yonige メジャーデビューを控えた彼女たちの現在地、2017年6月19日渋谷CLUB QUATTROレポート
yonige 2017.6.19 渋谷CLUB QUATTRO 撮影=Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
yonige presents 「Neyagawa City Pop Tour」
2017.6.19 渋谷CLUB QUATTRO
今年4月にリリースしたミニアルバム『Neyagawa City Pop』を携えたyonigeの全国ツアー。牛丸ありさ(Vo/G)とごっきん(B/Cho)のホームである寝屋川VINTAGEから始まった同ツアーは、“ワンマン5公演+スリーマン3公演(東名阪CLUB QUATTRO)”という形式で開催され、6月22日・梅田CLUB QUATTRO公演にてファイナルを迎えた。以下のテキストでは、早い段階からソールドアウトとなった東名阪クアトロシリーズの中から、Age Factory、PELICAN FANCLUBをゲストに迎えた渋谷CLUB QUATTRO公演の模様をレポート。今後の飛躍が期待される彼女たちの現在地を伝えていきたい。
yonige 2017.6.19 渋谷CLUB QUATTRO 撮影=Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
超満員のフロアに向けて「大阪・寝屋川、yonigeです。よろしく!」と牛丸がいつも通り投げかけてライブはスタート。この日最初に演奏されたのは『Neyagawa City Pop』の1曲目でもある「our time city」だった。早歩きするのと同じぐらいのテンポのビートに乗っかって、最初はシンプルだった各楽器のフレージングにだんだん動きが見え始めるが、その様子はさながら雑踏の中を早歩きする曲中の主人公のよう。yonigeといえば、一つひとつの情景を具体的にイメージさせてくれるような牛丸のソングライティングが武器のひとつだが、バンドサウンドも歌詞の内容に寄り添うような造りになっているため、聴いていて飽きることがない。拍頭にアクセントを置く牛丸の歌い方が耳に残る「あのこのゆくえ」、このバンドの存在が多くの人に知られるきっかけの一つになった曲「アボカド 」を立て続けに演奏し、場内を温めたあとは「最近のこと」で一旦クールダウン。昨年10月のツアー時(http://spice.eplus.jp/articles/83080)には「自分が主人公のライブには慣れていない」と話していた牛丸だが、この日はフロアの奥の方までしっかりと見渡しながら唄っていた印象。当時と今とでは、彼女の心境にも変化が生まれたのだろうか――と思っていたところで、最初のMCへ。渋谷のクアトロに来るのは今回が2回目であり、初回の時はまだ結成2年目ぐらいだったこと、その当時はyonigeを知っている人が数えるほどしかいなくて怖かったことなどを話したあと、「今日、こういうことになって本当に嬉しいです」と牛丸は率直な感想を伝えていく。そのままサラッとタイトルコールし、「センチメンタルシスター」へと繋げたのだった。
yonige 2017.6.19 渋谷CLUB QUATTRO 撮影=Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
あえて平坦にしたボーカルのメロディラインと唄いまくるベースラインとの対比が楽しい「バイマイサイ」はリズムのループがオーディエンスの昂揚感をなぞり、牛丸の弾き語りから始まる「サイケデリックイエスタデイ」は和情緒のある旋律が聴き手の胸をキュッと締め付ける。「しがないふたり」ではくるくると変わっていくドラムのビートに合わせ、全体的なサウンドも場面ごとに変化していく構成になっていて、一瞬たりとも聞き逃すことのできない一曲だ。このように聴き手の惹きつけ方ひとつをとっても、その方法論が多彩で引き出しが多いという点もこのバンドの強みのひとつ。元々高頻度でライブをやり続けているバンドではあるが、ただ闇雲に本数を重ねているわけではないのだということが、こういうアレンジ面での工夫として確かに表れているのだ。
yonige 2017.6.19 渋谷CLUB QUATTRO 撮影=Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
終盤には「このツアーの中で一番盛り上がってるのはこの曲です」(ごっきん)と自虐的に曲紹介しながら、『AKG TRIBUTE』でカバーした「ソラニン」(ASIAN KUNG-FU GENERATION)を披露する場面も。牛丸が気合い十分に持参した“ソラニン専用ギター”を弾き倒せばフロアのあちこちから力強く拳が上がっていき、結果、やはり2人から「やっぱり盛り上がってますね」(牛丸)、「盛り上がってたヤツ、覚えてるからな!」(ごっきん)という言葉が飛び出すほどの光景が生まれることとなる。「最愛の恋人たち」を挟み、「ワンマンだとyonigeとyonigeのお客さんしかいないから調子乗ってたけど、何か、シャキッとしました」とありのままの言葉で牛丸がゲスト2組への感謝を述べたあと、早くも本編ラストの「さよならプリズナー」へ。メジャーコードの明るい響きはどこまでも清々しく、ラストナンバーというよりも、まるでオープニングテーマのような温度感で届けられたのだった。
yonige 2017.6.19 渋谷CLUB QUATTRO 撮影=Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
そして、アンコールを求めるオーディエンスの声に応えて何も言わずに鳴らし始めたのが<生理2日目 ケツまで血まみれ>の一節で始まる「女の子の日」である辺りも、最高にクールである。ラストの「恋と退屈」まで、いつも通り、媚びない・飾らない・煽らないスタイルで自分たちの音楽を鳴らしきったyonige。バンド史上最大規模の会場でのライブだとしても、自分たちのやり方を貫いたまま、バンドを更新させることに成功している彼女たちの姿がとても頼もしく見えたのだった。先日発表されたように、彼女たちはワーナーミュージックよりメジャーデビューすることが決定しているが、この2人ならきっと何も心配することはないだろう。ひとまず今は、9月20日にunBORDEからメジャーリリースする、バンド初の1stフルアルバムの到着を楽しみに待っていたい。
取材・文=蜂須賀ちなみ 写真=Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
yonige 2017.6.19 渋谷CLUB QUATTRO 撮影=Viola Kam [V’z Twinkle Photography]
2017.6.19 渋谷CLUB QUATTRO
1.our time city
2.あのこのゆくえ
3.アボカド
4.最近のこと
5.センチメンタルシスター
6.バイマイサイ
7.サイケデリックイエスタデイ
8.しがないふたり
9.さよならアイデンティティー
10.悲しみはいつもの中
11.ソラニン
12.最愛の恋人たち
13.さよならプリズナー
[ENCORE]
14.女の子の日
15.恋と退屈
2017年9月20日発売
unBORDE/WARNER MUSIC JAPAN
□アルバム早期予約特典:牛丸(Vo/G)オリジナルデザインによるBIGラバーキーホルダー
(対象予約期間:本日6/22〜8/31まで)
9/6(水)渋谷O-WEST 18:30 open / 19:00 start
TICKET ¥2,500
yonige 売上総取 vol.4
9/8(金)大阪MUSE 18:30 open / 19:00 start
TICKET ¥2,500