RISとは?そしてミニアルバム『OVERKILL』とは?SPICE初登場の次世代ロッククイーンに迫るインタビュー

インタビュー
音楽
2017.3.15
RIS

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RISとは? そしてミニアルバム『OVERKILL』とは?

——まず、RISの音楽ルーツって何処だったりするの?

ロンドンのグラムロックとかニューウェーブだったりとかですね。70年80年代のものが好きなんですけど、リアルタイムではザ・プロディジーとかケミカル・ブラザーズとかも好きになって、打込みとかデジタルの音のカッコ良さを知ったんです。そこから改めて80年代の音に遡ってニューウェーブの音の魅力にハマったって感じですね。

——70年代80年代の完全にデジタルに転びきっていない、ちょっとアナログ感の残る音って最高だよね。

音色とかアレンジがデジタルであっても、ベースにあるものがロックです、みたいなものが好きです。

——RISちゃんはギタリストとしてサポートで他のバンドに参加することもあるみたいだけど、ギターを始めたきっかけは?

高校生の時に大学生のお兄さんたちと、遊びのパンクバンドでギターをやったのが最初です。パワーコードしか弾かないようなバンドとか、あとは、シューゲイザーぶって、なんかノイズだけでごまかすみたいなのとか(笑)。そんな感じだったので、ギターがちゃんと上手かった訳ではなかったし、ギターだけで表現するのは難しいなと思って歌うようになりました。

——なるほどね。今回のミニアルバム『OVERKILL』を作る上で何かコンセプトみたいなものはあったの?

アルバム通してのコンセプト、というものは特になかったです。これまでやってきたRISの全てと好きなものを全部詰め込んだ感じで。今回、全曲キラーチューンです!って思ってるんで、1曲1曲全部シングルみたいな。

——今作を作り始めたきっかけはどこからだったりするの?

5曲目の「LET IT DIE」がPS4のゲーム『LET IT DIE』の公式参加ソングになっているんですけど、それを作ったのが2年前で、今回のサウンドプロデューサーである三代堅さんと初めてご一緒させて頂いたんですよ。それがすごく良くて。私のやりたいことを誤解無く汲み取ってくれて、そのままクオリティの底上げをして下さる感じだったので、今回アルバムを作るにあたって絶対三代さんにお願いしたい!と思いまして。なので、きっかけとなったのは、「LET IT DIE」ですかね。

——「LET IT DIE」は、ギターソロがちょっとガレッジっぽくて他の曲にはない魅力がある1曲だけど、全体的な印象はすごくクラブっぽいサウンドだよね。

そうですね。ゲームのストーリー概要を聞いた時に「ブレードランナー」みたいな近未来の都市のイメージが浮かんだのでそんな感じで。で、あとは、ずっとライヴでやってる曲を入れて、さらに新曲を足して。

——ずっとライヴでやってきた曲ってどのあたり?

「NOT TOO BAD」と「LOVE CLUB」です。

——個人的に、「LOVE CLUB」という楽曲は、RISというアーティストイメージを集約しているような1曲だと感じた曲だった。楽曲面も歌詞面も、RISらしいエロさとインダストリアル感があったというか。

「LOVE CLUB」は、クリス・モズデル(エリック・クラプトン、ボーイ・ジョージやYMOらの作詞を手掛けるイギリスの作詞家)さんが、RISのイメージで書いた歌詞をプレゼントして下さって、そこに曲を付けたんですけど、クリスさんが私をイメージして作ってくれたので、自分で書くよりも、逆に私らしさが出たのかもしれないですね。自分でエロい歌詞って恥ずかしくてなかなか書きづらいじゃないですか。だから、人から見た私のイメージが色濃く出たんじゃないかなと思います。

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——そうだね。「NOT TOO BAD」の方は、昔の歌謡曲っぽさを感じたというか。

確かに、憂いはありますよね。このアルバムの中では1番古い曲で、4年前くらいに作ったんですけど、実はこの曲の仮タイトル、【キャッチー】って呼んでたくらいキャッチーな曲を作ろうと思って作ったんで(笑)例えばニュー・オーダーとかカルチャー・クラブとかのメロもちょっと日本っぽかったりするときがあると思うんですけど、そんな感じのニューウェーブ、ニューロマなイメージで作ったので歌謡曲っぽいというのはわかります。

