辻本祐樹「スケール感のある作品が出来た」『SENGOKU WARS~RU・TENエピソード2~猿狸合戦』開幕

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『SENGOKU WARS~RU・TENエピソード2~猿狸合戦』が、2017年2月25日(土)に東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて開幕した。本作は、2014年末に上演された黒田官兵衛を主人公とした『聖☆明治座・るの祭典』(2014年)の“その後の物語”。官兵衛が主として抱き、心に決めた男「羽柴秀吉」を主人公に、思惑入り乱れる戦国の人間模様が描かれる。初日前日には、公開ゲネプロが行われ、その模様を取材した。

<あらすじ>
時は戦国。本能寺の変から約2年。清州会議を経た、賤ヶ岳の戦いから、さらに後。
信長の後を継いで、この戦乱の世で「天下人」となるのは一体誰か……誰よりも心優しく、貧しいものが殺されていく世の中を嘆き、自分がこの世界を、殺されていく人たちを守りたいと心に誓った、あの羽柴秀吉は……変わっていた。天下が近くなればなるほど、秀吉は強かに、そして少しずつ冷酷に。しかし、そんな秀吉に人々は従い始める。
同じ頃、天下統一を目指す戦に名乗りを上げた男がいた。彼の名前は、徳川家康。人を動かす能力には、秀吉以上に長けた男。
じりじりと頭脳戦を繰り広げる、秀吉と家康の猿と狸の化かし合い合戦の決着は……?
さらに、大阪城築城へと動き出した秀吉の想いとは――。

主演として羽柴秀吉役を演じるのは、前作でも同役を務めた辻本祐樹。対する徳川家康役は、鳥越裕貴が演じる。鳥越は、前作では別役として出演しており、本作ではまったく別の顔を見せている。この二人の腹の探り合いを軸に、織田信長なき後の戦乱の世が展開していく。辻本は優しげな面立ちの中に底知れぬ「冷たさ」を感じさせ、鳥越は悠然としているように見えて腹の中でぐるぐると「野心」を燃やしている。この二人の、静かに見えて熱さを感じさせる関係が非常に良い。

また、二人を取り巻く人々を演じる役者陣も、この戦国絵巻に様々な角度から色をつけていく。秀吉の親友である前田利家を演じるのは、現在24歳の蒼木陣。秀吉の変化に戸惑いながらも側に居続け支える男を、真っ直ぐに力強く表現する。一方、二瓶拓也が演じる石川数正は、家康の側近中の側近。花組芝居に所属する二瓶は、着物を着た立ち居振る舞いが美しい。また、時が流れるにつれ複雑な立場になっていく姿を繊細な表情や所作で見せ、小劇場ならではの醍醐味を感じさせる。

『るの祭典』とは趣向を変え、この『猿狸合戦』は会話劇となっているが、その中でエンターテイメントを担っているのが、碕理人加藤啓だ。碕演じる織田信雄は、秀吉と家康の間で「天下を取らせてくれる方につこう」と行ったり来たり。碕はそんな信雄をお坊ちゃま全開で、ストーリーのアクセントとし、会場全開を盛り上げてくれる。加藤は服部半蔵の他、なか、朝日姫、ねねという女性役を演じているのだが、それぞれに強烈な個性を持たせ、要所要所で笑いを届けてくれる。早替えすらおもしろくしてしまうのは、加藤ならではだろう。

また、あるシーンでは、ゲストとして、『るの祭典』で秀吉と関係の深かった黒田官兵衛(小林且弥)、重太郎(白又敦)、石田三成(安西慎太郎)、織田信長(滝口幸広)、竹中半兵衛(木ノ本嶺浩)の5名が回変わりで登場する。彼らが秀吉とどんな言葉を交わすのか、それによって、秀吉がどんな表情を見せるのか。“現在”の秀吉の心の内を知る重要なシーンとなりそうだ。

戦国時代を描いた作品だが、派手な殺陣がたくさんあるようなものではない。三方囲みの四角い舞台はチェス盤のようにも見え、戦況はくるくると変わる。これもまさに“戦”である。『るの祭典』の“その後の物語”と銘打たれているが、もちろん前作を観ていなくても独立した作品として楽しめるし、前作を知っている方は、特に秀吉を演じる辻本に唸らされるのではないだろうか。

開幕にあたり、辻本から以下のコメントが届いている。

辻本祐樹(羽柴秀吉役)
2014年末に辻本祐樹が演じました羽柴秀吉役が、主演となり帰ってきました!
役者として、一つの役、その時必死に演じた役が、エピソード2としてまた演じられるのが本当に嬉しくて、感謝しかありません。それと同時にその期待に応えられるよう、身の引き締まる思いでもあります。
今回は、前回の秀吉からの成長物語をお見せ出来ると思いますが、舞台前半では、前回とはかなり違った秀吉の感じなので、お客様は驚かれるかもしれません。そういうところも楽しんでいただければ。
また自分自身、秀吉を演じる上でかなり悩みましたが、友情だったり国をまとめる為の秀吉の心の向かい方を観てほしいです。
そして、出演者6人のチームワークがすごく良くて、僕は恵まれていると思っています。短い稽古期間でしたが、稽古場では皆でやれることを一つずつ解消していき、楽しくてスケール感のある作品が出来たと感じるのもチームワークの賜物です。

タイトルに『エピソード2』とあるからには……と期待せずにはいられない。まずは、続編第1弾となる本作を、お見逃しなく。前売は完売しているが、当日券は公演ごとに若干枚数用意されているとのこと(※希望者多数の場合は、抽選受付)。

公式舞台写真 撮影:宮川舞子​

公式舞台写真 撮影:宮川舞子​

『SENGOKU WARS~RU・TENエピソード2~猿狸合戦』は、2月25日(土)・2月26日(日)に東京・東京芸術劇場シアターイーストにて上演。

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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