激動、濃厚、そして成長! Amelieが過ごした"ドラマチック"な1年が生んだ最新作を語る
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Amelie 撮影=西槇太一
思っていた以上のこと、思うように行かなかったこと。Amelieが過ごした2016年には、とても1年間の出来事とは思えないほどいろいろなことがあり、同時に充実していたという。その1年の中で練られ完成した1stミニアルバム『ドラマチック』は、たくさんの候補楽曲の中から選び抜かれたポップで楽しいナンバーが並び、そして聴く者の背中を押す優しさと強さを有す作品となっている。そんな最新作誕生の背景を、1年を振り返りながら4人全員に聞いた。
──1月11日にリリースされる1stミニアルバム『ドラマチック』は、ポップな部分とロックな部分がいい塩梅でせめぎあっていたり、それぞれに振り切ったりしていて楽しい1枚だなと思ったんですが、収録曲は9月に発表した1stシングルと同時期に制作されていたんですか?
直人:そうですね。『グッバイ&ハロー』(2015年12月リリース。1stアルバム)のツアー中から、曲作りはずっと続けていて。ミニにするか、フルにするか、いろいろ話はあったんですけど、シングルを出してミニアルバムにしようと。なので、1年通して制作を続けていた感じです。
──振り返ってみて、2016年はどんな1年でした?
直人:たぶん、バンドとして一番進めた年だったと思っていて。自分達的には、アルバムをリリースして状況がいろいろ変わると思っていた部分もあったんですよ。そこでうまくはいかないこともあったけど、一歩一歩進めている実感はしっかりとある1年だったと思います。
──mickさんは2016年を振り返ってみていかがですか?
mick:去年の上半期はすべてツアーに費やしていたんですけど、それまではかっこつけてライブをしていたというか、理想としているAmelieのmick像に近づかなきゃと思いながらやってたんですよね。元々は感情の起伏が激しいほうというか(笑)、上がったり下がったりがすごいんですけど、そういうものもなくして、イチ大人として、立派な人間としてステージにあがらきゃっていう気持ちでいたんです。でも、いろんなライブを経て、それは違うのかもと思って。無理してつらいなって思いながらやるよりも、上がったり下がったりしてるほうが自分らしい。そうやってAmelieというバンドも、自分のことも肯定できるようになった1年だったかなと思います。
──まさに「ドラマチック」の歌詞にある通りの1年だったと。
mick:まさにです(笑)。
あっきー:僕、iPhoneで写真をよく撮るんですけど、(2016年に)何をしてたっけ?と思って、この前見返してたんですよ。1000枚は超えて、見るだけで時間がかかっちゃったんですけど、この写真って2~3年前なんじゃないの?って思うぐらいで。毎日充実しすぎてましたね。この1年で成長できたと思うし、1年前の自分とはもう別人みたいな。
mick:うん。めっちゃわかる。
あっきー:なんかもう、1年前の写真を見るのがちょっと恥ずかしかったんで(笑)。mickも大人になったよね。遅刻しなくなったし。
mick:それは去年じゃないよ! もっと前じゃない?
あっきー:まぁ、わからないですね(笑)。この1年でいろんなことがありすぎたんで。
アサケン:俺もあっきーと同じですかね。去年のことが3年前ぐらいに感じます。
あっきー:なんなんですかね、この感じは(笑)。
アサケン:やっぱり入ってくる情報量が多かったからだと思う。あと、自分達自身もそうだけど、曲も変わったよね?
mick:うん。前よりわかりやすくなったと思う。
アサケン:そういった自分達の変化とか、2016年のAmelieが、今回のミニアルバムにはストレートに表れていると思いますね。
Amelie 撮影=西槇太一
──でも、1年通して作ってきた楽曲の中から選曲するとなると、かなり大変だったんじゃないですか?
