welcome to THE 沼!・ 第九沼『ファニチャー沼』

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2017.3.13

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「沼」。

皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。

一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れることを「」という言葉で比喩される。

底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。

毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。

第九沼(だいきゅうしょう) 『ファニチャー沼』

挨拶しないオバサンのその後

あの「挨拶しないオバサン」が突然進化した。

すれ違いざまに向こうから「お帰りなさい」と言ったのだ!目も合わさずに。でも私の求める言葉とは全然違が〜う!「こんばんは」と言って欲しいのだ。イラつく。

そのコラムはこちらから↓

https://spice.eplus.jp/articles/97892

 

改めましてこんにちは齋藤久師です。

前のマネージャーが、ウチに置いてあるEAMESのラウンジチェアーを見て

「銭湯に置いてありそうな椅子だね」

と言った。

・・・感性を疑うぜまったく。

 

確かにあそこにロータリーのグルグルが付いてたらマッサージチェアーに見えないことも無いし、オットマンもスイッチを入れたらブルブルいいそうだよ。

初めてファニチャーにハマったのは10代の頃。秋葉原のヤマギワで見た、

フランク・ロイド・ライトが作った「タリアセンⅡ」であった。

100年も前にデザインされたとは思えないあのモダンな造形美を見た瞬間、「コレを買って帰ろう」とマジで思った。

・・・ところが値段を見てビクーリ。100万円もするでは無いか!!!

畜生。買えるわけないだろう。

しかし、タリアセンⅡへの夢と欲望は増幅しつつ、90年代に入ると目黒通り沿いのファニチャーストリートに足繁く通うようになり、クラシカルなミッドセンチュリーを始めスペースエイジなど50年代から70年代にかけて作られた家具に夢中になった。

中でも「2001年宇宙の旅」に登場するオリビエ・ムルグ作、真っ赤な「Djinn chair」だ。

コレはレプリカでも相当な値段がするのだ。

そんな中、またしても目黒通りを歩いていて、私の目に飛び込んできた不思議なライトがコレだ。

60年代に作られたという名もなき作品。一目惚れでその場で持ち帰った。バカ高かったが、もう自分を止められなかった。

最初に買ったハーマンミラー製のアーロンチェアーは発売日に入手した。そのあとも、ミッドセンチュリーから現代家具まで様々な家具を探し歩いた。

そのあとはコルビジェ、イサム・ノグチ コーヒーテーブル、

ラウンジチェアー、

ポールヘニンングセン

などを買い続けハマりにハマった。

 

が、しかし、本当に欲しいアレがまだだった。

20年近く何度も夢に出てきたフランク・ロイド・ライト「タリアセンⅡ」。。。。。。。。もともと建築家であるフランク・ロイド・ライトはウィンスコンシン州にある自宅の為にデザインされた照明器具で、いくつかの種類のタリアセンが存在する。かの有名な「落水荘」も彼の建築だ。

タリアセンシリーズの中でも、最もライトの数の多いタリアセンⅡ。一枚一枚の薄板と照明の位置を変えて、あかり、そして形、さらには影を楽しむことができるのだ。

最近は著作権の切れた往年の高級ファニチャーがリプロダクトとして市場に出回っており、中には粗悪品も多い。しかし、最近復刻されたタリアセンⅡはフランク・ロイド・ライト財団の全面協力のもと、YAMAGIWAが現存する図面を元に調精巧に現代に復活させたのだ。

しかも値段は当時の1/3で!!!

そして遂に我が家へ夢のタリヤセンⅡが納品された。最初は猫の上り台になるのではと心配で眠れなかったほどだ。

さすがアメリカと思わせるのその大きさだ。なんと183cmの私よりも高い2m38cmという、日本の家屋では天井に突き刺さらんばかりの勢いなのだ。

 

さて、自慢話はこのくらいにして、やはり良い事があれば、そのぶん悪いこともバランスよくやってくる。夢が叶ったと同時に悪いことが起きた。

コルビジェのソファーがネコにガリガリにされ、内臓が飛び出してしまった。

これはマズイと思い、貼り直しの相談をしたら「そうですね〜〜〜、30万円くらいでしょうか」とのことwそりゃあ無理だと思い、いろいろとウチにあうソファーをさがしていた時にふと思い出した。

d&departmentで座った、あの座り心地の良い無骨なソファーのことを。

日本の職人が手作りするそれは「カリモク60」

ウチは3人がけをオーダーした。コルビジェは柔らかすぎて、腰に悪い。しかし、このカリモク60の3シーターは程よい硬さ高さがちょうど日本人デザイナーのイサム・ノグチのコーヒーテーブルにバッチリとマッチするのだ。

一度、一部に穴が空いた時など、丁寧に張り替え直ししてくれた。

家具に限らず、私は買い物する時にいつも「一生使えるもの」を基準にしている。良い物はなんでもそうであるが、壊れても治せる。デジタルを否定するわけではないが、基本アナログ的なものはほとんど壊れても修理する事が出来るのが魅力だ。

好きなものだけと一生暮らす。車も洋服も機材も釣り具も家でもなんでも直して使う。物には何百、何千という数の思い出が染み付いていく。死ぬときは全部子供達にあげよう。興味がなければ興味のある大切にしてくれる人にあげよう。

 

なんつって。本当に思ってます。

「早く死ね」とか思わないでくださいね頼むから。

 

あなたもまだまだ遅くは無い。

一緒に沼の住人になろう・・・。

 

先日の3月10日、イタリアのレーベルLyaseからWhitesquareの新作を

galcidと私でremixした作品が発売されました。galcid風味入ってます。

LYASE007 - Whitesquare "Mystic" EP (inc. galcid & Hisashi Saito + Droog remixes) is out now!!!
check the SoundCloud snippets on the link below:

Beatporthttps://www.beatport.com/release/mystic/1951478
Juno Downloadhttp://www.junodownload.com/…/whitesquare-mystic/3363599-02/
Clone Recordshttps://clone.nl/digital/item3363599.html
iTunes: https://itunes.apple.com/it/album/mystic-ep/id120281254

イベント情報
Different Directions

 日時:2017年3月18日
 会場:恵比寿Time Out Café & Diner
 出演者:齋藤久師・Masakazu Hiroishi(U/M/A/A)・saskia TOKYO・TESTAV 他

 
イベント情報
AMP

 日時:2017年4月9日(日)
 会場:Circus TOKYO
 出演者:齋藤久師・galcid・NINJAS・小林うてな・Asato Sakamoto 他

 
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