——なるほど。「C.O.P」はスピード感とキレはあるけど、ちょっと気だるい感覚のルーズさがカッコイイ。

ルーズさは私の歌い方ですね(笑)ドラムは超絶タイトなんで!この曲、ドラムが元克さん(宮上元克)なんですけど、この曲は元克さん以外考えられない!と思ってデモ音源持って直々にお願いに上がりました。人間技とは思えない正確な高速ハイハットとか粒の立ったフィルとか相当ヤバいです。

——3曲目の「OVERKILL」がリード曲になっているけど。これはかなりのモンスターロックだね。

でも、実は、この「OVERKILL」という曲タイトルとアルバムタイトルの『OVERKILL』は、同じ意味じゃないんですよ。【OVERKILL】って訳すならば「ヤり過ぎ」ってニュアンスなんですけど、アルバムタイトルの方は【キラーチューンだらけですよ】という意味で「KILL(er)」過剰(OVER)ってちょうどよいなと。

——曲タイトルの「OVERKILL」にはどんな意味があるの?

この曲は唯一、三代さん作曲で曲先だったので、曲の印象からインスパイアされて歌詞を書いたんですけど、曲タイトルの方はストレートに殺伐と「殺し過ぎ」の方の意味ですね。「娼婦が客の男を殺しまくる」というストーリーなんですけど。リード曲というか、この曲でミュージックビデオを作ったのは、今回監督をお願いした二階健さんの作風に一番合うなと思ったからなのと、この曲だけメインの演奏は全部生楽器で演奏していて、こちらもドラムは元克さんで、ベースは去年からライヴもサポートしてもらっている林束紗ちゃんなんですけど、それもあって曲の持つエネルギーが一番高いかなと。

——RISの音楽を通してどんなことを感じてもらえたら嬉しい?

まだまだRISという存在を知らない人が多いと思うので、もっともっとたくさんの人に聴いてもらいたいし、私の音はもちろん、私が好きな音楽にも遡って興味を持ってもらえるきっかけになれたら嬉しいなと思いますね。

——ヴィジュアル面についても掘り下げて聞いていきたいんだけど、【女マリリン・マンソン】なイメージだよね、RISちゃん!

あははは。なるほど(笑)。ジャケのイメージですかね。でも、マリリン・マンソンは好きなので、その表現はまあ嬉しいです。衣装面のこだわりで言うと、基本薄着ではあるんですけど、女性的な「うっふん」って感じのイメージだとちょっと違うかなという。見た人がセクシーだと思ってくれるならば、それはそれで良いのですが(笑)。自分的に一番の憧れは、デヴィッド・ボウイなんです。音楽でもヴィジュアルでもデヴィッド・ボウイが全ての正解というか。マリリン・マンソンだってボウイのフォロワーですしね。

——なるほどね、すごく分かる。なんか、エロはエロでも肉体的なエロじゃなく、精神的なエロだよね。イメージ的には、『時計仕掛けのオレンジ』とかの中で描かれる精神的なエロティックさにリンクするというか。

あ!『時計仕掛けのオレンジ』も正解!大好きで影響受けてます。今回のミュージックビデオも監督の作る世界観にオマージュが感じられて最高だなと。あ、さっきのマリリン・マンソンの話ですけけど、『mechanical animals』のジャケットて、胸もあるし股間もモコっとしているじゃないですか。

——両性具有的な美しさね。

今回のRISのジャケット、ライティングの陰影のせいで股間がちょっとモコっとしちゃってたんで一応修正はしたんですけど(笑)そういうところが似てたのかな(笑)。

——ミュージックビデオでも恥骨が強調させるような映し方の場面があったけど、アンドロイド的なエロさを感じたけどね。

うん(笑)。なぜかの股間推し(笑)。なんかね、この前ある人が、RISのことを【エロクール】って表現してたんです。普通、エロってホットなものなのに、クールでも成立するんだ?!と思って。普段からあまり感情を表に出すことを好まないので、人形っぽいとか、アンドロイドっぽいという印象になるのかも。でも、今回は、割りと感情を表に出した感じの歌い方もしたので、そこは新たなチャレンジでした。

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——「OVERKILL」のミュージックビデオのイメージはどういうところからだったの?

