Jのロックはこれからも新しい道を切り開く、ソロ20周年ツアー最終日に見た熱狂とその先の未来
-
ポスト -
シェア - 送る
J 2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI 撮影=浜野カズシ
J 20th Anniversary Live Tour 2017 W.U.M.F. TOUR FINAL
2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI
「ここから先は未開の地。30周年とか50周年とか、100周年とか?(笑) 冗談はさておいて、音楽っていうものはそれぐらい遠くまで届いていくエネルギーを持ってます。これからもみんなに届く曲、もっともっと先の未来まで届く曲を届けたいと思ってます。これからもロックな人生、一緒に歩んでいこうぜ!」
ロックに出会って、この先もずーっとずっと歳をとっても、それでも胸を張ってJとロックしていたいと心から思えた。
ソロデビュー20周年を迎えたミュージシャンが、どうすればこれほど男らしく、ロマンチストなロッカーでいつづけることができるのだろうか。Jがソロ20周年を記念したオールタイムベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM<1997-2017>W.U.M.F.』を掲げ、5月から行なっていた全国ツアー『J 20th Anniversary Live Tour 2017 W.U.M.F. 』のファイナル公演を6月25日、東京・EX THEATER ROPPONGIにて打ち上げた。
J 2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI 撮影=浜野カズシ
「飛ばしていくぜー!」
Jが叫び、“鮮やかな世界を見たい”とフロアを高揚させていく「break」でライブはスタート。今回のツアーはまさに20年間のBest of Jの選曲。演奏された曲は、どれもJの鉄壁のライブアンセムばかり。オープニングの「break」なんかは、実は2番はAメロを吹っ飛ばすという特殊な曲構成で、J特有のテンションをどこまでも開放していくキャッチーなサビを徹底的に生かし、フロアの体温を上げていくナンバー。ライティングもギラつく太陽となってフロアの温度を上げて、力強いビートを叩く有松“MASUO”益男(Dr/BACK DROP BOMB)とJが向き合ってジャジャーンと曲を終わらせたと思ったら、即「BURN OUT」へ。ちょうど20年前のこの日、Jがソロデビューシングルとして発売したこの曲は、たっぷりと時間をかけ次々に展開していく前奏で溝口和紀(G/ex.ヌンチャク)とmasasucks(G/the HIATUS、FULLSCRATCH、RADIOTS)が軽快なギターリフを鳴らし、観客を高揚感へと導いていく曲だ。
masasucks 2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI 撮影=浜野カズシ
溝口和紀 2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI 撮影=浜野カズシ
有松“MASUO”益男 2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI 撮影=浜野カズシ
「やれんのか?」、「GO!」、「聞こえないぜ!」、「もっとー!」。Jは歌の合間にベースを弾きながらこのような言葉を叫んで、オーディエンスを次々とテンポよく煽っていくのだが、この言葉というのが、Jが叫ぶと本当に絶妙な間合いで力強い説得力を持って届いてくるので、見ている側は否が応でもこれで火がつき、フロアはたちまちJを中心に熱い塊となって燃え上がっていくのだ。個人的には、Jは煽りの天才でもあると思っている。
「5月から始まったツアー、全国どこもかなりヤバくて、かなりおかしくて、かなり熱いライブで。そのファイナル。東京! お前ら分かってんだろうな? 俺がいいっていうまで叫べ!」といわれて「J!」と叫ぶ観客たち。しかし、それを「まったく分かってねぇな」と一撃。「俺がいいっていうまでブレスもすんな!」ととんでもないことをいってさらに煽り立てたところなんかは本当に見事だった。
ベスト盤に収録した新曲「one reason」は強靭なのに見とれるほど隙のない整合感たっぷりのバンドアンサンブル、オーディエンス一丸となって放つシンガロング、Jが“青く~”と歌うと同時にステージをブルーに染めたライト。そのどれもがめちゃくちゃ美しかった。そこからフレッシュに弾ける音で「RECKLESS」へとつなぐと、場内には爽快感があ鮮やかに広がっていった。
J 2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI 撮影=浜野カズシ
「20周年って、もっと落ち着いてねぇ? 反比例しよう(笑)。“落ち着いてねぇ?”っていいながらそんなことまったく思ってない俺がいるんで」といってフロアを笑わせた後は「GO with the Devil」でバンドサウンドをドライブさせていく。Jがパーンとお立ち台に飛び乗ったかと思ったら「Die for you」が放たれ、フロアからは一体感あるoiコールが起き、サークルモッシュとクラウドサーフが始まった。ソロをやりだした当初から、LUNA SEA本体とはまったく異なったこのようなアクティブなノリを作り出し、それと同時に様々なロックバンドと対バンを重ねていって、ソロではヴィジュアルシーンから飛び出し、前例のない活動スタイルを重ねて手探りで新しい道ばかりを切り開いて進んでいったJ。そんな姿が“歩き続けてる”と歌うミッドチューン「I know」に重なった。そして、プレイヤーとしてこの20年間、見違えるほど成長したのがボーカリストとしてのJの歌だ。「この曲は俺も大好きな曲。よかったら聴いて下さい」と披露した3連のスローナンバー「When You Sleep」は、ツアーでもあまり演奏されることがなかった曲。masasucksが単音フレーズで薄暗い夜を描いていくなか、Jは力みのない声で切々と<覚めない夢の 続きを見よう 終わる事なく>と歌い上げて見せた。そこから光を求めていく「ACROSS THE NIGHT」へ。MASUOがクレッシェンドでドラマチックにアクセントを入れ、この先にある光を何度も予感させた後にやってきたのは、メロディーが開けたサビ。そのグラデーションがあまりにも美しすぎて、Jの歌声と演奏に吸い込まれるように聴き入ってしまった。
