未来座「賽SAI」、染五郎「日本舞踊のこれからの可能性にチャレンジしています」

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2017.6.16
第1回 日本舞踊 未来座「賽 SAI」囲み会見より。左から松本錦升(市川染五郎)、中村梅彌。

第1回 日本舞踊 未来座「賽 SAI」囲み会見より。左から松本錦升(市川染五郎)、中村梅彌。

日本舞踊協会の新作公演「賽 SAI」が、本日6月15日に東京・国立劇場 小劇場で開幕。昨日14日には囲み取材と公開舞台稽古が行われた。

同協会が新たに展開するシリーズ「未来座」の第1作にあたる本公演。古典楽器による音楽に、現代語の唄で踊る「水ものがたり」、古典を新演出で上演する「女人角田(にょにんすみだ)~たゆたふ~」、踊り手たちが猫に扮し、津軽三味線・上妻宏光の音楽で踊る「当世うき夜猫」、松本錦升(市川染五郎)が演出・振付・出演という一人三役を担い、“はにわオールスターズ”の仙波清彦による音楽で激しく踊る「擽-くすぐり-」という水にまつわる4演目が上演される。

囲み取材には錦升と、「水ものがたり」の演出を担当した中村流八代目家元・中村梅彌が登壇。錦升は初日を迎えるにあたり「とにかく日本舞踊界にとって、大事な新作公演であり、緊張と、やるしかないという思いです」と心境を吐露する。日本舞踊協会については、「古典を継承していく柱と、一方で新しい可能性をさぐっていくという両輪で成り立っており、未来座では日本舞踊のこれからの可能性にチャレンジしています」と語った。そして「水ものがたり」について、「ファンタジーなので、いい男になりきりたいです。舞踊劇の武器は踊りですべてが進められたり、1つの感情をふくらますことができるところが特徴で、たとえば、うれしいという感情で5~10分踊れます。今回あらためて、舞踊というものが言葉を越えていろいろな方に楽しんでいただける可能性があることを感じました」とコメント。最後に「未来座の次につながるように、この公演で結果を出したいと思っています。どの作品も新しい日本舞踊が完成したと思っています。日本舞踊をご存知の方にはこれからの日本舞踊の可能性を感じていただき、まだ見たことのない人や踊りにご縁がない方でも感覚的に楽しんでいただけると思いますので、ぜひとも劇場に足を運んでいただきたいと思います」と観客に呼びかけた。

梅彌は「3年ぶりの新作公演でみんなで満を持してお稽古をしていて、いろんな色合いのものが作品になっています。『水ものがたり』は絵本を見るような作品にしたいと思っています。4種類違った作品になっているので、日本舞踊を観たことのある人は、私はここが好き!というようにお好きなシーンを探しながら観ていただき、まだ日本舞踊に触れたことのない人は、こんなにバリエーションのある日本舞踊は今までになく、観ないと損をすると思うのでぜひとも観に来てほしいと思います」と自信をのぞかせた。

2015年に亡くなった坂東三津五郎の遺志を継ぐ日本舞踊家たちが、日本舞踊への固定概念を打破すべく挑んだ本作。公演は6月18日まで。

第1回 日本舞踊 未来座「賽 SAI」

2017年6月15日(木)~18日(日)
東京都 国立劇場 小劇場

「水ものがたり」

演出・振付:中村梅彌
振付:藤間直三
脚本:矢代朝子
出演:松本錦升(市川染五郎)、尾上京、花柳ツル、坂東幸奈、中村梅、若柳佑輝子、坂東里子、水木扇升、五條詠絹、花柳大日翠、花柳寿々彦、花柳基はるな

「女人角田(にょにんすみだ)~たゆたふ~」

振付:橘芳慧
出演:尾上紫、花柳貴代人、藤蔭静枝、藤間恵都子、水木佑歌

「当世うき夜猫」

演出:花柳輔太朗
振付:若柳吉優、花柳輔瑞佳
出演:藤間爽子、猿若清三郎、花ノ本海、花柳鈿祥、花柳克昂、花柳吉史加、花柳寿紗保美、花柳瑞優萌、花柳摂月華、花柳登貴太朗、花柳楽人、坂東はつ花、藤蔭静千華、藤蔭静寿、藤蔭里燕、藤間京之助、藤間蘭駒、水木優翠、若見匠祐助、若柳絵莉香、若柳薫子、若柳杏子、若柳美香康

「擽-くすぐり-」

演出:市川染五郎
振付:松本錦升
出演:尾上紫、西川扇左衛門、花柳幸舞音、花柳輔蔵、花柳楽人、松本錦紫、松本錦升(市川染五郎)、若柳延祐、若柳竜公

ステージナタリー
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