今年がラストイヤー!? 愛はズボーン×プププランド×THE BOSSS主催『SUMMERズボップくん2017』

インタビュー
音楽
2017.7.4
『SUMMERズボップくん2017』

『SUMMERズボップくん2017』

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関西の3バンド、愛はズボーン、プププランド、THE BOSSSが主宰する夏のイベント『SUMMERズボップくん2017』が、7月23日(日)に大阪・名村造船所跡地PARTITAで開催。2014年の初開催から今年で4回目となる同イベントには、関西のみならず関東からも気鋭の若手が集結する。今回のインタビューでは、愛はズボーンの金城昌秀(Vo/Gt)とGIMA☆KENTA(Vo/Gt)、プププランドの吉川淳人(Gt)、THE BOSSSのちひろ(Vo/Gt)にインタビュー。今回のインタビューでは、今まさに自分たちがシーンを席巻していく確信と自信を、本人たちが言葉にしている。今年の『SUMMERズボップくん』は、そんな確信と自信に溢れた状況のバンドばかりが集結しているからこそ、バンドマンが“DIY”で作るイベントならではのアットホーム感だけでなく、バチバチと凌ぎを削る熱いライブが繰り広げられることになるだろう。改めて4人がイベントの歴史を振り返りながら、イベントへの想いを語るロングインタビューのラストでは、『SUMMERズボップくん2017』当日の出演順をかけたゲーム大会も繰り広げられた大宴会『ずぼっぷくん前打ち上げ』の模様もレポート! 

――2014年の開催から今年で4回目となる『ズボップくん』ですが、そもそもどういった経緯でこの3バンドが開催することになったのですか?

金城:最初は大阪・梅田シャングリラで開催したんですけど、そもそもはこの3バンドでイベントを企画する予定ではなく、愛はズボーンがシャングリラでイベントを開くことだけが決まっていたんですよ。だけど、3年前の愛はズボーンは、まだ流通音源もなく、正直なところシャングリラぐらいのキャパは、俺らにとって無謀ともいえるような会場やったんです。ブッキングも何組かに断られ続けて焦っていたところで、結成当初からよく対バンもしていて仲が良かった、プププランドTHE BOSSSにダメもとで連絡してみたんです。すると快諾してくれたので3組でやることが決まり、分かりやすくそれぞれのバンドの名前をとった『ズボップくん』というイベントにしました。それでも、この3バンドが集まったからといって、当時の俺らにはシャングリラのキャパは大きすぎるので不安ではありましたね。

吉川:その頃は、自分たちのCDがお店に並んでいないから、パソコンで焼いた音源をライブハウス限定で売っていたレベルでしたからね。プププは神戸メインで活動していて、大阪はあんまり来たことなかったから余計に不安もありましたよ。ちひろもTHE BOSSSになって間もない頃やったしね。

ちひろ(THE BOSSS)

ちひろ(THE BOSSS)

――初年度のTHE BOSSSは、オープニングアクトで出場されていましたね。

ちひろ:そうですね。前のバンドからTHE BOSSSになって1年目ぐらいの頃だったので、オリジナル曲で30分間もライブができるかできないかぐらいでした……。そんなバンドの状況とは別にして、人間的な部分で誘ってくれたんやと思うとすごく嬉しかったし、だからこそ頑張ろうと思いましたね。

吉川:その中で愛はズボーンは、大阪ではちょっと頭ひとつ抜けていて、“次行くぞ!”って期待されているような状況やった気がします。だから、シャングリラでイベントするって話を聞いた時は素直にすごいなと思っていたし、絶対に面白くなるから観に行こうと思っていたぐらい。それが全然ブッキングが決まらんから、出てくれへんって頼まれてね。

金城:頭ひとつ出てたんじゃなくて、ちょっと背伸びしてただけやってん(笑)。

吉川:ハハハ(笑)。だけど僕らそんな規模でやったことなかったとはいえ、“この3バンドが本気出したら不可能じゃない”という変な自信はありました。だから引き受けたし、やるなら俺らにしかできひんイベントにしようと思った。

GIMA:その時は周りから「お前らにはそんなん無理」って、めちゃくちゃ言われたんです。それにすごい腹が立って、「お前らみとけよ!舐め過ぎや!」と。

金城:面と向かって言われているってことは、同じように思っているだけで言わない人もいっぱいおったやろしね。あの時は、そういう目線に対しての“やったるぞ!”という気持ちだけで動いていた気がします。

