川瀬賢太郎(指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 迸るアイディアと弾ける感性
2017.1.18
ニュース
クラシック
-
ポスト -
シェア - 送る
川瀬賢太郎の指揮はとみに躍動感を増している。各地の楽団への客演のみならず、日生劇場の《後宮からの逃走》でも生気が弾けていた。だがやはり常任指揮者を務める神奈川フィルで、最も真価が発揮されるに違いない。そこで1月の同楽団定期に熱視線が注がれる。これは2016年4月以来の「みなとみらいシリーズ」出演。この間、「フェスタ サマーミューザ」などで、こまやかさをも湛えた好演を聴かせているだけに、待望の登場と言っていい。
演目も彼らしくアイディアに富んでいる。前半はアレンジもの。まずバッハの「幻想曲とフーガ ハ短調」は、英国の大家エルガーが後期ロマン派風の大管弦楽用に編曲した版で、そのサウンドが高貴かつ壮大な“エルガー風”である点が実に面白い。おつぎはハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲のランパル編曲によるフルート版。民族色豊かで濃密な作品だが、管楽器のソロは息つく暇もない。挑むのは上野星矢。1989年生まれの彼は、2008年に権威あるランパル国際フルート・コンクールで優勝した超逸材。パリ国立高等音楽院卒業後、欧州を拠点に活躍し、CDも人気を集めている。この俊英の妙技は大注目だし、ランパル・コンクール時の指揮者だった川瀬との縁のあるコラボレーションにも期待したい。
後半はラフマニノフの交響曲第3番。アメリカ亡命後に書かれた稀少な作品の1つで、ロシアへの憧憬と円熟の洗練が融合した、第2番にも劣らぬ名曲だ。川瀬も「ラフマニノフの作品の中でも特に充実した1曲」と語るだけに、全力投球の熱演が待っている。
ここは、気鋭の指揮者とソリストの輝く感性を体感しよう!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ 2017年1月号から)
川瀬賢太郎(指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第326回 定期演奏会
2017.1/21(土)14:00 横浜みなとみらいホール
問合せ:神奈川フィル・ サービス045-226-5107
http://www.kanaphil.or.jp/
第326回 定期演奏会
2017.1/21(土)14:00 横浜みなとみらいホール
問合せ:神奈川フィル・
http://www.kanaphil.or.jp/