直人:めちゃくちゃ悩みました。
アサケン:結構ギリギリまで悩んでましたからね。レコーディングが始まってるのに、最後に入れるあと一曲をどれにするか決まってなかったし。で、他の曲を聴いて、これにしようって決めたのが「ゼロじゃない」で。
──リード曲が最後に決まったんですね。
mick:みんなの判断基準としては、アルバム『グッバイ&ハロー』は陰と陽とか、12曲でいろんな表情を出せたので、それを超えるものを作らないと意味がないっていうのはあったんですよ。だから、どの7曲にしたら超えられるか、いろんな色を表現できるかっていうところに視点はあったと思いますね。
直人:うん。どの曲にもそれぞれ色があるから、他とかぶらずに、今の自分達がやりたいものをっていうことで、この曲で行こうって。
──「ゼロじゃない」は直人さんが作詞作曲をされていますけど、収録曲の中で一番激しいというか。アップテンポだし、エモいですね。
直人:元々「ゼロじゃない」のところに入れようとしていた曲があったんですけど、それをそのまま入れてしまうと、アルバムがすごくポップになるなと思って。もちろんポップはやりたいことでもあるんですけど。
アサケン:メンバーとエンジニアの方も含めて話していて、最後の一曲は攻めなきゃダメだっていう感覚に、みんななってたと思います。
あっきー:うん。今回収録している曲以外に何十曲も作ってたし、攻めてるシリーズの曲も他にあったけど、その中でも飛び抜けていたし、全員一致でこれでしょ?っていう感じでした。
──この曲、サビの<あーあ>がすごく好きでした。
mick:ははははは(笑)。絶叫ですからね。
──ええ。それこそ、mickさんが先ほどお話しされていた、理想の自分になりたいけどなれないという葛藤が書かれている歌詞ですし、その<あーあ>で感情が爆発しているところがあって。
mick:こういう人になりたいっていう憧れはあるけど、でも自分は自分であって。そういう今の自分を受け入れつつも、でも先に進みたいっていうハングリー精神はなくしていないし、なくしちゃいけないと思うし、それは当たり前に自分が持っているものとしてあるんですよ。それに、さっき直人さんも言ってたけど、バンドとしては、アルバムを出したら状況が変わると思ってたんですよね。そこは先輩達を見ていたからっていうこともあるかもしれないですけど、本当にガラっと変わるかもと思っていたら、全然変わらなくて。それにちょっと焦ったり、理想の自分になりたいけどなれないっていう気持ちになったり。そのときのAmelieがすごくわかりやすく出ている歌詞だったので、歌っていて感情移入しやすいです。まだライブでやってないから、どういう感じになるか楽しみですね。
Amelie 撮影=西槇太一
──聴く側としてもライブでどうなるか楽しみです。
あっきー:今回の曲って、ただ作っていくんじゃなくて、ライブでお客さんが拳をあげたり、歌ったりできるものを考慮して作ったところが半分ぐらいありますよね?
直人:うん。それこそ<あーあ>は、ライブで歌ってくれるだろうなって。
──たしかに、そういう部分が今回の曲達には多いですよね。タイトル曲の「ドラマチック」は、mickさんと直人さんの共作とのことですけど。
mick:私がまるっと一曲スタジオに持って行って、みんなで作ってたんですけど、サビがちょっと違うよねっていう話になって。
アサケン:元々はサビの出だしが英詞だったんですよ。
mick:しかももっと歌謡曲っぽかったんです。90年代J-POPみたいな感じで。でも、これは出せねえ!ってなって(笑)。
あっきー:これをリードにしたいっていう話もあったから、そのためにはもっとキャッチーで、もっとノリやすいメロディーが必要だっていうので、みんなで意見を出しあってたんですよ。鼻歌を歌ったりしながら、一時間以上やってたのかな。みんなもう頭がパンパンになって、ちょっと休憩しようってなったんですけど、直人さんがその間もひとりでずっとやってたんですよ。で、僕らが休憩から戻ってきたタイミングで、できた!って。
直人:俺らじゃ無理だ!って丸投げされましたからね(笑)。
──孤独でしたね(苦笑)。「ドラマチック」はポップス路線に振った印象がありましたが、mickさんは曲を持ってきた時点ではどういうものをイメージしてたんですか?
mick:最初は炭酸飲料水のCMみたいな感じがいいなと思ってたんですよ。だから、疾走感のあるギターロックっぽい感じというか。
あっきー:あぁ。弾けてる感じのね。
mick:そういう曲をやりたいなと思っていたら、わりとアメリカンポップみたいな感じになったので、ああ、こうなるんだって思って。そういう変わり具合はいつもおもしろいですね。
──でも、今のバージョンも炭酸飲料水のCM感がありますよ。
mick:あ、ホントですか?
あっきー:うん。ある。
直人:だから(イメージと)違うんだ?って思った。
mick:うん。……ちょっとだけ違った(笑)。
アサケン:微妙なさじ加減だな(笑)。
Amelie 撮影=西槇太一
──曲を作るときは、全員でスタジオに入って詰めていくことが多いんですか?
