風景を旅する展覧会「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」
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ヨアヒム・パティニール 《聖カタリナの車輪の奇跡》 1515 年以前 油彩・板
風景画の誕生から展開まで、風景を巡る
2015年9月9日(水)~12月7日(月)の期間、Bunkamura ザ・ミュージアムにて「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」が開催される。同展では、ウィーン美術史美術館から所蔵されている重要な風景画のうち厳選された約70点の貴重な作品が展示され、様々な風景画を楽しむことが出来る。
本記事では、いくつかの作品に焦点をあてながら、同展の魅力をお伝えする。
風景画の変遷
15世紀以降のヨーロッパでは、描かれた窓を通して風景が描かれはじめ、次第に聖書や神話を主題とした作品の中に風景が現れるようになった。
ホーホストラーテンの画家 《聖母子と聖カタリナと聖バルバラ》 1510 年頃 油彩・板
南ネーデルラントの画家 《東方三博士の礼拝》 1520 年頃 油彩・板
風景画というジャンルの創立者と言われているパティニールの作品では、聖なる主題と背景の風景の比重を逆転させ、場面の人物たちが小さく描かれている。聖なる主題を小さく配したパノラマ風景を生み出した。
ヨアヒム・パティニール 《聖カタリナの車輪の奇跡》 1515 年以前 油彩・板
聖なる物語の背景の登場する風景も、次第に主題と結びついて展開される。
風景を主役とした、個性あふれるユニークな作品にも注目だ。
ヒエロニムス・ボスの模倣者 《楽園図》 1540-50 年頃 油彩・板
月暦画にも注目
また、会場の中央には月暦画の世界を堪能できる、カレンダー・ペインティングの間が登場。
一年12ヵ月の月暦図の中に年中行事とともに人々の様子など風景とともに観ることができる。
作品の上部、雲の中には天空の時間の流れを示すために、黄道十二宮の星座のシンボルが見られる。
レアンドロ・バッサーノ (通称) 《5月》 1580-85 年頃 油彩・キャンヴァス
風景そのものの美しさを楽しむ
17世紀になると、風景は独立した主題として広がり、さらにオランダの画家たちは身近な風景をそれぞれの感性によって描いた。
カナレット (通称) 《ヴェネツィアのスキアヴォーニ河岸》 1730 年頃 油彩・キャンヴァス
風景画の誕生と展開のドラマを、風景を旅するように巡りながら時の流れを楽しんでみてはいかがだろうか。