調布国際音楽祭が6月11日より開幕! 鈴木優人エクゼクティブ・プロデューサーに聞く“音楽祭の楽しみ方”

SPICER
鈴木優人 (撮影:早川達也)

鈴木優人 (撮影:早川達也)


新宿から特急電車で約15分。都心へのアクセスが良く、閑静なベットタウンとして知られる調布市。この街の名を聞いて、何を思い浮かべるだろうか。東京スタジアム、都内有数の名刹深大寺、それとも多摩川や神代植物公園の自然だろうか。実は、初夏の調布は、音楽がそこかしこから聴こえてくる「音楽の街」になる。そう、2013年から始まった調布音楽祭である。今年は調布国際音楽祭と名前を改め、今週末6月11日(日)から6月18日(日)まで、8日間に亘って開催される。バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)を始めとした一流音楽家による演奏だけではない。市内各所での無料コンサートや、NHK Eテレでお馴染みのアーティストが多数出演するキッズ・コンサートも楽しみ。まさに、子どもから大人まで楽しめる音楽祭だ。調布出身で、この音楽祭のエクゼクティブ・プロデューサーを務める鈴木 優人(すずき まさと)は「今回も、調布国際音楽祭でしか聴けない質の高いプログラムが揃っています!」と力強く語る。開幕を目前に控えた鈴木に音楽祭の魅力と楽しみ方を聞いた。

鈴木優人 (撮影:早川達也)

鈴木優人 (撮影:早川達也)

バッハ作品からジャズ、現代曲までを網羅した多彩な室内楽プログラム

――5年目という節目ですね。今年は、音楽祭の名称を「調布国際音楽祭」と改められました。これにはどういった意図が込められているのでしょうか。

音楽祭を始めた当初から、調布の街に世界中から人が集まり、同時にこの街から世界に発信していくという、二つのベクトルを意識してきました。この4年間、多くの演奏家を海外から招いてきましたし、深大寺や市民ボランティアをはじめとした街の方々と一緒に作っていくという面においても、成熟してきたと感じています。あえて言えば、今年はこうしたプレ期間を経た節目。そこで、心機一転、もっと調布の街に根差した深みのある音楽祭に育てていきたいと思い、名称を「調布国際音楽祭」へと改めました。エンブレムもデザイナーの平野 敬子さんに新しく作っていただきましたが、中央に配置された円から波が広がっていくイメージを表したものです。文字にも丸く優しい雰囲気が出ており、音楽祭のイメージにぴったりで、とても気に入っています。

――今年も豪華なプログラムが目白押しですが、初日は、どのような幕開けになるのでしょうか。

11日には、オープニングセレモニーと併せて、私と森下 唯さん(ピアノ)によるトークコンサートが開かれます。フェスティバルの雰囲気を初日から存分に楽しんでもらいたいですね。

鈴木優人 森下唯

鈴木優人 森下唯

そして、『チェンバーミュージック・ガラ・コンサート』にも注目です。サントリーホールの室内楽アカデミーと連携して行われるプログラムで、シューマンやブラームスなどの室内楽の名曲から一楽章ずつを取り上げた、謂わば、「いいとこどり」です。後半では、室内楽アカデミーで指導されている原田 幸一郎さん(ヴァイオリン)、磯村 和英さん(ヴィオラ)、毛利 伯郎さん(チェロ)を交えてのブラームス《弦楽六重奏曲第1番》。こちらは全楽章を存分に堪能して頂きます。室内楽に馴染みのない初心者の方から「通」の方にもおススメできるコンサートです。なんと、学生さんであれば、1,500円で聴くことができますよ!

――数多くの室内楽のプログラムが開催されますが、今年のポイントはどこでしょう。

今年の特徴は充実したピアノのプログラム。特に、小菅 優さんと山下 洋輔さんという対照的な二人のピアニストによる演奏は必聴です!

