ゲスト女優に藤原紀香! 熱海五郎一座『消えた目撃者と悩ましい遺産』もはや職人芸の爆笑製作発表会

レポート
舞台
2017.3.8
熱海五郎一座『フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』(前列左から)渡辺正行、春風亭昇太、藤原紀香、小倉久寛、三宅裕司(後列左から)深沢邦之、ラサール石井、東貴博

熱海五郎一座『フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』(前列左から)渡辺正行、春風亭昇太、藤原紀香、小倉久寛、三宅裕司(後列左から)深沢邦之、ラサール石井、東貴博


三宅裕司率いる熱海五郎一座の新橋演舞場シリーズ第4弾、『フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』製作発表会が都内で開催され、豪華キャストと藤原紀香が顔をそろえた。

伊東の手前、四朗の次

熱海五郎一座は、2004年に伊東四朗が立ち上げた「伊東四朗一座」を前身に、伊東の出演がない回は三宅裕司が中心となり「熱海五郎一座」として公演を続ける東京喜劇の代表格だ。ちなみに「熱海五郎」とは、「伊東」を「熱海」に、「四朗」を「五郎」に置き換えたもの。このネーミングひとつをとってみても、一座のユーモアと温かさを感じることができるだろう。そして毎年注目されるのが、豪華なゲスト。2014年の新橋演舞場進出以降だけでも、沢口康子、大地真央、松下由樹など錚々たる女優が出演。そして今年のヒロインは、藤原紀香。一座のメンバーはお揃いの法被(はっぴ)姿で登場した。

東京喜劇は落差の笑い

三宅裕司

三宅裕司

まずは座長の三宅裕司が挨拶をした。「昨年は非常に評判も良く、5万人近いお客様を動員できました。するとお客様は、翌年さらに面白いものを期待するわけですね。(昨年も)もともと面白い作品だったものが、さらに面白くなった理由が、当時都知事だった方のタイムリーな時事ネタです。『第三者の厳しい目』ですとか(会場に納得&笑いの声)。そこで、現都知事と前都知事にもバトルをさらにヒートアップさせ、なんとか舞台で使えるようなフレーズをしゃべって欲しい! そういう風に思っております」と、はやくも最新の時事ネタを絡めた挨拶で盛り上げた。

また『東京喜劇は落差の笑い』とした上で、「紀香さんは落差の片一方、美しさですとか、ステイタスですとか、色々なものをすでにお持ちです。今度は逆の方の、ずっこけの方で何かをやっていただけると、とんでもない落差がすぐ生まれます。その落差を利用して、最高のボケ女優になっていただきたい」と激励した。

はやくも軽演劇が開幕?!爆笑×爆笑の挨拶

渡辺正行

渡辺正行

次に紹介されたのは、渡辺正行。司会者による「齢61歳。稽古初日の遅刻癖は、治るのでしょうか」とのアナウンスに、すかさず「それいる?!」と春風亭昇太がコメント、東貴博が「情報が細かいなあ」と驚きの声をあげ会場は大爆笑。苦笑いのまま立ち上がった渡辺は、本作で医者の役をつとめることを明かした。今、役作りに関して「『A LIFE』の木村拓哉くんをイメージしていこうかな」と意欲をみせるも、肝心の『A LIFE』を『ALFEE(アルフィー)』と言い間違え、東に「今、アルフィーって言いましたよね?! 全員気づいているのに誤魔化そうとしましたよね?」と突っ込まれる事態に。最後は「横文字は苦手なんだよ」と渡辺も白状し笑いにかえた。

『熱海五郎一座 フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』製作発表

『熱海五郎一座 フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』製作発表

「32歳年下の奥様と4匹の猫を愛する毎日」と紹介されたのは、ラサール石井。ヒロインの交際相手である弁護士役を演じる。冒頭で三宅が紹介した「前都知事」のエピソードもしかり、熱海五郎一座の脚本に書かれたことが、現実に起こることがよくあるのだそう。「最新作は裁判の様相を呈しています。この中の誰かが裁判沙汰になるのではないかと思います。そうなったら面白いな!と思います」と不敵な笑いを浮かべ、キャスト陣をザワつかせた。

ラサール石井

ラサール石井

小倉久寛に突込みラッシュ

小倉久寛

小倉久寛

“声だけ聞けばシブい2枚目”と紹介された小倉久寛は「みなさんこんばんは」と太い声で挨拶。すでに椅子から立ち上がっているにも関わらず、三宅をはじめとした共演者たちに「立って!」「立って立って!!」と一斉にいじられる。