J 2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI 撮影=浜野カズシ
「野郎はいるか? か弱い女の子を助けてくれよ! 野郎みたいな女の子はいるか? か弱い男の子を助けてくれ! いけるか?」とJが叫び「Go Charge」が始まると、オーディエンスが前方めがけてなだれ込み、フロアにサークルモッシュが起こる。そのサークル目がけてJが水の入ったペットボトルを投げ入れた後「東京、全部燃やせ!」と絶叫、「PYROMANIA」が始まるとステージは照明で真っ赤になり、フロア一面はオーディエンスが灯すライターの炎に染まる。この曲をやりだした当初からファンが作り出したこの演出。それを見渡しながら、Jが「ハハッ」と高笑い(←しかも、これがJに似合ってて本当にカッコいい!)。さらに「東京、やっちまえー!」と煽るとフロアはどこまでも熱狂。そうして「どこまでも行こうぜ! おかしくなっちまおうぜ」、「この会場で一番イカれた奴は誰だ?」、「この会場で一番イカした奴は誰だ?」と「LIE-LIE-LIE」の前奏を何度も繰り返した後「もっとおかしくなっちまおうぜ! やれるか? 信じていいか?」といった次の瞬間。ベースを置いてJがフロアにダイブ!! ここ数年は飛んだりすることもなかったJのダイブに、ファンは狂乱。20周年、まだまだ俺が落ち着く訳ないだろうというのをこんなパフォーマンスで体現するあたりも、なんともJらしい。そうして本編ラストは壮大なナンバー「Evoke the world」で世界を切り開き、残った全エネルギーをオーディエンスに注ぎ込んで、ポジティブな光に包まれた未来を描いて見せた。
アンコールを待つ間、セキュリティーが蓋を開けて配るペットボトルの水がフロア前方から後方へと回ってきて、ファンは給水。空になったペットボトルをまた前方へと戻し、回収していくのもJがこの20年間に築き上げてきたライブのやり方だ。そうして、再び元気を取り戻したファンの「J」コールに応え、ステージに姿を表したJ。
「97年、いちベーシストがソロ? 大丈夫か? って。そんなところから始まったソロだけど。自分の信じた思い、情熱、俺が楽器を持つ前に触れたロックに対する気持ち。それに忠実にソロを始めて。いろんなシーンでいろんなものに噛み付いて。最近は噛むのはやめたけど(笑)。いろんなものとぶつかってきて。俺なりに20年間、自分の信じた道を突っ走ってこれた。それは、俺にとって熱い仲間たちがいてくれたからだと思います。言葉にすると安っぽくなっちゃうんだけど、感謝の気持ちしかありません。どうもありがとう」。
J 2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI 撮影=浜野カズシ
そういって、ここに来られなかった全国のファンにもこの言葉を伝え欲しいと語ったJ。こうしてみんなと歩んできたJの20年。「俺たち、証明できたよ。“やりゃあできる”。不可能なんかないよ、俺たち。だから、みんなも自分自身に拍手!」といってファンを讃えた。そうして「Verity」で幕を開けたアンコール、「Feel Your Blaze」が流れ出すとあちこちにタワーまで出現。この日最大のダイブとクラウドサーフが起こり、フロアは熱狂の渦に包まれる。「この曲でみんなで高みにのぼっていきたいと思います」とJが告げ、最後は「Endless sky」でみんなを引き連れ、終わらない世界へ向かってライブは終了した。「次のライブは8月。次はとんでもない景色を見せたいと思います。次会うまで、1つ約束をしよう」と語りかけ、「次会うまで、なにがあっても、くたばんなー!!」と、いつもの胸をぎゅっと締めつける熱い挨拶でライブを締めくくった。その後、終演を告げるアナウンスがあってもアンコールの「J」コールが鳴り止まず、Jは再度ステージへ。最後の最後に「NEVER END」でまだ終わらないことを歌を通してファンと誓い合い、舞台から姿を消した。Jのロックはこれからも新しい道を切り開いて、いつまでも終わらない――。
取材・文=東條祥恵 撮影=浜野カズシ
J 2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI 撮影=浜野カズシ
2017.6.25(SUN)EX THEATER ROPPONGI
02. BURN OUT
03. one reason
04. RECKLESS
05. GO with the Devil
06. Die for you
07. I know
08. When You Sleep
09. ACROSS THE NIGHT
10. Go Charge
11. PYROMANIA
12. LIE-LIE-LIE
13. Evoke the world
<ENCORE>
14. Verity
15. Feel Your Blaze
16. Endless sky
<ENCORE 2>
17. NEVER END
2017年8月11日(金・祝) 赤坂BLITZ
"Band of Bonds"
Special Guest: Aggressive Dogs a.k.a UZI-ONE
OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:SOGO TOKYO 03-3405-9999
Day.2 -Focus on F.C.Pyro. 15th anniv.-
2017年8月12日(土) 赤坂BLITZ [FC限定公演]
OPEN 17:00 / START 18:00
Day.3 -Focus on DISC.2-
2017年8月13日(日) 赤坂BLITZ
OPEN 17:00 / START 18:00
INFO:SOGO TOKYO 03-3405-9999