GIMA:それからは、どうやってその気持ちを形にして成功させるかを考えながら、3バンドが一丸となって開催できたのが1年目ですね。

ちひろ:ある意味、そんな風に言われなかったら開催は出来てなかったかもしれないしね。

吉川淳人(プププランド)

吉川淳人(プププランド)

――結果的に、シャングリラにパンパンのお客さんが詰めかけて大成功に。

吉川:そうですね! バンドマンが自分たちで考えて、若い力だけで何かをやろうとしてるというのは、絶対に周りのみんなも気になってたと思う。自分たちも来てくれると信じていたので無事に終えれた感じですね。

――初回の大成功からの2年目は、名村造船所跡地という海沿いにある大きな倉庫で開催することになりましたね。

金城:それも僕が勝手に、先に会場を決めていて……。

――2年目も背伸びですか!?(笑)

吉川:僕からすると名村ってすごい大きい会場やし、音響設備とかも持ち込まないといけなかったりして。費用面でもかなりお金がかかるイメージがあったので、すごい大変な場所で開催するなと。だから、すごい背伸びするなと思いましたよ(笑)。

金城:1年目の感じで「次の『ズボップくん』は名村でやるから、またやろう!」と相談したら、みんなすんなり決まるかと思ったんですけど、それぞれのバンドの状況も1年経てば変わっていたので難航しましたね。それまであんまり考えてなかったけど、夏に3バンドが予定合わせるって大変なことやなと痛感したり。

吉川:そうやな。その1年でみんな流通音源を出してCDがお店に並んでいたり、ツアーにも出るようになっていたから、日程もタイトになってきてたんですよね。7月はフェスとかイベントも多いから、余計にスケジュールを合わせるのが難しくて。すぐには決まらなかったですね。

ちひろ:バンドの運営の仕方も3バンドで全然色が違ってきてたしね。

金城:それでもなんとか予定を合わせて、2年目からは他のバンドにも出てもらうことになって。関西を中心に、同世代のバンドとやりたいという話をして計10組で開催しました。

ちひろ:俺たちがやってることが関西以外にも浸透して欲しい! という想いもあって、東京の人たちも一緒にやれたらと、東京からドミコにも出てもらいましたね。

吉川:音楽性がどうとかじゃなく、同世代でシーンを確立している人たちを誘えたらという気持ちで2年目はやってました。

ちひろ:気持ちの部分で共鳴している人たちと一緒にイベントができたら、また違う風に変化してくるんじゃないかなと。

GIMA:出演してくれたバンドが自分のイベントのように思って宣伝をしてくれたので、僕たち3バンドで企画してやっているという感覚ではなかった。バンドが増えても、みんなで作り上げるようにできたのが2年目。それは3年目、4年目へと生きて繋がっていくことになった気がします。

金城:3年目に出てくれた、関東勢のドミコTempalayは、2016年に千葉の白浜で『BEACH TOMATO NOODLE』というフェスをやってるんです。それは『ズボップくん』をに出演して、「関西でちゃんと形にしてる奴らがいるんだから、俺らも口だけじゃなくやらないとあかんわ!」と思って開催したのがキッカケみたいなんです。その話を聞いた時は、『ズボップくん』をやってて良かったなと嬉しくなりましたね。

――同世代でお互い刺激を受けたり、与えたりできるのは良いですね。

吉川:同世代仲間って良い意味で気を使わへんねんけど、みんながライバルじやと思うんです。バチバチしてる感じはやっぱり刺激的やし。なので、『ズボップくん』で観ると、どのバンドも今まで観てきた中で、最高のライブを観せてくるんですよ。

金城:分かるわぁ……、それめちゃくちゃ分かる。関西同士でよくライブを観てる神頼みレコードとかDENIMSって、名村になってから毎年出てくれてるけど、この日のライブは特にすごいと思う。

吉川:僕も最初は、ほんまに名村でイベントができるのか不安でしたけど、あの場所じゃないと出えへんもんがメッチャあると思うんですよね。それこそロケーションが良いというのも、そうさせてるのかもしれないですけど。

ちひろ:海が近くて、だいたい晴れてくれててな!