『熱海五郎一座 フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』製作発表

『熱海五郎一座 フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』製作発表

小倉は、今回、藤原の元夫役を演じる。「先ほどこっそり紀香さんに近づいてみたら彼女の腰が僕の胸の高さにあって。脚の長さは僕の倍くらい! 僕たちが人間だとしたら(紀香さんは)人間じゃないみたいな」と興奮気味に話すが、「それ言うなら僕たちのほうが人間じゃないんだよ」と石井が言葉をはさみ、東が「『人間だとしたら』って、そもそも人間でしょ?」とたたみかけ、小倉はタジタジに……。はやくも軽演劇のような掛け合いだ。

春風亭昇太

春風亭昇太

春風亭昇太は、製作発表の直前に、舞台裏で並んでいた時のエピソードを披露。「松竹のスタッフの方が『ラサールさん、こちらです。昇太さんは、こちらです』と順番を教えてくださったんですが、藤原紀香さんには『奥様、こちらです』とおっしゃるんですね。ああ、梨園の妻なんだなと改めて思いました」としみじみしつつ、「でも、梨園の妻って大変そうじゃないですか? 何が言いたいかと言いますと、落語家の奥さんは楽です。何の縛りもありません! 楽だってことを皆さんに確認させていただいて、ご挨拶に代えさせていただきます!」と熱弁し、笑いと拍手を浴びた。

幸せな笑いが俺は好き

東貴博

東貴博

「幸せの絶頂、東MAXです!」と切り出した東貴博。「以前、三宅さんと笑いの話をした時に『幸せな笑いが俺は好きなんだ。自分が幸せじゃないと幸せな笑いはできないんだ』と言われ、本当にそうだなと思いました。この一座も昇太さん以外はみんな幸せで」と笑いを誘う(そんなことないよ!と昇太)。また、東はこの一座で前説も担当しており、「劇場にいらっしゃる際は少し早めにお席についていただいていただきたいですね。毎年時事ネタで、ものすごい力をいれておりますので楽しみにしてください」と意気込みを語った。

深沢邦之

深沢邦之

東とWキャストで検事役を務める深沢邦之は、今回、渡辺との絡みが多い藤原への心配を明かした。「2年前、リーダー(渡辺)とガッツリ組ませていただいた時、本番中、舞台の上にリーダーが来ないということがありました。1分くらい遅れて……でしたっけね?どうでしたっけね、リーダー? 下を向くのはやめてください、大人なんですから!」 深沢の問いかけに「あの時はすみませんでした」と渡辺は平謝り。会場にはまたも笑いが沸いた。

あなたの新しい一面を引き出すから

藤原紀香

藤原紀香

藤原紀香が立ち上がると、スパンコールのタイトなドレスに熱海五郎一座の「五」のマーク。この日一番フラッシュがたかれた瞬間だ。「この機会をいただけてすごくすごく幸せです。三宅さんは『やるからにはあなたの新しい一面を引き出すから』と言ってくださいました。笑いあり、歌あり、アクションあり、色々なエンタテイメントの中で、自分でも自分の新しい一面を見つけられたらと思います。また東京の喜劇は初めてですので、皆さまのエキスをちゅーちゅー吸いながら稽古場、本番、ともに頑張りたいと思います。やるからには身も心も、このドレスのように熱海五郎一座に染まりまして、最高のボケ女優を目指して頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします」と明るい笑顔で、丁寧に気持ちを語った。

『熱海五郎一座 フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』製作発表

『熱海五郎一座 フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』製作発表

記者から藤原に対し本公演とは関係の薄い質問が出た際、「その場面はですね」と即座に三宅が見当違いのコメント。共演者たちが総動員で「幻聴に答えている」などと三宅に突っ込み、藤原も記者たちもお腹を抱えて笑う一幕となった。東京喜劇の大ベテランがそろった懐の深く頼もしい一座の中で、どんな新しい藤原紀香が生まれるのか。期待が高まる新橋演舞場シリーズ第4弾は、2017年6月2日から。

藤原紀香

藤原紀香

取材・文:塚田史香  写真:塚田史香・安藤光夫

公演情報
東京喜劇 熱海五郎一座
『フルボディミステリー 消えた目撃者と悩ましい遺産』


■日時:2017年6月2日(金)~27日(火)
■会場:新橋演舞場
■構成・演出:三宅裕司
■出演:
三宅裕司 渡辺正行 ラサール石井 小倉久寛 春風亭昇太 東貴博(交互出演) 深沢邦之(交互出演)
劇団スーパー・エキセントリック・シアター
■ゲスト:藤原紀香
■公式サイト:http://www.shochiku.co.jp/play/enbujyo/schedule/2017/6/_1_154.php​

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