クリスマス・ナイトミュージアムが開催決定 『デトロイト美術館展』の見逃せない名画をご紹介!

レポート
アート
2016.12.22

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上野の森美術館で現在開催中の『デトロイト美術館展』にて、12月17日、24日、25日の3日間にクリスマスイベントが開催される。この3日間は『クリスマス・ナイトミュージアム』として、夜間特別開館(17時半から19時)にてスペシャルな空間で作品を鑑賞することができる。(各日100組限定)

さて、本展ではどのような絵画を鑑賞することができるのか。デトロイト美術館展の中を少しのぞいてみることにしよう。

第1章は、『印象派』と題され、ピサロ、ルノワール、ドガといった印象派巨匠たちの作品が紹介される。戸外の風景や当時の人々といった日常的な一場面がモチーフとなっている作品が多くみられるのが特徴だ。ワイングラスやティーカップが描かれた作品が並び、西洋の生活に思いをを馳せることができるこの部屋には、クリスマスツリーが飾られている。

第2章は、『ポスト印象派』だ。セザンヌ、ゴッホなどの名画が展示される。

第3章は『20世紀のドイツ絵画』として、カンディンスキー、ヘッケル、ベックマン、キルヒナーなど、ドイツ表現主義に属する画家の作品世界が広がる。色鮮やかな空間になっているのが印象的だ。エミール・ノルデの『ひまわり』は、画家を志すきっかけとなったゴッホのひまわりのオマージュとなっており、前章からの時の流れを感じることができる。

第4章は、『20世紀のフランス絵画』。マティス、ピカソ、モディリアーニといった、いわゆるエコール・ド・パリ(パリでボヘミアン的な生活をしていた画家たち)の代表となる作品の数々が並ぶ。

一度は聞いたことがある名画が揃った、贅沢な空間が広がっていることがお分かりいただけるだろう。なかでも本展で一番の見所は、ゴッホとマティスの絵画だ。アメリカの公共美術館の中で初めてこの2人の作品を手に入れたのが、何とこのデトロイト美術館なのである。もちろん本展では、その作品も来日している。

フィンセント・ファン・ゴッホ 自画像 1887年 City of Detroit Purchase デトロイト美術館所蔵

フィンセント・ファン・ゴッホ 自画像 1887年 City of Detroit Purchase デトロイト美術館所蔵

こちらはゴッホの自画像。これはパリに滞在していた時、印象派の手法に影響を受けながら作風に色彩が帯びてきた頃の作品である。黄色い麦わら帽子、鮮やかな肌色と彼の目に映る神秘的な深緑が観る者を惹きつける。この自画像には、青い洋服の下の方に指で塗った跡が残っており、ゴッホの息吹を強く感じることができる一作だ。

アンリ・マティス 窓 1916年 City of Detroit Purchase デトロイト美術館所蔵

アンリ・マティス 窓 1916年 City of Detroit Purchase デトロイト美術館所蔵

続いてはマティス。ひときわ目を引くのはこちら『窓』であろう。背丈ほどもある大きな絵画だ。肘掛け椅子とテーブルの上には春から夏にかけて花を咲かせる忘れな草が盛られ、手前には赤い絨毯がある。涼しげな白いカーテン奥からは、爽やかな緑がのぞく。当時の美術館がこのマティスの作品を購入することは、ちょっとした冒険であったと資料には記載されているそうだ。

The Rivera Court Photo by Salwan Georges

The Rivera Court Photo by Salwan Georges

こんなにも豪華な作品を所蔵するデトロイト美術館。実は、これらの所蔵作品を観賞できる現状には、デトロイト美術館が乗り越えてきた"とある秘話"が隠されている

1885年にデトロイト美術館が誕生してから、本館はデトロイト市民の誇りとして存在してきた。しかし、2013年7月、デトロイト市財政破綻により、デトロイト美術館は閉館の危機に陥る。「市の財政補てんのために所蔵品を売るべきだ」という声も一部からあがったという。しかし、所蔵品は一度手放せば二度と手に入らない名画ばかり。そして何よりもこれは市民の宝として大切に保管されてきた歴史がある。

この危機を救ったのは、世界からの熱い想いだ。国内外から寄付が集まり、その存続が可能となった。来日している作品たちは、そうした困難を乗り越えて来日した特別なものなのである。ここにあるのは、単なる豪華な展覧会ではなく、普遍的に価値のあるものを大切にしていこうとした、沢山の人の想いがのせられた展覧会と言えよう。

私たちが、こうして絵画を堪能することができる幸福や感謝を、クリスマスへの想いと重ねて鑑賞してみてはいかがだろうか。

 

文=Yoshiko

イベント情報
『デトロイト美術館展』クリスマス・ナイトミュージアム
日程:2016年12月17日(土)、12月24日(土)、12月25日(日)
時間:17:30~19:00(入館は18:30まで)
会場:上野の森美術館(台東区上野公園1-2)
料金(税込): ペア3,000円 (1日 100組限定)
詳細はこちら:http://www.detroit2016.com/outline/tokyo_event.html#12_1

デトロイト美術館展 ~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~
開催期間:開催中~2017年1月21日(土)
休館日:なし ※年末年始含め無休で開催いたします。
開館時間:9:30~16:30<但し、毎週金曜日は 9:30~20:00>※入館は閉館の30分前まで
開催会場:上野の森美術館(〒110-0007 東京都台東区上野公園1-2)
お問い合わせ:ハローダイヤル 03-5777-8600 (全日/8:00~22:00)

 

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