あっきー:いつもそうです。クリエイターの2人(mickと直人)が作ってきたものに対して、僕らが最初に聴いた印象を言うんですよ。まぁ、口は悪いんですけど、別にパっとしないとか。それに対して2人はムッとするんですけど、そういう客観的な意見が、バンドにとって力になってるのかもなとは思うんですよ。
mick:うん。
あっきー:話し合っていて、ケンカレベルまでぶつかることはあるんですけど、そうしないとやっぱりよくならないと思うので。だから、みんなで作り上げていく感覚はすごく強いですね。
直人:あと、この1年を通して、お客さんのイメージとか、ライブのイメージが出来てきたんですよね。このアレンジだとこういう反応になるなとか。だから、曲の作り方自体は昔と一緒なんですけど、考え方が少し成長したので、そこは変わったのかなって思います。
あっきー:うん。より深いところまで話し合うようになったしね。
アサケン:でも、わりと引き算をした感じはありましたね。足し算というよりは。
あっきー:そうだね。不要なものは削ってっていう。
──よりシンプルに、わかりやすいものをと。作品を締め括る「君といま生きている」は、mickさんが作詞作曲をされていますけど、バラードは最初から入れようと思ってました?
mick:いや、最初はバラード入れなくてもいいんじゃないか?っていう話だったんですよ。
あっきー:ミニアルバムだしね。
mick:うん。もうちょっと(バンドが)大きくなってからでいいんじゃないのかなって。
あっきー:最初にフルかミニかで迷っていたから、フルならバラードも必要だろうっていうことで、一応2、3曲ぐらいはあったんですよ。
アサケン:でも、あからさまにバラードを作りに来ましたっていう感じのやつはなかったよね?
直人:これしかなかった。作ろうと思って作ったの?
mick:うん。最後ギリギリでバラードを入れようってみんなで決めてから、プリプロが終わっていた他の曲を聴いたり、それまでの自分達のことを振り返ってみたりして、今のウチらが言いたいことはこれなんじゃないかなって。
アサケン:でも、この曲って、最初はストリングスが流れてくるようなイメージをしてたでしょ?
mick:してた。壮大な感じをイメージしてたけど、やっぱり4人で出来る曲にしようって。最終的に、最小限の音数、4人でライブでできる楽器しか入れてないです。
Amelie 撮影=西槇太一
──そして、本作のリリースツアーも発表され、ツアーファイナルは5月19日、渋谷CLUB QUATTROで行なわれます。今作はライブを想定した部分が多い作品になりましたけど、どんなツアーにしたいですか?
mick:2016年の上半期は、理想の自分像に近づかなきゃ!って、しんどい状態でツアーをしていたんですけど、今は、今の4人をちゃんと受け入れているから前よりもライブを楽しめているし、その楽しさがお客さん達にも伝わって、より楽しんでもらえていると思っていて。この状態でツアーを廻ったら、どういう感じに成長できるのかがすごく楽しみです。
あっきー:あと、前回のツアーのセットリストって、フルアルバムに収録されている曲のみな感じだったんですよ。そのなかで、マンネリにならないようにいろいろ工夫をしてたんですけど、今回は昔の曲をたまに混ぜたり、今日はその曲をやるんだ!って思ってもらえたりする日も増えてくると思うので、楽しみにしていてほしいです。
アサケン:あの感覚って楽しいじゃないですか。今日、この曲やるんだ!っていう。それをやっとウチらもできるようになったなって。今回の曲って、メンバーそれぞれ好きなものが結構バラバラな気がするんですよ。
あっきー:ですね。
──ちなみに、アサケンさんはどの曲が好きですか?
アサケン:俺は「タイムライン」ですかね。全曲リードにするつもりで作ったし、どの曲も好きではあるんですけど。そのなかでも「タイムライン」は、なんか、苦労してきた人を肯定してくれる歌なんですよね。
──<これでいいんだよ このままがいいんだよ>っていう。
アサケン:そうそう。そうです。だからこう、染みるものが……(笑)。
mick:はっはっはっはっはっは!(爆笑)
アサケン:直人さんが作曲して、mickが歌ってるわけですけど、なんか、2人に慰められてるような感じがあって。
mick:大変だったんだねぇ(笑)。
あっきー:まぁ、(アサケンが)この中で一番歳上ですからね。
──あっきーさんはどの曲が好きですか?
あっきー:僕は「君といま生きている」ですね。このバンドを組んだときの話になるんですけど、僕がmickに声をかけたんですよ。で、対バンのときとか、彼女の音源を聴いていて一番最初に響いたのが、ゆっくりめのバラードだったんです。この曲には、僕がmickの長所だと思っている、透き通っていて前に飛んでいく声が前面に出てるから、まぁ、僕も染みました(笑)。バラードに強いよね?
mick:曲を作る原型もだいたいバラードだからね。私は「ドラマチック」がお気に入りです。この曲、突然聴きたくなるんですよ。他のバンドの曲とかを聴きながら家から駅まで歩いているときに、急に変えたくなったりして。自分のバンドの曲だけど、タイプですね。好きです。
──直人さんはどうです?
