載のステージを前にワクワクしていると、まずは山中綾華(Dr)が登場。彼女が叩くビートに乗っかって、ステージの上手/下手側から大森元貴(Gt/Vo)、若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Key)、髙野清宗(Ba)の4人が飛び出してきた。大森が「東京!楽しむ準備はできてますか!?」と呼びかけたあと、1曲目「VIP」がスタート。全国行脚を経てより色鮮やかになったバンドサウンドは一段と頼もしくなっているし、そうなるほど楽しくもなっていくのがMrs. GREEN APPLEというバンドである。もはや自分の立ち位置を大きく離れてオーディエンスを煽るメンバーの自由な姿も、カメラ目線でお茶目にポーズを決める様子も、かなり板についてきた。「みんな普段『イェーイ!』とか『フゥー!』とか言わないでしょ? でも今日は言っていい日なんですよ! そういう感じでみなさんと歌いたい曲があります」(大森)と突入した「Speaking」では要所要所でスクリーンに歌詞が映り、シンガロングが巻き起こる。

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

最新シングル『In the Morning』収録の3曲すべてを披露するだけでなく、これまでのディスコグラフィも網羅、さらに未発表曲や新曲も惜しげもなく披露したこの日。特に、RPG風の歌詞と電子サウンドの組み合わせが新鮮な「Oz」、鬼気迫るような鋭さが身に迫るような「ツキマシテハ」、会場が牧歌的な空気でいっぱいになった「ノニサクウタ」――と異なるベクトルの曲を立て続けに演奏した中盤では、このバンドの多彩さを改めて実感させられた。さらに年明けにリリースする2ndアルバム(メンバーいわく「これぞMrs. GREEN APPLE!と言いきれるようなアルバム」とのこと)から「Just a Friend」も披露されたのだが、個人的には、謎の覆面ラッパー・MC.WKなる人物(ちょうどその時若井がステージにいなかったが)登場後に演奏されたヒップホップ調の新曲「REVERSE」が強く印象に残っている。言葉をたくさん詰め込みながら畳みかけていくボーカルといい、リズムやフレーズのループで聴き手を昂らせていく演奏といい、これまでのどの曲にもないアプローチだったが、違和感なくミセスの曲として受け入れられる仕上がりになっている。しかもこの曲、次のアルバムに収録される予定ではないという。すごいを通り越してもはや恐ろしい、というのが正直な感想だ。

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

今年20歳になったばかりの大森は、後のMCにて「僕と若井は成長期だし、外見も変わっていくし、考えることや歌いたい言葉もぶっちゃけどんどん変わってくるけど。でも核の部分は何も変わらないんですよ。叶った時には次の夢を見てるというか」と話していた。彼のようにとめどなくアイデアを溢れさせるタイプのフロントマンと共にバンドをやっているメンバー4人はさぞかし大変だろう、と新曲を聴くたびに思ってしまうわけだが、彼に寄り添いながらその難しさすらも楽しさに変換できるのがこの4人であり、そうやって5人の佇まいがどんどんバンド然としたものに変わっていく過程こそが、Mrs. GREEN APPLEというバンドにとってのひとつの物語なんじゃないかと私は思っている。小学6年生の頃に音楽を始めたという大森には、学校にも行かず一人きりで曲を作り続けていた時期があったという。そうなってくると彼にとって音楽を作ることが存在証明に近かったのではないかと考えられるが、それを共に鳴らすメンバーが現れたことにより彼の歌は彼だけのものではなくなった。そして今はその歌がさらに、聴き手一人ひとりのものになっていくことの尊さと喜びを実感している時期なのだろう。

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

そういう意味で、オーディエンスがスマホのライトを灯す中、バンド結成以前からあったという曲を大森の弾き語りで届けた「光の詩」と、「一緒に歌ってほしい曲があります。みんなの歌です」と伝えてから演奏した「In the Morning」は紛れもなくこの日のハイライトだったし、フロアを見渡すメンバーもとても穏やかな表情をしていた。ここに集まった3200人を一まとまりとして捉えたくない、一人ひとりが集まって3200人になっただけなんだ、と語りかけた大森は、「本当にこの景色が全てだなと思います。みんなそれぞれ思うことがあって、交わって、活動できている」と噛みしめる。自分のそばに誰かがいてくれるというこの現状を当たり前だとは思えないからこそ、ミセスは夢や愛を信じ続け、歌い続け、守り続ける。だから今は、孤独だったあの時に置いてきた喜びや楽しさを取り戻すように、その音楽をキラッキラに輝かせていてほしい。例え誰かから綺麗事だと笑われようとも、そう言ってきたヤツらの目を眩ませてしまうくらいに。

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

今回のTDCホール2デイズはバンドにとってワンマン史上最大規模の会場だったし、この会場に対する特別な思い入れを語った髙野をはじめ、アンコールではそれぞれがこの日に駆ける気持ちを語ったMCもあったのだが、5人揃って一歩先へ視線を向けていることが伝わってきたこと、そういうバンドとしての充実感が演奏に滲み出ていたことが何よりも嬉しかった。休む間もなく、来年3月からは全国ライブハウス&ホールツアーが始まる。5人の冒険譚がもたらす“楽しさ”はさらに遠くへ広がり、彼らの音楽を取り巻く人々はますます幸せになっていくことだろう。


取材・文=蜂須賀ちなみ 

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

Mrs. GREEN APPLE 撮影=上飯坂一

セットリスト
In the Morning Tour 2016.12.8 TOKYO DOME CITY HALL
1. VIP
2. キコリ時計
3. アンゼンパイ
4. Speaking
5. Oz
6. ツキマシテハ
7. ノニサクウタ
8. 光の詩
9. Just a Friend
10. REVERSE
11. うブ
12. In the Morning
13. リスキーゲーム
14. StaRt
15. サママ・フェスティバル!
16. 愛情と矛先
[ENCORE]
17. 我逢人
18. 庶幾の唄

 

リリース情報
2ndアルバム『Mrs. GREEN APPLE』
発売日:2017年1月11日(水)
 
初回限定盤:UPCH-29244 3,500円+税
通常盤: UPCH- 20443 2,800円+税
 
-収録曲-
1. Lion
2. In the Morning 関西テレビ・フジテレビ系『#naked Eve』10月クールEDテーマ
3. おもちゃの兵隊                 
4. 絶世生物
5. soFt-dRink 2017年5月公開予定 映画『ポエトリーエンジェル』主題歌
6. 鯨の唄
7. うブ
8. サママ・フェスティバル!日本工学院2016CMソング&テレビ朝日系『musicるTV』6月度OPテーマ
9. Oz (Album Version)
10. Just a Friend
11. FACTORY
12. umbrella (Album Version)
13. JOURNEY
シェア / 保存先を選択