小菅さんは、ベートーヴェンへの取り組みが、国際的にも高く評価されています。『ベートーヴェン詣 2017』(6/16)と題したコンサートで、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団やフライブルク・バロック管弦楽団の首席奏者らと、ベートーヴェンやモーツァルトの五重奏曲を演奏しますが、世界的な演奏者の手による、滅多に聴けない作品のコンサートは本当に貴重。さらに、作曲家・藤倉 大さんの新曲も披露します。この音楽祭で現代曲が演奏されるのは初めてのことですから、新たな1ページが加わると言っても過言ではありません。室内楽の醍醐味を魅せてくれる公演となるでしょう。

一方、山下さんによる『“バッハはジャズだ”Ⅱ』(6/15)は、とにかく、迫力があって格好いい! 垢ぬけたトークも魅力的で、コンサートホールがニューヨークのクラブみたいな別空間になってしまいます。はたけやま 裕さんによるパーカッションとのセッションですが、さて、何が飛び出てくるか!乞うご期待ですね。

――この音楽祭ではバッハは特別な作曲家ですよね。17日(土)の『ツィマーマンのコーヒーハウス』と題したプログラムの中では、愉快で喜劇的な「コーヒーカンタータ」が取り上げられています。是非、楽しみ方を教えてください。

コンセプトは、「バッハの時代の音楽会へタイムスリップ」。スターバックスさんのご厚意で、会場(調布市文化会館たづくり)の1階にある エントランスホールとむらさきホールではコーヒーが試飲できることになっています。演奏は2階のくすのきホールで行いますが、五感で「コーヒーカンタータ」の味わって頂く、またとない機会です。

鈴木優人、大塚直哉、フランチェスコ・コルティ、小林沙羅、櫻田亮、ドミニク・ヴェルナー

鈴木優人、大塚直哉、フランチェスコ・コルティ、小林沙羅、櫻田亮、ドミニク・ヴェルナー

ときに本格的なクラシックを、ときに家族で気軽に
――思い思いのスタイルで楽しめる音楽祭として

――毎年、この音楽祭を楽しみにされている方にとっては、深大寺でのコンサートや、フェスティバル・オーケストラによる演奏も待ち遠しいですね。聴きどころは?

今年は、いまや古楽鍵盤界のスターとなったフランチェスコ・コルティさん(チェンバロ)が、深大寺の本堂でイタリア・バロックの作曲家フレスコバルディの作品を演奏します(6/14)。本堂は普段、開放されていませんし、コンサートの前には天台聲明の詠唱もあります。毎年、すぐにチケットが売り切れてしまう人気の公演です。

フランチェスコ・コルティ

フランチェスコ・コルティ

フェスティバル・オーケストラは、去年、結成された若手演奏家中心のオーケストラ。今年は、管楽器の奏者も加わり、本格的な始動の年になります。とにかく彼らのサウンドは熱い!若き俊英たちによる活き活きとしたメンデルスゾーン《イタリア》を、楽しみにしていてください(6/17)。ちなみに、彼らの昨年の演奏は、音楽祭の公式Facebookで配信しています。併せて、Twitterもフォローして頂けると嬉しいですね(笑)。

――子ども向けの公演や無料で楽しめる公演も数多くあり、家族連れで訪れる方も多いですね。

毎年、多くのご家族に楽しんで頂いており、今年のキッズ公演も充実しています(6/17, 18)。幼い頃に聴いた記憶は鮮明に残るんじゃないでしょうか。また、小さなお子さんのいる方にも音楽祭を楽しんで頂こうと思って、全ての公演には有料(1,000円)ですが保育サービスが申し込めるようにしました。子育て中のパパ、ママにも楽しんで欲しいですね。

桐朋学園大学の学生さんによるミュージックカフェや、カフェなどでのサテライトコンサートも音楽を幅広い方に楽しんで欲しいとの想いからです。飲食OKですから、気楽に足を運んで下さい。演奏が始まると皆さん惹き込まれて、自然と聴き入ってしまうようです。それがなんともナチュラルで、とてもよい時間になっています。本当は、もっとコンサートホールから飛び出していきたい。実は昨年も、多摩川に船を浮かべてヘンデル《水上の音楽》をやるというのを検討したんですが……よく考えたら、大勢の演奏家を船に乗せるとお客さんのためのスペースがないことに気づきました(笑)。

鈴木優人 (撮影:早川達也)

鈴木優人 (撮影:早川達也)

――そして、最終日の18日(日)を飾るのは、『フェスタ! 動物の謝肉祭』とBCJによる『オール・モーツァルト・プログラム』。

ええ。今年は『フェスタ! 動物の謝肉祭』というガラ・コンサートを豪華な顔ぶれでお届けします。前半では、ドビュッシーやラヴェルといった小品を散りばめ、後半では、ソプラノ小林 沙羅さんによる詩の朗読にのせて、サン=サーンスの《動物の謝肉祭》を演奏します。日曜午後のひとときを、フランスの調べに耳を澄ませていただけたらと思っています。