直人:完全に話の流れをアレしちゃうんですけど、僕も「タイムライン」なんですよ(一同笑)。完成してから改めて聴き直して気づいたんですけど、この曲って、今が楽しいと思っていなきゃ書けない曲だと思ったんですよね。今まではあの頃に戻りたいっていう気持ちが強かったけど、今がハッピーだから全部オッケーっていうことに気づけたし、これを書けたことに手応えがすごくあるので、「タイムライン」でお願いします!
mick:かぶっちゃったね。
アサケン:しかも、誰もリード曲を挙げないっていう(笑)。
直人:まぁ、全部好きだけどね、もちろん。
mick:うん。全部好き。
Amelie 撮影=西槇太一
──そこが大前提ですよね。もうひとつ、Amelieはロックバンド然としつつも、ポップスを目指しているところがあったり、今日も「ポップはやりたいことでもある」というお話をされていましたけど、向かいたい場所とか、なりたい存在ってどういうものなんですか?
mick:国民的ロックバンドになりたいです。テレビとかに出て、お茶の間の人達みんなが「Amelie知ってる!」っていう存在にはなりたいけど、ちゃんとロックバンドであるっていうことは貫きたくて。
──それって結成当初から思っていることなんですか?
mick:ずっと思ってますね。
あっきー:ウチの客層って結構特殊なんですよ。
mick:広いよね。
あっきー:うん。国民的ロックバンドってそういうことじゃないですか。
mick:ちびっ子もいるし、おじさんもいるし……
あっきー:女の子も男の子もいて。しかも、それがすごく均等にいるんですよ。
mick:強みですね、そこは。
アサケン:でも、そこは今のレーベルに入ってから、具体的に考えられるようになった感じですかね。
──昔はもっと漠然としてた?
あっきー:めちゃくちゃ漠然としてました。
アサケン:漠然としてたし、もっとアングラなバンドだったね(笑)。
あっきー:でも、ポップスというのも、あくまでも自分達の表現のひとつなので、今後は変わる可能性も大いにあると思います。いろんなものが武器だと思っているので。
直人:そうやって音楽的にも活動的にも、常に挑戦していくスタンスではいたいですね。今回のツアーファイナルの渋谷CLUB QUATTROにしても、ソールドアウトするかどうかわからないところでやることに意味があると思うし、そこに挑戦して結果に変えていくのが、自分達の等身大でお客さんに対して歌っていることへの意味というか、見せ方というか。お客さんに、ただ頑張れよっていうわけじゃなくて、俺らも頑張ってるから頑張ろうぜっていうスタンスでは絶対にいたいと思ってますし、そこはこれからの活動でも見せていきたいところですね。
取材・文=山口哲生 撮影=西槇太一
Amelie 撮影=西槇太一
発売日:2017年1月11日(水)
『ドラマチック』
2, ゼロじゃない
3,ドラマチック (「モーテ桂浜」オープニングTVCM 起用 “高知さんさんテレビ”)
4, やだよ。
5, タイムライン
6, さよならバイバイ
7, 君といま生きている
価格:¥1,280(+tax)
発売元:[NOiD] / murffin discs
販売元:Japan Music System
1月29日(日) 越谷EASYGOINGS
w) Azami / KOTORI
2月1日(水) 横浜CLUB Lizard
w) 藍坊主 / LUNKHEAD
2月8日(水) 宇都宮HEAVEN'S ROCK VJ-2
w) 後日発表
2月9日(木) 水戸Light House
w) 後日発表
2月11日(土) 郡山#9
w) ORESKABAND
2月19日(日) 横須賀かぼちゃ屋
w) 後日発表
3月1日(水) 長崎STUDIO DO!
w) ircle / ジラフポット
3月3日(金) 小倉FUSE
w) ircle / ジラフポット
3月4日(土) 大分CLUB spot
w) ircle / ジラフポット
3月20日(月) 広島BACK BEAT
w) 後日発表
4月5日(水) 金沢vanvanV4
w) 後日発表
4月6日(木) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
w) 後日発表
4月7日(金) 仙台enn 3rd
w) 後日発表
4月28日(金) 福岡Queblick
w) 後日発表
4月29日(土) 岡山CRAZY MAMA 2nd room
w) 後日発表
5月6日(土) 名古屋HeartLand STUDIO
w) 後日発表
5月14日(日) 大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
w) 後日発表
5月19日(金) 渋谷CLUB QUATTRO (ワンマン)