ヘヴィ・ミュージックを先の次元へ――CRYSTAL LAKEがO-EASTを焼き尽くしたツアーファイナル

レポート
音楽
2017.3.31
CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA

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True North Tour ONEMAN SHOW 2017.3.10 TSUTAYA O-EAST

昨年11月30日に出たCRYSTAL LAKEの4thアルバム『True North』は、日本のラウド・シーンの中でもトップに位置する大傑作だった。最新作はグッド・シャーロットのマッデン兄弟が立ち上げた「MDDN」に初の日本人バンドとして所属したことでも話題を呼んだものの、とにかく作品のクオリティの高さに僕は驚いた。彼らはヘヴィ系に止まらずパンク系のフェスにも名を連ね、積極的にアウェーに飛び込むことでいちバンドとしての個性や技量に磨きをかけてきた。最新作は、一つの高みに到達した出色の出来映えだった。

CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA

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具体的に言うと、メタルコア/ジェント経由のゴリゴリのヘヴィネスはもちろん、クリーントーンのギターを増やし、コーラス・ワークにも力を入れ、楽曲の空間性やスケールを帯びた曲調へ進化を遂げた。ゆえに最新作を引っ提げたワンマン・ツアー『True North Tour ONEMAN SHOW』最終日は楽しみで仕方がなかった。

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まずはTSUTAYA O-EASTの会場に入り、ビッシリ埋まった観客の多さに笑みが零れる。「彼らがこの規模のクラスで埋まるのか?」と思う人もいたかもしれないが、僕は「余裕で埋まるだろう」と踏んでいた。この日は見事ソールド・アウトの超満員状態だ。そして、開演前から待ち切れない外国人を含む観客たちが、バンド名を激しくコールしている。始まる前から殺気立つムードが立ち込め、場内は異様な緊張感に包まれていた。

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19時11分、オープニングは神聖なインスト曲「Alpha」~「Omega」と最新作と同じ流れでスタート。観客は既に興奮気味で、フロアは波のごとく揺れ動き、早くもステージ・ダイブが勃発する騒乱状態だ。それからリンプ・ビズキット風の柔和なラップで始まる「Hatred」へ。ハードコアとヒップホップのクロスオーバーを血肉化させた曲調も、彼らの真骨頂と言えるものだ。縦に横に攻め続け、中盤にフッと挟むエレクトロ・パートも実にカッコイイ。男臭いメロディを配した「Mercury」に入ると、SUICIDE SILENCEのTシャツを着た外国人が大騒ぎする姿が目に止まり、会場もジャンプ大会の様相を呈す。その熱き盛り上がりに機材も調子が狂ったのか、Ryo(Vo)のマイクが壊れる謎のハプニングもあったほどだ。

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ステージに設置されたメンバーお立ち台は、いつの間にか観客がステージ・ダイブする飛び台へと様変わり。逆にRyoは観客と顔を突き合わせてシャウトをブチかます。ステージとフロアの境目はなく、双方が入り乱れて、ぐちゃぐちゃになって溶け合う。これこそハードコアのライヴの醍醐味だろう。O-EASTというデカバコにもかかわらず、地下のライブハウスと変わらぬ光景を作り出しているのも、痛快極まりない。

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中盤、「Black And Blue」では途中でJESSE(RIZE、The BONEZ)が参戦し、Ryoと面と向かってガチのシャウト・バトルを繰り広げ、最後はお互いに抱擁して拳をぶつけ合う。その様子を見て、「最高じゃねえか!」と男性客から声が上がっていた。それから「Metro」では上手のサブ・ステージから女性ヴォーカルが現れる特別な演出も施される。また、この曲におけるYudai(G)のオリエンタルなクリーントーン・ギターも素晴しく、メタルコアに収まらない壮大感にうっとり聴き入った。そう言えば、最新作でメンバーは「日本人ならではの奥ゆかしい繊細さ」を意識したという。それが見事にライブでも効果を発揮していた。バラード調の「Breathe Deep」でしっとり聴かせると、Gaku(Dr)が壮絶なドラム・ソロで場を沸かせる。その後、「Overcome」でRyoがフロア後方までクラウドサーフで泳ぎ様に観客も大熱狂!

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このワンマンツアーは1年前にメンバーの口から出たそうだ。今年で彼らは結成15年目を迎える。「これがCRYSTAL LAKEと言える!」とYudaiから頼もしい発言も飛び出した。さらにRyoがヴォーカルになり、ベースとドラムはサポードに支えられ、ここまで続けて来れたとShinya(G)が感謝の言葉を述べると、会場から温かい拍手が起きていた。

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「俺たちが日本代表、世界中に見せつけてやろうぜ!」とRyoが煽ると、最新作の表題曲「True North」をここで披露。ゴリゴリにしてキャッチー、アンビエントな要素を盛り込んだ曲調は、観客の大合唱を誘発する凄まじい盛り上がり。<Thie is way we are>の歌詞も耳に残り、圧巻のスケールで鳴り響かせていた。続いて「Beloved」ではKoie(Crossfaith)を迎え、再びRyoとシャウト合戦に突入。本編ラストは女性コーラス6人をバックに従え、「Waves」をプレイ。ヘヴィかつ雄大なサウンドで締め括る。バンドはそのままアンコールに応え、O-EASTを焼け野原にする完全燃焼のパフォーマンスを見せつけた。

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今年はバンド主催によるイベント『TRUE NORTH festival』(10月21日、新木場スタジオコースト)を初開催することも発表。彼らのことだから、また面白いメンツを揃えてくれるに違いない。ライブ序盤にRyoは言っていた。「ヘヴィ・ミュージックをトレンドじゃなく、カルチャーにする!」と。今日のワンマン公演を観て、その発言は遠い夢ではなく、すぐ近くの「現実」として素直に受け止めることができた。 


取材・文=荒金良介 撮影=TAKASHI KONUMA

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イベント情報
Crystal Lake 15th Anniversary “TRUE NORTH festival” 
日時:2017年10月21日 (SAT)
OPEN 12:00 / START 13:00
会場:新木場 STUDIO COAST
出演:Crystal Lake / and more
:\4,800 (+1D) ※3歳以上有料
プレリザーブ<ぴあ先行>: 4/2(月)23:59まで
http://w.pia.jp/t/crystallake/
問い合わせ:H.I.P. 03-3475-9999

 

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