中村優一&井上正大が“真剣”で巻藁を斬り落とす! 舞台「警視庁抜刀課 vol.1」居合の稽古場に潜入
月刊バーズで連載中の斎藤 岬のコミックを原作とする、舞台「警視庁抜刀課 vol.1」は『仮面ライダー響鬼』、『仮面ライダー電王』に出演していた中村優一と、『仮面ライダーディケイド』に出演していた井上正大の “平成ライダー”2人のW主演ともあり、大きな注目を集めている。
公演まであと一ヶ月と迫った4月某日、稽古場を訪れると、そこでは“真剣”と向きあう初めての経験にその全てを吸収しようとする姿や、剣を振るうときに現れた殺陣経験者の本能など、普段は見られないようなキャストたちの姿を垣間見ることができた。
無外流居合 鵬玉会会長、武田鵬玉氏
真剣の扱い方を指導するのは無外流居合 鵬玉会の会長である武田鵬玉氏。刀のスペシャリストのもとで、知識と技を教わるのは滅多にない機会とあって稽古場に入ると、緊張した面持ちのキャストが揃っていた。
まずは刀についての「知識」。鍔や拵えの歴史知識やその値段に、珍しそうに視線を集める一同。鞘の色にも意味があるのだという。なだらかに波打つ美しい波紋は、見ていて感動を覚えるほど。
日本刀を見つめるキャストたち。写真手前は架光隼人(かけみつはやと)役の井上正大
続いて模擬刀や竹刀を持って型の練習が始まった。居合には刀礼があるが、芝居でも同様に怪我のないように刀礼をするのが良いと言う。簡単な刀の扱い方から間合いの取り方、そして刃筋を作る稽古へ。模擬刀も振り続けるとそれなりの重量を感じるが、刀の構え方、体の使い方ひとつでガラッとそれが変化する。居合は上手くなってくると筋肉を使わないで刀を振るため、歳も性別も関係なくなるという。
刃筋を意識して剣を振るキャストたち
型の稽古の後はいよいよ真剣での実践だ。居合道では試し切りをするために巻藁(竹に藁や畳表を巻いて輪ゴムで止めたもの)を使用する。これを一晩水につけておくと、人を斬ったときと同じ感触になるらしい。
最初に井上正大が挑戦。ひと振り目、ふた振り目は刀が浅く入ってしまい、畳の破片が周囲に飛び散っていく。何回か繰り返すうちにコツをつかんでいったようで、ついに塊が床に落ちたときは周囲から拍手がわいた。
井上正大は試し切りに成功!
次に挑戦したのは中村優一。何度かトライしたが、畳の途中で刀身が止まってしまうなどで斬りきれず、先生の手本通りにスパッと綺麗に刃が入ることはとても難しいようだった。
切通 弥(きりどおし わたる)役の中村優一
他の参加キャストも試し切りに挑戦したが巻藁の表面をかするだけで、井上以外は切り落とすことがかなわなかった。殺陣に精通するキャストからは「普段から当てないように、切らないようにと意識してやっているので、実際に当てるとなると難しい。」という感想があがった。舞台での殺陣は、実際に人には当てないようにギリギリのところで止めるため、無意識に腕を引いてしまうとのこと。
今回の居合稽古で、各キャストも大きな刺激を受けたようで、兎茶護(うさ まもり)役の星元裕月は“「刀」に敬意を払い 慎重に向き合いたいと思います。”と自身のブログで語っている。
兎茶 護役の星元裕月
短い時間での稽古だったが、主演の中村と井上に試し切りの感想を聞いた。
――稽古はいかがでしたか?
中村:やっぱり斬れませんでしたね……。すぐには切れないだろうなって思って来たので予想通りではありましたが、井上くんは斬れたので悔しかったです。自分も一回はスパって斬ってみたかった! 稽古や舞台では「斬っていい」状況は絶対にないので、いざ当てるとなるととても緊張しました!
――“真剣”の重みはいかがでしたか?
中村:重たかったですね。当てようとする角度がなかなか定まらず、難しかったなって思います。
中村優一(写真左)は人一倍熱心に知識を吸収しようとしていた
――井上さんはいかがでしたか?
井上:斬れてよかったですが、想像以上に難しかったです。最初斬れなかったときは「切れるだろうな」くらいの気持ちでいたんですが、「斬ろう!」と思って臨まないと斬れないみたいです。僕は武道をやっているんですが、板割りをやるときも「割ろう!」と思わないと割れないんですよ。板との会話と言いますか……。これにも通じるところがあるんだなと思いました。
刀の持ち方を確認中の井上正大
舞台「警視庁抜刀課 vol.1」は、5月26日(金)~6月4日(日)全14公演をCBGKシブゲキ!!にて上演予定。
取材・文・写真=松本裕美
©SAITOH MISAKI, GENTOSHA COMICS 2016
会場:CBGKシブゲキ!!
原作:斎藤岬「警視庁抜刀課」(月刊バーズ連載中/幻冬舎コミックス)
<キャスト>
中村優一、井上正大
星元裕月、藤木かおる、岩田華怜、宮崎翔太
伊藤陽祐、山本一慶
岩男海史、みやけみつる
吉崎孝行、浦家賢士、宮川康裕、高橋まさかず、上島純也、髙木俊輔
<スタッフ>
脚本・演出:大和田悟史
殺陣師:青木哲也