「俺達も最高だけど、みんなも最高だぜ」エレファントカシマシの新たなスタートラインとなった30周年・大阪城ホール公演

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2017.3.31
エレファントカシマシ

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デビュー30周年記念コンサート “さらにドーンと行くぜ!” 2017.3.20 大阪城ホール

満員となる9000人が詰めかけて、大盛況の中で開催されたエレファントカシマシの大阪城ホール公演は、“さらにドーンと行くぜ!”というタイトルどおりのステージとなった。デビュー30年にして初の大阪城ホール。昨年7月に大阪城の前でメンバー4人の写真を撮ってポスターを作成していたことからも、彼らのこの公演にかける意気込みと熱意が伝わってきた。が、彼らは大阪城ホールをゴールではなく、スタート地点として設定していたのではないか。日々鍛錬して進み続ける現在進行形のバンドの姿がそこにあった。30周年記念コンサートであり、ベストアルバム『All Time Best Album THE FIGHTING MAN』収録曲中心の構成で、バンドのこれまでのヒストリーが見えてくると同時に、バンドの未来へと思いを馳せたくなる夜だった。

デビューから現在までのバンドのメンバーのレアな写真の数々がスクリーンに映し出されて、宮本浩次(Vo&G)、石森敏行(G)、高緑成治(B)、冨永義之(Dr)がこの日のために新調したというおそろいのスーツ姿で登場して、ライブが始まった。オープニング・ナンバーは「ファイティングマン」。メンバー4人のみでの演奏だ。石森のギターが鳴り響いた瞬間に、ロックンロールという名前の清冽な風が会場内を吹き抜けていくような気がした。何百回何千回と演奏しているはずだが、新調したスーツ同様に、みずみずしく響く。「大阪城ホール! baby ファイティングマン!」という言葉でのフィニッシュ。続いての「デーデ」も4人のみでの演奏。バンドの原点、核となる部分からスタートしていくということだろう。

「今日はようこそ、大阪城ホールへ。俺達もようこそ。今日は30周年ということもあるけれど、最高に楽しい日にしようぜ」という宮本の挨拶に続いて、3曲目の「新しい季節へキミと」へ。始まりのパワーが詰まったこの曲が、この日のこの場面にふさわしい。ここからはギターのヒラマミキオ、キーボードの村山潤、さらに曲によって、金原千恵子ストリングスも参加してのステージとなった。「今日は丁寧に1曲1曲、解説も入れながら聴いてもらえたら」との宮本の言葉もあった。それだけ歌をしっかり届けたいということだろう。曲について語ることはバンドのヒストリーを語ることにも繋がってくる。話すことによって、宮本自身が当時の気持ちを思い起こしたり、意識を切り替えたりというスイッチの役目も果たしそうだ。「悲しみの果て」「今宵の月のように」も歌詞とメロディを大切にしての演奏。歌の持っているパワーが真っ直ぐ届いていてくる。

続いては「戦う男」。ガムシャラに進み続ける男たちが奏でるからこそ、この熱い歌にさらなる説得力が宿っていく。メジャー・リーガーとして活躍した野茂英雄の登場するCMソングとして作ったとの説明もあったが、歌詞と2017年のバンドの姿とが重なっていく。
「散歩してる時の歌です。青春時代のことを大人になって思い出して歌った歌です」という紹介に続いて演奏されたのは「ふたりの冬」。ストリングスもまじえての情感あふれる歌が染みてくる。「大人になってから本当のラブソングが作れたらいいなと思って、憧れていました。大事に丁寧に歌います」との言葉に続いては「翳りゆく部屋」。想念がほとばしり、あふれだしていくような宮本の歌声に揺さぶられた。宮本がアコースティック・ギターを弾きながら歌い始めた「リッスントゥザミュージック」は金原千恵子のヴァイオリン、笠原あやののチェロをフィーチャーしての演奏。曲の後半にはバンドも弦楽器も一丸となって、高みを目指して飛翔し、コップの水が容量を超えながら、表面張力によって持ちこたえるようなギリギリのバランスを保ちながら着地していく。