小林沙羅(ソプラノ、語り)

小林沙羅(ソプラノ、語り)

音楽祭のフィナーレでは、BCJがモーツァルトの交響曲を披露します。驚きでしょ(笑)。この音楽祭では、普段とは違うBCJが見られるというのが定番になりつつあります。まずは、歌劇《ドン・ジョヴァンニ》の序曲。今は亡き古楽の巨匠アーノンクールが「この曲の最初の和音をモーツアルトと同時代の人が聴いたら、驚いて椅子から落ちる」と語ったくらいにドラマティックな音で始まる曲です。そして、名曲中の名曲といわれる交響曲40番と41番。さらには、普段であれば絶対に聴けない寺神戸 亮さん(ヴァイオリン)によるヴァイオリン協奏曲第3番。いずれも、調布国際音楽祭だからこそのプログラムです!最近、BCJはモーツァルトの《レクイエム》や《ミサ曲 ハ短調》といった宗教曲をリリースしましたが、今回は、なかなかよそでは演奏しない交響曲をお届けし、8日間に亘る祭典のフィナーレを皆さんと共に迎えたいと思っています。

――最後に、調布国際音楽祭を楽しみにしているファンの方々に向けて、一言いただけますか。

楽しみ方に決まりはありませんから、色々なスタイルで音楽祭をエンジョイして欲しいですね。平日の夜には本格的な演奏を楽しむプログラムを、オープニングの11日と最後の17日、18日という週末は、家族連れの方にも楽しんで頂けるような、無料公演やお子さん向けの公演を多数揃えました。「手ぶら」で楽しめるものが沢山あります。新宿から調布までは約15分ですから、是非、気軽に遊びに来てください!

鈴木優人 (撮影:早川達也)

鈴木優人 (撮影:早川達也)

取材・文=大野はな恵

公演情報
調布国際音楽祭 6月11日(日)~18日(日)
 
【メイン公演】
■チェンバーミュージック・ガラ・コンサート
6月11日(日)14:00 調布市文化会館たづくり くすのきホール

 
■フランチェスコ・コルティ チェンバロ・リサイタル
6月14日(水)16:00 調布・深大寺 本堂

 
■山下洋輔ジャズ・ナイト
6月15日(木) 18:30 調布市文化会館たづくり くすのきホール

 
■小菅 優「ベートーヴェン詣」2017
6月16日(金) 19:00 調布市文化会館たづくり くすのきホール

 
■ツィマーマンのコーヒーハウス
6月17日(土)14:00 調布市文化会館たづくり くすのきホール

 
■フェスティバル・オーケストラ
6月17日(土)18:00 調布市グリーンホール 大ホール

 
■フェスタ! 動物の謝肉祭
6月18日(日)14:00 調布市文化会館たづくり くすのきホール

 
■バッハ・コレギウム・ジャパン オール・モーツァルト・プログラム
6月18日(日)17:00 調布市グリーンホール 大ホール

 
【キッズコンサート】
■栗コーダーカルテット with ビューティフルハミングバード
6月17日(土)11:00 調布市グリーンホール 小ホール ※完売

 
■スギテツ 愛と笑いのクラシック 
6月17日(土)18日(日)両日とも13:00 調布市グリーンホール 小ホール

 
■たたいてあそぼう
6月18日(日)11:00 調布市グリーンホール 小ホール

 
【無料コンサート】
■鈴木優人&森下 唯トークコンサート/ 調布国際音楽祭オープニングセレモニー
6月11日(日)12:05 たづくりエントランスホール

 
■市民音楽家によるオープンステージ
6月17日(土)
11:00~17:30 18日(日)11:00~16:30 各25分公演/毎正時開演 たづくりエントランスホール
 
■桐朋学園大学学生・卒業生によるミュージックカフェ
6月17日(土)18日(日)11:00~17:00 各25分公演/毎30分開演 たづくり むらさきホール
※飲食物持込可

 
■ウェルカムコンサート
6月17日(土)18日(日)時間未定 たづくり・グリーンホール付近の屋外(予定)

 
※詳細は公式サイトにて→ http://chofumusicfestival.com
 
シェア / 保存先を選択