【KPOPクリエイター列伝】vol.1  パク・ジニョン~日本で大ブレイクした2PM、まもなく日本デビューのTWICEを育てたリビングレジェンド、JYP

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2017.6.7
JYP/パクジニョン-STILL ALIVE/カセットテープジャケットより

JYP/パクジニョン-STILL ALIVE/カセットテープジャケットより


「なぜ、K-POPは世界に広がっているのか?」。その昔、アジア各地のスタジアムでライブをしていたJ-POP勢は鳴りを潜め、代わってK-POPアーティストたちがアジアを飛び越えて、軽々とワールドツアーをやってのけている。そんなK-POPの魅力を、その音楽を作り出すクリエイターたちにスポットを当てて紹介する連載を開始する。記念すべき第1回目は、SM、YGと並ぶ、韓国3大マネージメントの一角を担う事務所を設立し、東京ドームアーティストとなった2PM、韓国で最もホットなガールズグループとして日本デビューを控えるTWICEを生み出したプロデューサー、JYP氏である(事務所名と区別するために人物のJYPには便宜上“氏”をつける)。

野獣アイドル2PMを生んだプロデューサーは、45歳のリビングレジェンド

日本でも絶大な人気を誇る韓国の6人組ボーイズグループ2PM。メンバー入隊を控えた最後の完全体ライブが6月2日から韓国・ソウルで開催されている(6月11日まで計6回)。本来2月に行われる予定だった本公演だが、初週3日目にメンバーJun. Kの負傷でキャンセルとなったものの再公演だ。

2PM「Without U」(2010年)

この2PMを育てたのがJYP(J.Y.Park)氏こと、パク・ジニョン。彼が手掛けた作品には「JYP」というサウンドロゴが入っているのも特徴だが、彼こそが所属事務所「JYP」の元代表であり、2016年末までに45曲もの楽曲をNo.1にしてきたヒットプロデューサー、J.Y.Park "The Asiansoul"。

近年はプロデューサーとして注目されているが、45歳にして未だ現役バリバリのダンス歌手であり、韓国では誰もが知っているヒットを何曲も飛ばしているリビングレジェンドだ。野性的な風貌であるが、R&Bを基調にした“セクシー”な楽曲とパフォーマンスが彼の持ち味である。

パク・ジニョン「Still Alive」(1996年)

全盛期を知らない韓国の若者にも2PM、GOT7、TWICEなど、自身が育てたアーティストたちと共演する姿や、大手事務所の代表が審査員を務めるオーディション番組『Kポップスター』出演で広く認知されているJYP氏だが、昨年リリースした本作では、自身のキャリアをセルフパロディにしたPVで話題を集めた。楽曲タイトルは英語にすると「Still Alive」だが、韓国語には「イケてるね」という意味もある。GOT7のサイン会で女子高生にイヤな顔をされたり、彼の衣装として有名なビニール製のスケスケのズボンや歴代のビジュアルを再現して笑いを取ったりしているが、「10年で歌手、20年でスター、30年でレジェンドだけど、まだ僕は満足していない」と歌う歌詞こそが、彼の本心だろう。

国民グループ、元祖ワールドスターもJYPメイド

不朽の名曲 2 | god (2015.12.26)出演回

アーティストとして表舞台に立っていたJYP氏だが、1900年代の終わりにはプロデュース業を始め、子どものものであったアイドルに幅広い世代が共感できる楽曲を歌わせ、アルバムを180万枚以上売り上げる“国民グループ”god(ジーオーディ)を生み出した。ちなみに「JYP」というお馴染みのサウンドロゴを使い始めたのは、godから。

2001年にJYPエンターテインメントを設立すると、RAINを見出し、作家、プロデューサーとしても成功を手に入れた。

2015 MAMA Rain at 2013 MAMA

RAINをスターにした「太陽を避ける方法」、「It's Raining」などもJYPメイド。

米国進出! ウィル・スミスに楽曲提供、Wonder Girlsがアジアで50年ぶりにビルボードにチャートイン

Wonder Girls 「NOBODY」(2008年)

RAINをヒットさせたJYP氏はかねてからの夢であったアメリカ進出を企て、LAへ居を移す。2004年にはメイスに「The Love You Need」を、2005年にはウィル・スミスに「I Wish I Made That」を楽曲提供。

韓国内では2007年にガールズグループWonder Girlsをデビューさせると、簡単に真似できる振付が大ウケし、デビュー曲「Tell Me」が“2007年に韓国で最も成功した歌”に選出されるほどの爆発的なヒットを記録。韓国内のヒットに弾みを付け、Wonder Girlsを2009年にアメリカデビューさせると、米国デビュー曲「NOBODY」が韓国初、アジアでは50年ぶりに「ビルボードホット100」で76位にチャートインする快挙を達成した。「Tell Me」ではテレビの中に、「NOBODY」では主役級にJYP氏がMVに登場しているのも注目(※ちなみに、Wonder Girlsは2017年1月26日に解散が発表された)。

K-POPブームの波に乗り2PMが日本で大ブレイク

日本でJYPの名前をとどろかせるようになったのは、2PMの日本デビューが大きなきっかけだろう。K-POPブームの波に乗り“アジアNo.1野獣アイドル”というキャッチフレーズで日本デビューを成功させ、東京ドームでライブができる動員力を持つグループに成長させた。