「『明日に向かって走れ』という自分たちにとっても大事なアルバムを聴いてたら、悲しい歌ばかりでびっくりしちゃって。当時はその悲しさに気付いてなかったんですけど、そういう歌がグッと来る年齢になりまして」というMCに続いては「風に吹かれて」。哀愁あふれる歌が染みてくる。「ふたりの冬」「翳りゆく部屋」「リッスントゥザミュージック」「風に吹かれて」という流れは“さらにドーンと行くぜ”というライブのテーマを真逆のベクトルから浮き彫りにしていくかのようだった。生きていくこと、前に進んでいくことと、訣別することとは表裏一体となっているからだ。どの曲も歌のパワーがすごい。30周年を迎えたこのタイミングで、歌い手としての宮本はさらなる覚醒を遂げつつあるのではないだろうか。そしてまたその歌の世界を深いレベルで共有しているバンドの演奏も見事だった。丁寧に丹念に歌の最高の形を追求することと渾身の力での気迫あふれる演奏をすることが両立している。バンドはそのポテンシャルをさらに広げつつあるようだ。「ハナウタ~遠い昔からの物語~」に続いての「桜の花、舞い上がる道を」では、宮本がステージ中央から客席へ伸びている花道に出てきてのボーカル。その先端で紙吹雪が舞う演出もあった。大阪城公園は桜の名所でもある。この時点では開花はまだ先だったのだが、一足早い花見も兼ねたライブとなった。

ここまで1曲ずつMCを挟むことによって、歌が主役のステージという印象も受けたのだが、ここから先はMCを挟まない展開がメインとなり、曲と曲とが連なることで大きなうねりが生まれて、バンドが生き物のようにうごめき始めた。そこにもエレファントカシマシのライブの魅力がある。宮本のアコギの弾き語りで「大阪城ホール、いい顔してるぜ。よく見えないけど、決まっているぜ。素敵な場所へ行こうぜ」と口ずさんで始まったのは「3210」だった。歌とバンドの演奏とストリングスとが一体となって、さらに観客も一緒になって、先へ先へと突き進んでいく。そのエネルギーは「RAINBOW」にも引き継がれていく。宮本が花道に出てきて、積もった紙吹雪をつかんでまきちらしつつの歌。「花道作ってくれてありがとう。好きです、花道」と宮本がひと言。そのうれしげな素振りから、公園の滑り台に興奮してはしゃぎまわる幼児の姿を連想してしまった。さらに「ガストロンジャー」へ。衝動がエネルギーとなって炸裂していく。

高緑が加入して、現在の4人のメンバーになって初めて演奏した曲という「やさしさ」ではひと言ひと言噛みしめるような歌と一音一音しっかり刻みつけるような演奏が印象的だった。10代の頃に作った歌を50代になって、こんなにも真っ直ぐに演奏できることが素晴らしい。大阪城ホールに一足早く春の風が吹いたのは「四月の風」だった。さらに「ズレてる方がいい」、そして第一部最後の「俺たちの明日」へ。身振り手振りを交えて、全身を使った宮本の歌いっぷりにも胸が熱くなる。「everybody ドンと行け!」というフレーズに続いて、ジャンプしてフィニッシュ。銀テープが舞っている。大歓声までもが一緒にキラキラと輝くかのようだ。

歌の世界観を丁寧に表現していったのが第一部だとすると、歌を大切にしながらも、楽曲のパワーを解き放っていったのが第二部と言えるかもしれない。それくらい第二部はすさまじいエネルギーが渦巻く演奏の連続だった。4分割の映像にメンバーが映し出される中、「奴隷天国」での始まり。罵倒や悪態がまんま歌になったような曲なのだが、“奴隷”という歌詞の後に発音がちょっと似た“踊れ”という言葉をつけ加えて歌っていたせいか、“奴隷解放天国”と言いたくなるような開放的なパワーがほとばしっていた。続いては「珍奇男」。1月6日に日本武道館で行われた新春ライブでの「珍奇男」もすさまじかったが、この大阪城ホールでの「珍奇男」はさらにすさまじかった。宮本が花道の先端で椅子に座って、アコギを弾きながらの始まっていったのだが、バンドのダイナミックな演奏が加わって、珍奇の度合いに拍車がかかっていく。宮本は途中からエレキギターにチェンジ。緩急自在。変幻自在。山あり谷あり。クレイジーでパンキッシュな歌と演奏にゾクゾクした。

