安田顕史上屈指のハマり役が堂々復活! 舞台『スマートモテリーマン講座』2017
安田顕インタビュー 舞台『スマートモテリーマン講座』2017 撮影=中田智章
あの男がついに帰ってくる……!
毎回全公演完売、爆笑と絶賛の嵐を巻き起こした舞台『スマートモテリーマン講座』が満を持してカムバックを果たす。自称モテるサラリーマンこと"モテリーマン"を演じるのは、もちろん安田顕! 脚本・演出は、ヒットメーカー・福田雄一が務める。モテるサラリーマンになるための超バカバカしいレクチャーを、4度目となる本作は同シリーズ史上最大規模となる日本全国11会場で開講。安田顕にとっても屈指のハマり役となった本作の復活について、その胸の内を聞いた。
安田顕 撮影=中田智章
紫のスーツは、いい感じに胡散臭さが出てるなと思いました(笑)。
――まずは、久々にモテリーマンスーツに袖を通してみた感想からお聞かせいただけますか?
ついに紫か、と(笑)。このスーツは、毎回「テーラーキタムラ」の北村さんに仕立てていただいておりまして。今までは、赤、緑だったんですね。そして今回はいよいよ紫ということで……。先ほどこの恰好で薔薇を持ってチラシ撮影をさせていただいたんですけど、いい感じに胡散臭さが出てるなと思いました(笑)。
――今回は約5年ぶりの復活です。
きっとこの5年、彼はこの恰好で地方を回っていたんだろうなと思いますよ。いろんな男の子や女の子を騙して連れてきては、全然人も入っていないのに講座を開いていたんだろうなあ、と。たぶんギャラは取っ払いなんだろうなとか、やれ「セグウェイに乗りたい」だの「ラートに乗りたい」だの言ってたんだろうなあと想像すると面白いですね。
――この5年は待ち遠しかったですか?
個人的には、こんなにかかるとは思っていなかったんですね。前回終わったときには当然のように「次はいつかな?」と考えていて。でも逆に今は「もう次はあるのかな?」という気持ちです。やっぱりこういった続編というものは、演出家さんだったり、製作スタッフのみなさんのモチベーションの中でやっているものですから。僕自身も、年齢が年齢になってきましたしね。身体を使う舞台ですし、いつまで続けられるかはわからない。そういう意味でも、今回こうしてまた続編をやらせていただけるのはありがたいことですし、ぜひみなさんにも見逃さずに劇場に来ていただきたいなという想いは強いです。
――先ほど安田さんのお言葉にもありましたが、これまでセグウェイやラートに乗って登場したり、いろんなネタが満載でした。中でも印象的だったものはありますか?
今、パッと頭に浮かんだのは、第1作の登場シーンですね。薔薇のついたママチャリに乗って現れるんですけど、そこから一言目を発するまで、たぶん5分以上かかったんじゃないかな。その間、前衛演劇みたいに、カツーンカツーンと靴音を鳴らして無言で舞台上を歩いていました(笑)。何でだったでしょうね……。ちゃんと決められた通りに立ち位置に向かっただけなんですけど。たぶん気持ちがノッたんじゃないでしょうか。おかげで客席もザワついていましたね(笑)。
あとは第2作目のとき、今度は乗り物がセグウェイに代わりまして。大阪公演の初日だったと思うんですけど、セグウェイに乗って舞台に登場するなり、割れんばかりの歓声が聞こえて。「何だこれは……!」とこちらが驚いたのを覚えています(笑)。
安田顕 撮影=中田智章
福田作品の魅力は、規制ギリギリのところを逆手にとる攻めの姿勢
――安田さん&福田さんのタッグが、このシリーズの魅力のひとつだと思います。安田さんの目から見た福田さんの魅力を教えていただけますか。
やっぱり独特の笑いの世界観を持っていらっしゃるところだと思います。あと、俳優の個性を上手く作品に取り入れられるんですよね。この舞台に関して言えば、個々の俳優が持っているコンプレックスを引き出すのに長けた方だな、と。自分自身のマイナスにとれるようなところを、上手く笑いに変えていくんです。今までたくさん素敵な方にご出演いただきましたけど、みなさんこの舞台を経て、自分の中にあるコメディセンスというものを引き出されて、さらに大きくなっていかれました。
福田さんご本人も第1作目をやった2010年の頃から、どんどんフィールドも広がって、評価も高くなっていらっしゃいますし。そんな中で、こうして今の福田さんとまたこの『スマートモテリーマン講座』ができるというのはありがたいことだなと思います。
――福田さんのオーダーで「マジか」と思った衝撃的なものはありますか?
ありますね。原作の中に「モテるオフィスの椅子の使い方」というのがあって。まあ、滑っていくだけなんですけど(笑)。それが面白くて、僕が袖からシャーッと椅子に乗って舞台に飛び出して、そのままオフィスの机をメチャクチャにするというくだりができたんです。ところが、それを見た福田さんが「スマートボールのピンポンみたいに跳ねてもらえますか」って言い出して。面白いけど、それはできないな、と(笑)。一度だけ、ゲネプロのときに奇跡的にピンポンができたんですけど、それきりでしたね(笑)。そういうお互いの相乗効果が生まれるところも、この作品の楽しみのひとつです。
福田さんは、テレビで言うところのBPO(放送倫理・番組向上機構)にふれるような、規制ギリギリのところを逆手に取って舞台ならではの笑いをつくる。そういう攻めの姿勢はさすがだなと思います。
――復活が決まってから、福田さんとは何か話をされましたか?
