【動画あり】中川晃教が超かわいいスヌーピーに! ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』ゲネプロレポート

2017.4.8
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『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子


全世界的に愛されているキャラクター・スヌーピーでおなじみの漫画『PEANUTS』(C・M・シュルツ作)が原作のミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が2017年4月9日(日)からシアタークリエで開幕する(その後、福岡、大阪、愛知を巡演)。今年は本作にとって初演から50周年を迎えるアニバーサリーにあたる。初日を前に行われたゲネプロ=総通し稽古の様子を、事前の記者会見の内容を盛り込みながらお伝えする。最初にゲネプロのダイジェスト動画からご覧いただきたい↓

 


作品の歴史を紐解いてみよう。原作の『PEANUTS』は1950年10月に新聞で連載がスタート。チャーリー・ブラウンを始めとする登場人物たちの日常を、シニカルかつユーモラスに描き、人気を博した。作曲家であるクラーク・ゲスナーが『PEANUTS』に触発され、曲を書き始めたのがミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』の始まりで、1967年にオフ・ブロードウェイで初演を迎える。1971年に閉幕するまで、オン/オフ合わせて1644回の公演が上演されている。

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

その後、再びこの作品がスポットを浴びたのは、1999年にブロードウェイでリヴァイヴァル上演されたから。『春のめざめ』や『お気に召すまま』(シアタークリエ)などの演出で知られるマイケル・メイヤーが追加脚本を書き、演出も担当。また、『ビッグ・フィッシュ』などを手がけた作曲家アンドリュー・リッパが追加音楽・詞。さらには『キンキー・ブーツ』や『キューティ・ブロンド』の演出・振付で有名なジェリー・ミッチェルが振付を担当するという、ブロードウェイのトップクリエイターたちが集まり、注目を集めた。

サリー役の田野優花(AKB48)

日本では、1977年に日本版初演が上演されている。チャーリー・ブラウンを演じたのは『上を向いて歩こう』などで知られる坂本九だった。2000年の上演の際は、チャーリー・ブラウンを小堺一機、スヌーピーを市村正親、ルーシーを土居裕子と、これまた豪華なメンバーだった(2001年再演も同様)。

スヌーピー役の中川晃教

スヌーピー役の中川晃教

さて今回、ビーグル犬のスヌーピーを演じるのは、中川晃教。『ジャージー・ボーイズ』で第24回読売演劇大賞で最優秀男優賞を受賞後、初めて演じる役が「犬」であることについて中川は「本当にこういうことがタイミングとしてくるんだなって思っているんですけど、嬉しく思っていますよ。スヌーピーという話を最初頂いた時に、『うわぁ、あのスヌーピーをやるの』ってイメージが湧かなかったんです。誰もが知っているあのスヌーピーを中川晃教がやったら。どうやって生き生きと表現できるんだろうと自分なりに妄想を膨らませた時になんかやってみたいなって思ったんです。運命と縁を感じているキャラクターです。ワン」と語る。

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

そんな中川は、とにかく愛嬌たっぷりにスヌーピーを演じる。衣装の力もあるだろうが、本当に犬に見えてくるから不思議だ。中川は「衣装は色んなところが軽量化されたり、シースルーになって風通しが良くなっていたり、4足歩行ということで膝にパットが入っていたり、機能性にすぐれている衣装です。ただ、暑いんですけどね(笑)。スヌーピーなので愛くるしく演じるには、この衣装は最高のアイテム。気合十分です」と裏話も教えてくれた。

チャーリー・ブラウン役の村井良大

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

そして、何をやらせても冴えないけれどとにかくいい人であるチャーリー・ブラウンを演じるのは、村井良大。だぼだぼの黄色い衣装を着て、泣き笑い走り回る姿は子供そのものだ。村井といえば、『RENT』でマーク役を演じているが(2017年版もマーク役を演じる)、1999年のリヴァイヴァル版でチャーリー・ブラウンを演じているアンソニー・ラップも『RENT』でオリジナルのマーク役だった。年齢も設定も全く違うキャラクターを日米で同じ役者が演じているのは面白い(何か知られざる共通点があるのかなぁ...)。