「大阪城ブルース。明日またいい日になりますように」という言葉とともに始まった「Under the sky」は村山のキーボードと金原ストリングスを全面的にフィーチャーして、宮本のフェイクも交えつつ。深遠な歌によって会場がブルーに染まっていく。さらに「コールアンドレスポンス」、「笑顔の未来へ」へ。「TEKUMAKUMAYAKON」では宮本が花道からアリーナへ降りて歌う場面もあった。この時点ですでに大団円と言いたくなる展開だが、まだまだたたみかけていく。ストリングスも一体となって、バンドサウンド全開の「so many people」では客席も熱狂。「まだまだやっていかなきゃいけない。お互い様だろう」という言葉に続いて「夢を追う旅人」へ。こぶしを振り上げ、客席を指で指しながらの熱唱。これで本編終了かと思いきや、まだだった。冨永に向かって「花男」とひと言つぶやくと、「花男」が始まった。この曲でも宮本が花道の前へ出てきた。“花道の似合う男”、略して“花男”と言いたくなった。この曲の歌詞の最後の“さようなら”からそのまま「さようなら。バイバイ」と挨拶へとシフトしていく流れがなんだかおかしい。「みんな、素晴らしい。最高だぜ。俺達も最高だけど、みんなも最高だぜ」という言葉もあった。全員が整列してお辞儀して、二部終了。もちろん拍手は鳴り止まない。

アンコールではまず「友達がいるのさ」が演奏された。“東京中の電気を消して”というフレーズは2コーラス目は“大阪中”に変更されていた。“来週も来年も行くぜ”“歩いたっていいぜ。座ったっていいぜ。後ろに歩いたっていいぜ”と歌われている。この瞬間の思いがそのまま歌へと変換されている。高緑と富永とが生み出す強靱なビートで始まって行ったのは「おはようこんにちは」だった。バンドの粘り強いグルーヴがズシッと入ってくる。さらに「待つ男」へ。予定調和のハッピー・エンドではなくて、得体のしれない不穏なエネルギーが渦巻くこの曲で終わるところもエレファントカシマシらしい。“富士に太陽がちゃんとある”という最後のフレーズでは宮本が両手を上にあげて、天を見上げてのフィニッシュとなった。これが映画であるならば、“エンドマーク”ではなくて、“続く”という文字がふさわしそうだ。メンバーが並んでそれぞれ手を振ったり、お辞儀したりして挨拶している。「素晴らしい1日になりました」と宮本が笑顔で話している。

バンドが観客全員をギュッと抱きしめて、そのまま来たるべき未来へとひとり残らず連れていくようなステージだった。最初から最後まで音楽という名前のどでかくて、温かなエネルギーが大阪城ホールの中に充満していた。これは未来への壮大な予告編。とりあえず目の前に見えている未来は、4月8日から始まる全国47都道府県を回る『30TH ANNIVERSARY TOUR』だ。「待つ男」の歌詞にならうならば、富士に太陽がちゃんとあるように、全国各地のステージにエレファントカシマシの音楽が鳴り響くことになる。


取材・文=長谷川誠 撮影=岡田貴之

30th ANNIVERSARY TOUR 2017 ”THE FIGHTING MAN”
初の47都道府県ツアーを開催!

●4月1日(土) 10:00~ ツアー前半戦 チケット一般発売開始!
http://eplus.jp/elephantkashimashi/
●4月1日(土) 12:00~ ツアー後半戦 チケットオフィシャルサイト3次先行抽選受付開始!
http://eplus.jp/ek30annivohpth/

セットリスト
デビュー30周年記念コンサート “さらにドーンと行くぜ!” 2017.3.20 大阪城ホール
[第一部]
1. ファイティングマン
2. デーデ
3. 新しい季節へキミと
4. 悲しみの果て
5. 今宵の月のように
6. 戦う男
7. ふたりの冬
8. 翳りゆく部屋
9. リッスントゥザミュージック
10. 風に吹かれて
11. ハナウタ~遠い昔からの物語~
12. 桜の花、舞い上がる道を
13. 3210
14. RAINBOW
15. ガストロンジャー
16. やさしさ
17. 四月の風
18. ズレてる方がいい
19. 俺たちの明日
[第二部]
20. 奴隷天国
21. 珍奇男
22. Under the sky
23. コール アンド レスポンス
24. 笑顔の未来へ
25. TEKUMAKUMAYAKON
26. so many people
27. 夢を追う旅人
28. 花男
[ENCORE]
29. 友達がいるのさ
30. おはよう こんにちは
31. 待つ男

