ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』稽古場レポート
左から古田一紀、田野優花(AKB48)、中川晃教、村井良大、高垣彩陽、東山光明。
初演から50年が経つ今もなお、世界中で愛され続けているブロードウェイミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が4月9日(日)からシアタークリエにて上演される。
チャールズ・M・シュルツによる4コマ漫画『ピーナッツ』の世界が再現された本作は、個性豊かなキャラクターたちが登場。チャーリー・ブラウン役を村井良大、ルーシー役を高垣彩陽、サリー役を田野優花(AKB48)、ライナス役を古田一紀、シュローダー役を東山光明、スヌーピー役を中川晃教が務める。
公演に先駆けて都内で公開稽古が行われ、倍率20倍の中から選ばれたオーディエンス30名を前に3曲が披露された。
深いテーマが隠されたダンスナンバー
「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」より。
「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」より。
本作のタイトルにもなっている「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」は、冒頭を彩る明るいダンスナンバー。何をやってもダメなチャーリーは、いつものようにスクールバスに乗り遅れそうになる。そんな彼を珍しく仲間たちが褒め称える1曲。公開稽古の直前まで練習をしていた出来たてほやほやの楽曲とのことだが、6人全員が元気いっぱいに歌と踊りを披露した。「この曲には実は深いテーマが隠されています。最後にチャーリーの美しさを理解できる伏線となっているナンバーです」という演出家・小林香の言葉に期待が高まる。
この楽曲も含め、ダンスが多いという本作。今回、6人の中で自他ともにダンスリーダーと認める田野は、「みんな想像以上に聞いてきますね(笑)。でも楽しいので教えちゃいます」とにっこり。この日の場当たりもみんなに教えたそうだ。
シュローダーのベートーベン愛が爆発!
「ベートーベン・デイ」より。ベートーベンへの思いを熱く歌うシュローダー(東山光明)。
続いて、天才ピアニストのシュローダーが敬愛するベートーベンの誕生日を祝日にしようと思い立つシーン。ベートーベンの楽曲のフレーズも織り交ぜられた「ベートーベン・デイ」は、シュローダーがソロを力強く歌い、ベートーベンへの愛にあふれた情熱的なナンバーだ。
東山は「シュローダーは、一見、落ち着いていて外からみんなを見ているようだけど、音楽、特にベートーベンに関しては急に情熱的になるところがあるキャラクター。静と動がある。さらに稽古を積んで、もっともっと熱い『ベートーベン・デイ』をお届けしたいです」と意気込みを見せた。
本作の中でも代表的なビッグナンバー
中川晃教演じるスヌーピーが歌う、ビッグナンバー「サパータイム」より。
夕食の時間が大好きなスヌーピーが歌うビッグナンバー「サパータイム」は、この日は歌のみの披露に。本番では「踊りまくり」という、最高に盛り上がるナンバーになるそうだ。
「スヌーピーは、飼い主であるチャーリーをどこかシニカルに見ている。それを行動や感情で示していて、ただの犬ではない人間味を感じます」と、スヌーピーの魅力を語る中川。
中川は犬のような唸り声も交えつつ、夕食の時間がきた喜びを全身を震わせながら歌で表現した。チャーリーとの温度差も見どころだ。
6人6色で魅せる『ピーナッツ』の世界
ブロードウェイミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」公開稽古より。
「ベートーベン・デイ」や「サパータイム」の他にも、各キャラクターの見せ場となるナンバーがあるという。
チャーリー・ブラウン役の村井は「それぞれのキャラクターの性格に合ったナンバーがたくさんあり、『ピーナッツ』の世界観を存分に楽しめます。『明日、また頑張ろう』という生きる喜びやパワーがもらえるミュージカルです」とアピール。自身の役どころについては「普通の子代表みたいなキャラクター。でも、この“普通”っていうのが難しいんです。一度、チャーリーの顔を描いてみたんですけど、全然シュルツさんのようなタッチが出なくて……。すごくシンプルな故に難しい」とチャーリーの役作りの難しさを原作の絵に重ねた。
チャーリーの妹・サリー役の田野も「サリーは喜怒哀楽の激しい女の子。すんなり役に入っていけると思っていたんですが、意外と自分は落ち着いていたみたいで……。色々と勉強中です」と苦労している様子だが、「でも、そこが上手くハマったら素敵なサリーを演じられると思います」と自信をのぞかせた。
それぞれの役を模索中だというライナス役の古田とルーシー役の高垣。古田は「ライナスは知識があって哲学的な部分もあるけど、誰よりも子どもらしい部分もある。そこが可愛らしくて魅力だなと思います」と自身のライナス像を語り、高垣は「愛するシュローダーにつれなくされても、どうにかこうにかポジティブに前進していく彼女の前向きさを見習って頑張っていきたいです」と笑顔で意気込みを語った。
中川は「現実的にみんながそれぞれのキャラクターそのものなんですよ。ドンピシャなキャスティング。スヌーピー役の僕が言うのもなんですけど(笑)」と会場を笑わせつつも、「僕たちのチームワークと作品の持つ普遍性が劇場でカチッとハマった瞬間、きっと最高の時間をお届けできると思います」と語り、確信に満ちた表情を見せた。
ブロードウェイミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』は、4月9日(日)から25日(火)までシアタークリエにて上演。
取材・文・撮影:岩本恵美
2017年4月9日(日)~4月25日(火)
シアタークリエ (東京都)
サンケイホールブリーゼ (大阪府)
2017年5月9日(火)~5月10日(水)
日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール (愛知県)
チャーリー・ブラウン:村井良大
ルーシー:高垣彩陽
サリー:田野優花(AKB48)
ライナス:古田一紀
シュローダー:東山光明
スヌーピー:中川晃教
■脚本・音楽・詞:クラーク・ゲスナー
■追加音楽・詞:アンドリュー・リッパ
■訳詞・演出:小林香