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

「愛犬」の中川は、そんな村井について「とにかく村井良大が本当にチャーリー・ブラウンなんですよ。チャーリー・ブラウンって何をやっても上手くいかない。彼は彼なりのビジョンを持って、クリアしたい課題を持って生きていくんだけれども。それが『RENT』の主演、今回も主演。いろんな意味であっぷあっぷしている彼にすごくリンクするんですよね。僕はそのチャーリーを愛している犬だから、ちょっとシニカルで皮肉っている瞬間もあるんだけれども、でも全面的に愛しているから、彼の全ての瞬間がとにかく大好きです」と忠誠心をのぞかせるコメントをした。

シュローダー役の東山光明(左)とルーシー役の高垣彩陽

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

その他、高垣彩陽は口うるさいルーシー役を全身全霊で表現するので目が離せないし、AKB48の田野優花はチャーリーの妹であるサリー役を滑舌よく魅力的に演じていた。毛布を手放せないライナス役の古田一紀、ベートーベンを愛するシュローダー役の東山光明の両者も、キャラクターの特性をよく掴んで個性を発揮していた。

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

およそ2時間20分(途中休憩あり)。話の筋は、あまりない。4コマ漫画『PEANUTS』を読んでいる時と同じように、短いシーンが次々と続いていくショート・ショートの舞台構成となっていて、各シーンに「良いことには必ず終わりが来る」(チャーリー)や「毛布を持たずに親指をしゃぶるなんて、アイスクリームの乗っていないコーンを食べてるようなものさ」(ライナス)といったシニカルで示唆深いセリフが散りばめられている。舞台セットも漫画のコマを意識した四角いパネルがよく登場するし、衣装はもちろんだが、舞台セットの色合いもポップで可愛らしい。

チャーリー・ブラウン役の村井良大

見終わった後にどこか優しい気持ちになるのは、子供たちの天真爛漫さに癒されるのもあるが、耳に残る名楽曲揃いだからではないだろうか。例えば、シュローダーが敬愛するベートーベンへの愛を歌う「ベートーベン・デイ」はベートーベンのメロディーも織り交ぜられていて印象深いし、スヌーピーが大好きな夕食な時間について歌う「サパータイム」は、中川の安定した歌唱力に加え、華やかなダンスも相まって、本作を象徴するようなハッピーな1曲になっている。

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のゲネプロの様子

ライナス役の古田一紀(左)とルーシー役の高垣彩陽

子供だけではなく、大人の鑑賞に堪えうるハッピーミュージカル。コミックの世界観そのままに等身大で生きる登場人物たちの「しあわせのメッセージ」をかみしめたい。

取材・文・撮影:五月女菜穂

公演情報
BROADWAY MUSICAL 「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」
 
■日程・会場

2017年4月9日(日)~4月25日(火)
シアタークリエ (東京都)
 
2017年4月29日(土)
キャナルシティ劇場(福岡県)
 
2017年5月6日(土)~5月7日(日)
サンケイホールブリーゼ (大阪府)

2017年5月9日(火)~5月10日(水)
日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール (愛知県)
 
■出演
チャーリー・ブラウン:村井良大 
ルーシー:高垣彩陽 
サリー:田野優花(AKB48) 
ライナス:古田一紀 
シュローダー:東山光明 
スヌーピー:中川晃教 
声の出演:大和悠河
 
■原作:チャールズ・M・シュルツ著 コミック『ピーナッツ』より 
■脚本・音楽・詞:クラーク・ゲスナー
■追加脚本:マイケル・メイヤー
■追加音楽・詞:アンドリュー・リッパ
■訳詞・演出:小林香
 
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