次はどんな乗り物にしようかな、という話はしましたね(笑)。これはボツになったのですが、「ヨボヨボのおじいさんにおんぶされて出てくるのはどうか」と福田さんがおっしゃって。ママチャリ、セグウェイ、ラートと来て、まさかの人力に戻るという……。たぶんこの5年の間に2周くらい回ったんでしょうね。残念ながら今回は地方公演が多いので、何があるかわからないということで断念することにしました(笑)。
安田顕 撮影=中田智章
お客さんも、つくり手も“また次”を望むような舞台にしたい。
――モテリーマン役ですが、安田さんご自身にモテたい願望はありますか?
ありますよ。どんな瞬間にモテたいと感じるかと言われたらわからないんですけど、こんな自分は嫌だなと感じる瞬間はあります。
――それはどんなときですか?
何かしらの人助けをしようとしているときに、他者を意識している自分とか嫌ですね。
――電車でお年寄りに席を譲ったときとか?
そう。純粋に“譲りたい=100%”でいいのに、譲った後にちょっと周りを気にしちゃう自分が嫌です(笑)。
安田顕 撮影=中田智章
――モテる男の条件とは?
モテたい努力を継続できることですね。ある方が「自分が着心地のいい服を選んでもしょうがない。相手が触ったときに、触り心地がいい服を選びなさい」とおっしゃっていて。その方はモテていました。私はしないですけど!
――モテる秘訣はありますか?
どうなんでしょう……。この講座をやるたびに、必ず聞かれるんですけど、そこに対してこれだけやっているのにいまだにちゃんとした答えを持って取材を受けていない自分を恥じています。すみません(笑)。
――これだけ続けているのに(笑)。
もしかしたら、本心ではモテたいと思ってないのかもしれませんね。ただはっきりと言えることは、たとえモテたいと思っている方がこれを見ても絶対モテません!
――そもそもモテリーマン自身が本当にモテているのか謎です(笑)。
彼は信じて疑っていないと思いますよ。ただ、一般的にモテてはいないかもしれないですけど、こうやってこの講座を開くにあたって、小道具から大道具をつくってくれる人がいて、一緒にやってくれている若い人もいるわけですから、ある特殊な、ごく一部のマニアックな方にはモテているんじゃないですか(笑)。おそらく東京に出てきたばかりの純朴な男女が、彼を見て「こんなものなんだ、東京って」「こうしたらモテるんだ」って騙されてしまうんでしょうね。で、しばらくしてからやっぱりおかしいって気づく。そういうことを繰り返してきた結果、今回の公演までに5年かかったんじゃないでしょうか(笑)。
安田顕 撮影=中田智章
――今回は年の瀬ですね。クリスマスに向けてモテたい方や、笑い納めをしたい方にはぴったりの舞台です。
ご覧いただければ、間違いなく「あ~、笑った笑った」って言いながら気持ち良く帰っていただける自信だけはあります。お忙しいのは重々承知ですが、重い腰を上げて、12月30日(東京公演楽日)にこの舞台を見る選択をした方はラッキーだと思います。きっと翌日の31日、起きた後、面白い年越しのテンションになっていただけるんじゃないでしょうか。
――では、最後に意気込みをいただけたら。
冒頭の話に戻りますが、この次もあるかは誰にもわからない。だからこそ、自分自身が次もやりたいなと思えること。福田さんやスタッフのみなさんも次もやりたいなと思えること。そして何よりお客さんに次も見たいなと思っていただけること。そこが今回のチャレンジです。みんなの想いが、まだわからない“次”に向かっていけるよう勝負していきたいな、と。劇場でお待ちしておりますので、みなさん、ぜひ思い切り笑いに来てください。
安田顕 撮影=中田智章
インタビュー・文=横川良明 撮影=中田智章
原作:steam、武田篤典、Shu-Thang Grafix
脚本・演出:福田雄一
講師:安田 顕
出演:戸塚純貴、若月佑美(乃木坂46)、水田航生、シソンヌ(長谷川忍・じろう)、ブラボーカンパニー
<プレビュー公演>
日程:2017年11月2日(木)
会場:かめありリリオホール(プレビュー公演)
料金:7,400円(全席指定/税込)
<愛媛公演>
日程:11月4日(土)
会場:西条市総合文化会館 大ホール
料金:7,800円(全席指定/税込)
<広島公演>
日程:11月8日(水)
会場:JMSアステールプラザ 大ホール
料金:7,800円(全席指定/税込)
<盛岡公演>
日程:11月11日(土)
会場:岩手県民会館 大ホール
料金:S席7,500円(税込) A席6,000円(税込) B席3,500円(税込)
<青森公演>
日程:11月15日(水)
弘前市民会館大ホール
料金:7,500円(全席指定/税込)
<札幌公演>
日程:11月18日(土)~11月19日(日)
会場:道新ホール
料金:7,800円(全席指定/税込)
<仙台公演>
日程:11月23日(木/祝)
会場:仙台電力ホール
料金:7,800円(全席指定/税込)
<福岡公演>
日程:11月26日(日)
会場:福岡国際会議場
料金:7,800円(全席指定/税込)
<大阪公演>
日程:11月30日(木)~12月3日(日)
会場:シアター・ドラマシティ
料金:7,800円(全席指定/税込)
<名古屋公演>
日程:12月6日(水)
会場:ウインクあいち
料金:7,800円(全席指定/税込)
<静岡公演>
日程:12月12日(火)
会場:静岡市清水文化会館マリナート
料金:S席7,800円(税込) A席6,000円(税込)
<東京公演>
日程:12月15日(金)~30日(土)
会場:天王洲 銀河劇場
料金:7,800円(全席指定/税込)