 

ツアー情報
30th ANNIVERSARY TOUR 2017 “THE FIGHTING MAN”
■4月8日(土) 東京・北とぴあ さくらホール 16:30/17:00
■4月15日(土) 山梨・コラニー文化ホール 大ホール 17:30/18:00
■4月22日(土) 茨城・茨城県立県民文化センター 大ホール 17:30/18:00
■4月23日(日) 千葉・市原市市民会館 大ホール 17:00/17:30
■4月29日(土・祝) 岡山・岡山市民会館 17:30/18:00
■4月30日(日) 高知・高知県立県民文化ホール オレンジホール 17:00/17:30
■5月3日(水・祝) 鹿児島・宝山ホール 17:30/18:00
■5月4日(木・祝) 熊本・熊本県立劇場 演劇ホール 17:00/17:30
■5月6日(土) 島根・島根県民会館 大ホール 17:00/17:30
■5月7日(日) 広島・広島上野学園ホール 17:00/17:30
■5月14日(日) 福井・福井フェニックス・プラザ 17:00/17:30
■5月20日(土) 北海道・わくわくホリデーホール 17:30/18:00
■5月27日(土) 岐阜・長良川国際会議場 17:30/18:00
■5月28日(日) 三重・四日市市文化会館 第一ホール 17:00/17:30
■6月3日(土) 福島・郡山市民文化センター 大ホール 17:30/18:00
■6月4日(日) 山形・やまぎんホール 17:00/17:30
■6月10日(土) 佐賀・鳥栖市民文化会館 大ホール 17:30/18:00
■6月11日(日) 宮崎・メディキット県民文化センター 演劇ホール 17:00/17:30
■6月18日(日) 神奈川・神奈川県民ホール 大ホール 17:00/17:30
■6月24日(土) 徳島・鳴門市文化会館 17:30/18:00
■7月1日(土) 愛媛・松山市民会館 大ホール 17:30/18:00
■7月2日(日) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール 17:00/17:30
■7月8日(土) 長野・まつもと市民芸術館 17:30/18:00
■7月9日(日) 東京・オリンパスホール八王子 17:00/17:30
■7月15日(土) 秋田・秋田県民会館 17:30/18:00
■7月16日(日) 岩手・盛岡市民文化ホール 17:00/17:30
■7月22日(土) 沖縄・ミュージックタウン音市場 17:15/18:00
■9月23日(土・祝) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール 17:15/18:00
■9月24日(日) 石川・本多の森ホール 17:00/17:30
■9月30日(土) 長崎・島原文化会館 大ホール 17:30/18:00
■10月6日(金) 青森・弘前市民会館 18:30/19:00
■10月8日(日) 宮城・仙台サンプラザホール 17:00/17:30
■10月9日(月・祝) 栃木・宇都宮市文化会館 大ホール 17:00/17:30
■10月14日(土) 大分・宇佐文化会館 大ホール 17:30/18:00
■10月15日(日) 香川・サンポートホール高松 大ホール 17:00/17:30
■10月22日(日) 新潟・新潟県民会館 17:00/17:30
■10月28日(土) 和歌山・和歌山市民会館 大ホール 17:30/18:00
■10月29日(日) 滋賀・守山市民ホール 大ホール 17:00/17:30
■11月3日(金・祝) 福岡・福岡サンパレス 17:30/18:00
■11月5日(日) 鳥取・米子市公会堂 17:00/17:30
■11月18日(土) 群馬・ベイシア文化ホール 大ホール 17:30/18:00
■11月19日(日) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール 17:00/17:30
■11月23日(木・祝) 山口・山口市民会館 大ホール 17:00/17:30
■11月25日(土) 京都・ロームシアター京都 メインホール 17:30/18:00
■11月26日(日) 静岡・三島市民文化会館 大ホール 17:00/17:30
■12月2日(土) 奈良・なら100年会館 大ホール 17:30/18:00
■12月9日(土) 富山・富山オーバード・ホール 17:30/18:00

<チケット料金>
指定席 6,900円(税込)
※7月22日(土) 沖縄・ミュージックタウン音市場公演のみ、
スタンディング 6,900円(税込) ドリンク代別となります。
※3歳以上チケット必要

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