劇場版フェアリーテイルの来場者特典がスゴかった! 劇場版原案ネームで作品を検証する

コラム
アニメ/ゲーム
2017.5.12
来場者特典:劇場版FAIRYTAIL劇場版原案ネーム

来場者特典:劇場版FAIRYTAIL劇場版原案ネーム

映画『劇場版フェアリーテイル –DRAGON CRY–』が5月6日より公開スタートとなりました。GWシーズンということもあり、公開館数が200~300館以上割かれているような大作が多い中、本作は上映館数100館ほどでの上映となっております。そんな興行的には不利な状況でありながら、『劇場版フェアリーテイル –DRAGON CRY–』は公開初週末の映画動員数ランキング(毎週興行通信社が発表)にて初登場10位に見事ランクイン。手堅い人気を示しました。

この映画、なんといっても注目しておきたいのが来場者特典の“劇場版原案ネーム”です。

フェアリーテイルの原作漫画を描いている真島ヒロ先生が、この映画の制作時に描いた初稿の原案ネームを収録した一冊となっています。この冊子が非常にスゴいのです。

来場者特典での原案ネームの配布は、昨年『ONEPIECE FILM GOLDで配布した777巻でも行われていました。こちらでは数ページほど原作者の尾田栄一郎先生の原案ネームが収録されていたのですが、フェアリーテイルの恐ろしいところは、初稿を始めから終わりまで丸々一冊収録してしまっているところです。そのページ数、なんと193ページ(!)。映画のコミカライズ版がそのまま貰えてしまうような状態となっているのです。そもそも原案ネームを丸々見られる機会なんて、普通はありません。なんて贅沢な来場者特典なんだろうと、私、この来場者特典という試み事態に感動いたしました。

内容自体も興味深い一冊となっています。映画と来場者特典の双方を観れば分かるのですが、初稿とされている原案ネームの時点で、実際の映画の本編とかなり近い状態となっているのです。流れや展開、演出にセリフに至るまで、諸々がそのまま実際のアニメに落とし込まれていて、ここまで近い状態が初稿だということに驚かされます。

一方でほとんどが映画の本編と近い分、どこが違うかが逆に目立つの面白いところです。

例えば、敵の幹部として登場するドールという男。映画の本編では、フランソワとキャトリンという女の子型のぬいぐるみを操作して攻撃するキャラクターデザインなのですが、原案ネームでは両耳のあたりからコードの様なものが出ていて、その先端の筒状のような部分を操作して攻撃するキャラクターとなっています。

また、原案ネームで登場するハンスという少年のキャラクターは、アニメ本編では完全に削られており、全く出て来ないなんて違いもあります。ある因縁を抱えたキャラクターとして決して無意味な人物というわけではないのですが、映画化していく過程でなくなってしまった要素であることがわかります。

変えたり、消したり、増やしたり。様々な取捨選択が行われていることが、この原案ネームを読むことで通常の映画では味わえないほど実感することができます。制作の裏側の部分を、ここまで表に見せてくれる作品も珍しいのではないでしょうか。

是非、多くの作品でも真似して欲しい来場者特典です。ただし、制作側としてもあまり見せたくないと思われる部分でしょうし、そもそも漫画原作があり、なおかつ速筆で有名な真島先生が“原案ネーム”というアイテムを用意できたからこそ実現した企画とも言えるでしょう。そう考えると、こうして原案ネームと映画を観比べて楽しめる機会自体が、かなり貴重なものでしょう。

この来場者特典は数量限定品となっているそうです。映画の面白さが3割4割どころか、2倍ぐらい変わってくるアイテムですので、来場者特典を手に入れるためにも『劇場版フェアリーテイル –DRAGON CRY–』の鑑賞は早めに足を運んでおくことをオススメいたします。

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