2PMブレイクに合わせて『JYPNation』という事務所の所属アーティストによる合同ライブも開催するようになり、これまで本国では2010年から4回、日本では2012年から3回開催されている。

また、2PM以来6年ぶりに輩出したボーイズグループGOT7(ガットセブン)も、2014年に日本デビューを果たしている。

大注目のガールズグループTWICEのメンバー選定も

現在は、所属事務所JYPの社長職を辞してはいるが、アーティスト発掘や音楽面で未だ大きな影響力を持っているJYP氏。オーディション番組では所属事務所JYPのプロデューサー代表として審査員を務めることも多い。新人ガールズグループTWICEをデビューさせるためのメンバー選抜サバイバル「SIXTEEN」でも、厳しくも優しい言葉でメンバーたちを励まし、この番組から2017年6月に日本デビューが決まったTWICEが誕生した。

「SIXTEEN]」TWICEのデビューサバイバル番組

TWICEには、日本人メンバーが3名在籍。これまで新人のデビュー曲はJYP氏が手掛けてきたが、TWICEのサウンド・プロデュースは若手のブラックアイドピルスンが担当した。しかし2017年5月に発表された新曲「SIGNAL」ではJYP氏が初めてTWICE活動曲を手掛けることとなった。JYP節炸裂ナンバーである。

TWICE「SIGNAL」(2017年)

I.O.I(アイオーアイ)は、韓国の音楽チャンネルMnetが仕掛けたアイドル・サバイバル・プロジェクト。チャン・グンソクをプロデューサーとし、101人の事務所練習生の中から“国民プロデューサー”という名の視聴者の投票上位者によりガールズグループを結成。TWICEと並ぶ人気を博したが、期間限定活動のため残念ながら現在は解散。「SIXTEEN」で惜しくもTWICE入りの逃したJYP所属のソミが中心メンバーということもあり、彼女たちのラストソングをJYP氏が手掛けた。

I.O.I「Very Very Very」(2016年)

SMAPやAI、日本のアーティストにも楽曲を提供

JYP氏はJ-POPからの影響を公言している。リスペクトするアーティストとして、久保田利伸、桑田佳祐、小室哲哉らを挙げ、昨年NHKホールで開催されたJYP氏初の日本単独ライブ「Naughty Party “STRIP”」では、チェッカーズの「ジュリアに傷心」とKUWATABANDの「スキップ・ビート」を歌った。

また、日本のアーティストにも楽曲を提供。SMAPに「White Message」(2008年)、「Still U」(2008年)、AIに「Too Much feat. Rain」(2006年)を書きおろしている。

22年間で45曲のNo.1ヒットを生み出す

1994年に自身のソロ曲「Please Don't Leave Me」から昨年末までの22年間で、JYP氏の楽曲は、なんと45曲が1位に輝いている。

<No.1ヒットとなったJYP楽曲>
JYP:Please Don't Leave Me(1995)、チョンホンガ(1995)、彼女はきれいだった(1997年)、HONEY(1998)、The House You Live(2007)Who's your mama?(2015)
god:愛してる、そして覚えてる(2000)、哀愁(2000)、Friday night(2000)、嘘(2000)、道(2001)The Place You Belong(2002)、Ordinary Day(2005年)、The Reason Opposites Attract(2005年)、2♡(2005)
RAIN:太陽を避ける方法(2003)、It's Raining(2004)、I Do(2004)
ビョル:12月32日(2002)
パク・チユン:成人式(2000)、DJ(2003)
イ・ギチャン:Love Has Left Again(2001)
Wonder Girls:Tell Me(2007)、So Hot(2008)、Nobody(2008年)、2 Different Tears(2010)、Be My Baby(2011)、Like this(2012)、I FEEL YOU(2015)
2PM:Again&Again(2009)、Heartbeat(2009)、Without U(2010)、I'll be back(2010)、Hands Up(2011)、Comeback When You Hear This Song(2013)
Miss A:Bad Girl Good Girl(2010)、Good bye-baby(2011)、Touch(2012)
IU:Someday(2011)
SE7EN:僕が歌えなくても(2012年)
SMAP:white message(2008)
I.O.I:Very Very Very(2016)

2016年、SBS歌謡大祭典でのTWICE、GOT7らによるJYPダンスステージ

JYPアーティストと接して思うのは、“一生懸命だし、感じがいい”ということ。これは、日本活動を行っている2PMやGOT7の取材をした日本のメディアの人たちの多くが口にする。以前JYP氏に「JYPのアーティストの選考基準は?」と尋ねたことがあるが、彼はその時、「上手い子はたくさんいる。でも、長くアーティストとして活動していくために必要なのは人格と努力だ。僕はそこに重きを置く」と答えてくれた。また、韓国で生放送の大きな音楽番組に出演する直前のJYP氏を舞台袖で見かけたことがあるが、出番の直前までストレッチや振付の確認を真剣に行っていた。JYPアーティストたちは、彼の背中を見て育っているのだな、と感じた。

現役バリバリのJYP氏が生み出すアーティストと楽曲から、2017年も目を離せない。

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