上川隆也「戯作者としてのピュアさを大切に」『シェイクスピア物語』稽古場レポート

レポート
2016.12.21

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2016年12月23日(金・祝)より神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて上演される『シェイクスピア物語』~真実の愛~。シェイクスピア生誕600年となる本年、そして2017年新年を飾る、悲劇的な愛を数多く描いたシェイクスピア自身の生き様と禁断の恋に迫る物語を、上川隆也、観月ありさ、五関晃一、藤本隆宏、小川菜摘、秋野太作、十朱幸代、ほか豪華キャストで贈る。初日が迫る中行われたビジュアル撮影、稽古場の模様をレポートする。

この日、稽古前にはビジュアル撮影が行われていた。白のブラウスに紺のベスト、16世紀ロンドンの風合いたっぷりな衣裳を身にまとい、カメラの前に立つ上川。物憂げな表情、一点を見つめるように考え込む表情、みるみる表情を変えていく。
「ペンを持つのは?」
上川の提案により、途中から小道具のペンが追加された。生涯物語を書き続けたシェイクスピアにとって、ペンは体の一部のようなもの。より熱の入る撮影を前に、そんなことを思わされた。

ビジュアル撮影を終えると、いよいよ稽古開始。ヒロインのヴァイオラ役を演じる観月ありさをはじめ、ヴァイオラを金で娶ろうとするエセックス卿役の藤本隆宏、ヴァイオラの母親マーガレット役の小川菜摘、シェイクスピアを支える劇場主ヘンズロウ役秋野太作など、ほぼ全員が揃った。

この日公開されたのは、劇中劇として演じる「ロミオとジュリエット」のシーン。本作では、禁断の愛を描いたこの名作こそが‟シェイクスピア自らの体験が元になっている”とされている、非常に重要なシーンだ。

演出の佐藤幹夫が、シーンに登場するキャストに台詞、照明、立ち位置、動線などの確認をする。シーンの核となるのは、ロミオとジュリエットが寄り添いながら死を遂げるクライマックス。追加されたばかりだという台詞も、役者の声でたちまち熱い血を通わせる。
「さようなら」「ロミオ、ロミオ……」
シェイクスピアでありロミオでもある上川と、ヴァイオラでありジュリエットでもある観月が、加速する情熱と絶えゆく命を熱演。死をもってしか一つになれない二人の姿は、ひどく痛々しく哀しい。

盛大な拍手の中、劇中劇を終えると主軸はシェイクスピアとヴァイオラの物語へと移っていく。恋するシェイクスピアの作品に、無謀にも出演したヴァイオラと、共に舞台に上がったシェイクスピア。時代に逆らった二人への代償は大きい。嫉妬に狂った許嫁の報復と法律の罰。真実の愛の行方は……?

公演に向け、上川は「史実かどうかは別にして、『ロミオとジュリエット』に至るまでの出会いと別れの物語を、混じりっ気なしに作りたいと思っています。(シェイクスピアは)当時30代になったばかりだったと思うのですが、そんな彼の“戯作者としてのピュアさ”を大事にしたい。目にしたもの、耳で聞いたものを詩や物語に落としていった男のピュアさを内包した男にしていきたい」と語った。

観月については「もちろん、これまでの経験で培ってこられたカラーはお持ちですが、型がないんですよね。観月さんというカラーのまま、流体のように色んな形になれる方だなと感じています。今回も、ヴァイオラという女性の形に観月さんのカラーが彩られて、満たされていく。その満たされていく過程を目の当たりにできているのも楽しいですし、KAATの舞台上での最後の仕上がりが楽しみです」と、初共演を楽しんでいる様子。

最後に上川は「ベースとなった物語を知っているかどうかを問わず、楽しんでいただける仕掛けが随所に施してありますので、先入観を持たずに観ていただければ。舞台空間で表現できることのほとんどのことを行っていて、とても絢爛な作りになっていますので、物語と共にお楽しみいただければと思います」と改めてメッセージをくれた。

(取材・文/杉田美枠)
(撮影/近郷美穂)

公演情報
舞台『シェイクスピア物語』~真実の愛~

【神奈川公演】
日程:12月23日(金・祝)~12月25日(日)、2017年1月7日(土)~1月9日(月・祝)
会場:KAAT 神奈川県芸術劇場 ホール

【大阪公演】
日程:2017年1月21日(土)・1月22日(日) 
会場:梅田芸術劇場 メインホール

【愛知公演】
日程:2017年1月28日(土) 
会場:中日劇場
 
<出演>
上川隆也//観月ありさ//五関晃一/藤本隆宏/小川菜摘/和泉崇司、嶋尾康史、 
松尾敏伸、黒川ティム、我善導、小林涼太/大坪貴史、岡嶋翼、西山康平、山口のりとも、 
優志/黒田こらん、香田沙織、小宮絵里、鈴木晶子、成沢愛希、星野匠美、麻鈴、Anna 
/秋野太作/十朱幸代 
 
演出:佐藤 幹夫 
上演台本:元生 茂樹・福山桜子
エンタステージ
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