英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17『眠れる森の美女』~世界の王子ワディム・ムンタギロフを見逃すな

レポート
2017.5.12
英国ロイヤルバレエ団『眠れる森の美女』 ⒸROH

英国ロイヤルバレエ団『眠れる森の美女』 ⒸROH


5月12日(金)から上演が始まる英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17『眠れる森の美女』。注目はなんといってもマリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフの主演ペアだ。

■いま注目の2人のダンサー

ワディム・ムンタギロフはいま世界最高のダンス・ノーブルの一人と賞される男性ダンサー。2006年にローザンヌ国際バレエコンクールで入賞し、英国ロイヤル・バレエ学校へ。2009年にイングリッシュ・ナショナル・バレエに入団後は2010年にファースト・ソリスト、2011年にプリンシパル、12年にはリード・プリンシパルへと着々と昇進する。そして2014年、英国ロイヤル・バレエ団(ROH)にプリンシパルとして移籍し、古典作品からネオクラシック・バレエ、コンテンポラリー作品など、様々作品を踊り、着実にステップアップを重ねている。海外のバレエ団にも招聘され、つい先日の5月にも日本の新国立劇場バレエ団にもゲスト出演したばかりだ。とにかく立ち居振る舞いはもとより、一歩動くだけで王子に見える、いや王子そのものというダンサーはそうお目にはかかれない。ムンタギロフはまさしくそんな「王子」なのだ。

英国ロイヤルバレエ団『眠れる森の美女』 マリアネラ・ヌニェス © ROH/Johan Persson

英国ロイヤルバレエ団『眠れる森の美女』 マリアネラ・ヌニェス © ROH/Johan Persson

マリアネラ・ヌニェスはアルゼンチン生まれ。英国ロイヤル・バレエ学校を経て1998年にROH入団。2001年にファースト・ソリスト、2002年に20歳でプリンシパルに昇格し、これまでROHで上演される作品のほとんどに主演している。彼女もまたアメリカン・バレエ・シアターやウィーン国立バレエ団、オーストラリア・バレエ団など様々なカンパニーに客演している。

この舞台を見て驚くのはヌニェスのその踊りの柔らかさ。『眠れる森の美女』は古典作品の中でも非常に難しく、「ごまかしが効かない」と言われる作品だ。とくに1幕でオーロラ姫が踊る「ローズ・アダージョ」はこれだけで一演目を踊るほどに大変なヴァリエーションだが、彼女はそれをこともなげに踊る。とてつもなく大変なことをしているには違いないのだが、特に柔らかな足さばきは自然で力みが全く感じられない。そして彼女ならではの明るい華やかな、まわりを幸せにするようなオーラを放つのだ。

観客をうっとりとさせる男性ダンサーと幸せな気分にする女性ダンサー。この2人が踊る『眠れる森の美女』は、まさに至福のおとぎ話、夢の世界なのである。

英国ロイヤルバレエ団『眠れる森の美女』 マリアネラ・ヌニェス © ROH/Johan Persson

英国ロイヤルバレエ団『眠れる森の美女』 マリアネラ・ヌニェス © ROH/Johan Persson

■70年目を迎えるROHの伝統作品

今回上映されるROH『眠れる森の美女』は、初演から70周年の記念上演となる。第二次世界大戦終了後の1946年、ロイヤル・オペラ・ハウス再開の演目で、100年の眠りから覚めるオーロラ姫は、バレエ再開の象徴であったのだ。再開時のオーロラ姫はマーゴ・フォンティーン。王子役のロバート・ヘルプマンがカラボスをも演じたという。

今作のカラボスはクリステン・マクナリー。女性のカラボスだ。リラの精のクレア・カルヴァートと共々、女同士が演じる善悪の対決は見どころの一つだろう。カラボスのお供がネズミたちというのもユニークだ。

英国ロイヤルバレエ団『眠れる森の美女』 © ROH/Johan Persson

英国ロイヤルバレエ団『眠れる森の美女』 © ROH/Johan Persson

そしてこの舞台ではROHの伝統ともいえる演劇性も堪能できる。見事な踊りはもとより、舞台上に無駄なもの、無駄な人は誰一人としていない、というほどにすべてのダンサーがつくりあげる物語世界は、見るものをぐいぐいと舞台に引き付ける。

またプロローグの妖精たちに崔由姫と高田茜が登場し、さらに高田は3幕ではアレクサンダー・キャンベルとともに青い鳥のヴァリエーションを踊る。これは日本のファンには嬉しいところだ。1幕では4人の求婚者にギャリー・エイヴィスの姿も見える。スクリーンを通してお馴染のダンサー達に会えるのはなんと幸せなことか。

世界が注目のプリンシパルの踊りとROHならではの「伝統」が薫る舞台、3時間半はあっという間だ。

公演情報
英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17『眠れる森の美女』
 
【振付】マリウス・プティパ
【音楽】ピョートル・チャイコフスキー
【指揮】クン・ケセルス
【出演】マリアネラ・ヌニェス(オーロラ姫)、ワディム・ムンタギロフ(王子)、クレア・カルヴァート(リラの精)、クリステン・マクナリー(カラボス) ほか
【上演時間】3時間25分

 
【上演劇場】
北海道    札幌シネマフロンティア    2017/5/13(土) ~2017/5/19(金)
宮城    MOVIX仙台    2017/5/13(土) ~2017/5/19(金)
東京    TOHOシネマズ日本橋    2017/5/12(金) ~2017/5/18(木)
東京    TOHOシネマズ六本木ヒルズ    2017/5/12(金) ~2017/5/18(木)
千葉    TOHOシネマズ流山おおたかの森    2017/5/12(金) ~2017/5/18(木)
神奈川    TOHOシネマズららぽーと横浜    2017/5/12(金) ~2017/5/18(木)
愛知    TOHOシネマズ名古屋ベイシティ    2017/5/12(金) ~2017/5/18(木)
大阪    大阪ステーションシティシネマ    2017/5/12(金) ~2017/5/18(木)
神戸    TOHOシネマズ西宮OS    2017/5/12(金) ~2017/5/18(木)
福岡    中洲大洋映画劇場    2017/5/13(土) ~2017/5/19(金)

 
公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/
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