ミュージックビデオのイメージは、二階監督に歌詞をお渡しして、どういうストーリーなのか説明だけして、あとはお任せして広げていただきました。歌詞は、未だない段階で二階さんにお願いすることを先に決めていたので、既に録り終えていた曲自体のイメージに合わせたのももちろん、二階さんの得意とするダークファンタジーな世界観で表現出来るような映画的なストーリーで書こうという意識もあり、殺伐とするほどドラマティックな内容にした感じです。二階さんは、私の前作のアルバムを買って聴いて下さっていたそうで、コンタクトをとって頂いのがきっかけで、初めて作品を拝見したんですけど、映画や錚々たるアーティストのMVを手掛けていらっしゃる監督で。細部まですごいこだわりと愛情を感じる圧倒的な世界観に感激したので、速攻でお願いさせて頂きました。今回のMVも、美術セットとか照明とか何から何まですごいこだわりで!カット数もすごくて4分のMVなのに撮影4日、編集丸々1ヶ月、準備構想から入れたら半年とかだったんですけど、超大作か!っていう(笑)。本当に素晴らしいMVに仕上げて頂きました。

——そうだね。衣装という魅せ方にもすごくこだわりがあるよね。今日着ている黒いジャケットは、衣装さんにわざわざ作ってもらったって言ってたもんね。

そうなんです。“RISの私服”というオーダーで(笑)。

——この先、ライヴでもいろんなヴィジュアルを魅せていきたいと思う?

そうですね。衣装とか表現というところでは、より理想を追求していけたらいいなと思っています。でも、ライヴとしては、そこまでSHOWみたいな派手なセットととか突飛な演出とかは欲しいとは思っていないんです。

——そうなの!? 意外だね。

ソロなんですけど、ライヴは、とにかくバンドとしてカッコイイと思ってもらえるライヴをしていきたいんです。演奏とパフォーマンスで魅せられるような。なぜなら、自分が見てカッコイイ!と思って興奮出来るのってそういうライブだけなので。派手なこととか、突飛なことは、ミュージックビデオとかジャケとかビジュアル面で表現していけたらいいなと思ってます。

●歌詞に込めたRISのメッセージ。

——歌詞についても掘り下げて聞いていっていい? たまたまなのかもしれないけど、今回、1曲目の「BE MY DOG」も2曲目の「NOT TOO BAD」も、動物が登場しているよね。そこを返してより深く踏込んだ感情を抉っている気がしたんだけど、そこは意識的なものなのかな?

ああ、気がつくと動物使いがちですね(笑)歌詞に関しては、あまり直接的というか、生々しくはならないようにしているので、動物って例えるのにちょうどいいんですよね。例えば、キツネだったらずるがしこいとか、猫だったらセクシーとか、気まぐれだったり、羊はか弱いとか、犬だと、忠誠心あるくせに誰にでもしっぽ振るとか。そういう動物に対するイメージって割りと共通認識だったりすると思うんで、動物に例えることで、生々しくならずに、本能的なこととかキャラクターを描きやすいなと。

——なんかそこで一歩立ち止まって考える時間を与える気がするよね、聴き手に。「NOT TOO BAD」の“ウサギをころして首に巻く キレイ”とかって、ハッとさせられる。

そう。それに対して私は良いとも悪いとも言わないんですけど。

——“このことについてどう思いますか?”っていう問いかけでもないもんね。言いっぱなしというか。

あははは。そうなんです(笑)。

——いい放たれたその言葉を受けて、ぬん、ってなるみたいな(笑)。

あははは。“ぬん”(笑)。そうやって深く感じ取ってくれる人もいれば、「BE MY DOG」とかは、そのまま犬の曲だと思って“可愛い歌詞ですね!”って言ってくれる人も居て。感じ方は人それぞれなのでいいんですけど。込めた意味に気付いてくれるかどうか、共感するしないって、それぞれが何を経験してきたかっていうところで変わってきますからね。ただ、オブラートに包み過ぎているので、わかりづらいっちゃわかりづらいんで、今後はもうちょっとストレートに広く共感を得られる言葉も使えるようになりたい気もします。売れたいんで(笑)。


取材・文=武市尚子  撮影=三輪斉史

 

イベント情報
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mini album[OVERKILL]

RIS / OVER KILL

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2017/3/8  ZIG-707
 
1. BE MY DOG
2. NOT TOO BAD
3. OVERKILL
4. C.O.P
5. LET IT DIE -LONG LIVE THE PHOENIX OF THE MIND-(PS4「LET IT DIE」公式参加ソング)
6. LOVE CLUB

 

イベント情報
RIS mini Album 「OVERKILL」レコ発ライブ

04/07(金)@ 渋谷スターラウンジ

レコーディング参加メンバーによる一夜限りのスペシャルライブです!

出演: RIS
Perform with...
G: 三代 堅(The MORTAL, u crack irigaru...etc)
B: 林 束紗(ex SCARLET...etc)
Dr: 宮上元克(ex THE MAD CAPSULE MARKETS...etc)
発売中→ e+

 
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