金城:海が近いこと推してるけど、あそこ海が近くにあるだけで波止場やからね(笑)。でも浜辺とかじゃないところがまた良いねん。俺的には工場地のロケーションが好きで、その中にちょうど夕日が落ちていくのがたまらん。

GIMA:あの夕日がご褒美で、また来年もやりたいなと思わせられるんですよね。

ちひろ:夏フェスみたいに自然があったり広い野外というわけでもないし、いつものライブハウスで照明浴びてということでもない。またちょっと違う空間でできることってなかなかないから良いですよね。

金城昌秀(愛はズボーン)

金城昌秀(愛はズボーン)

――“お前らには無理”と言われた初年度を大成功に収め、さらに無謀と思われた名村造船所跡地で開催し続け、今年でもう4回目になりますね。

金城:今年は気を使わない同世代ならではのバチバチ感が、特にすごいと思います。来年やっても再来年やっても、このバチバチ感は出えへんのちゃうかな。というのも、それぞれのバンドが“今にも売れるぞ!”ってスタート切ってるようなすごく良い状況やから、ほんまにバチバチした日になると思う。

吉川:そういう意味でも、今年は“ズポップくん完結編”になるかもしれへんね。2年目は新しい場所で勝手が分からないまま手探りで、集客も危うかった。去年の3年目は、勝手も分かってきて、いろいろアイディアも出し合えて、こうしてインタビューしてもらうような機会も増えて集客も増えました。みんなすごく楽しそうで、これからもずっと続くんやろうなと確信できたし、もっと大きなイベントになっていくんやろなって思ったんです。だけど、そういったこれまでのクライマックスが今年になるんじゃないかなと。

GIMA:マジで今年をもって『ズボップくん』が終わってしまうか、俺たちが次のステージに上がったり成長していくことでずっと続けられるイベントになるかのどっちか。それが今年に懸かっていると思います。確信的な何かを掴めなければ、『ズボップくん』は今年でやめよう!

金城:うん。そうしよう……!

吉川:だらだら続けても仕方がないからね。

ちひろ:ほんまに今年の感じで決めてもいいぐらいの気持ちでやれてるもんな。

GIMA:でもこれな……、『ズボップくん』が終わったら終わったで、またやりたくなってしまうねんなぁ……。

――言い出しっぺなのに、そんなすぐに曖昧なこと言わないでください(笑)。

吉川:いや、でもなるねんな!(笑)。

GIMA:なる……。でも今回で一度、句読点を打とう!

吉川:うん。やるとしても同じようには絶対にしないと思う。また違う感じのイベントにはするかもしれないですけど、今までの4年間で積み上げてきた集大成は今年の『ズボップくん』で出し切るという覚悟を持ってやります。

GIMA☆KENTA(愛はズボーン)

GIMA☆KENTA(愛はズボーン)

――因みに、今年は昨年とは違った試みなどありますか?

ちひろ:今年は、お客さんとライブ以外でも一緒に楽しめる瞬間を作りたいので、外でスイカ割りをしたり、色々と企画を考えてます。

GIMA:去年、解散してしまったんですけど、ちひろと維新派という伝説的な劇団を観に行ったんですよ。めちゃくちゃ長い歴史のある劇団で、巨大な舞台を自分たちで組んで芝居をみせたり。舞台だけでなくて無料で入れる屋台村も作って、露店を劇団員の人がやってたり、突然腕相撲大会が始まるお祭りのような村がいつもできるんです。劇団員の家族だとか知り合いがたくさんいて、身内ノリといえばそうなんですけど、だけどその身内ノリがしっかりと浸透して根付いてひとつの文化になって、エネルギーの塊が演劇に繋がっているんですよね。それを観た時、この雰囲気を『ズボップくん』でも作れたら幸せやなとすごく感じたんです。

ちひろ:理想の形でしたね。

GIMA:だから……、先ずはスイカ割りをしようと。出演者が仕切って、大縄跳び大会もします。ほかにも出演者が店を出すブースがあったり、出店を増やしたりもしたいなと話しているところです。来た人もライブを観るだけじゃなくて、俺たちの人間性とかにも触れてもらいながら楽しんでほしいなと思ってます。

吉川:なんか楽しいことを賑やかにやってる空気を作りたいね。僕らのことを詳しく知ってるわけじゃないけど、来てみたらなんか面白いと感じてもらえて、帰る頃には自分も何かやりたいなと刺激にもなるような、そんな誰が来ても楽しんでもらえるイベントになれば良いなと思います。

ちひろ:ドミコTempalayが『ズボップくん』に参加して、関東で自分たちもやりたいと思ってくれたみたいに、お客さんも来て何かやってみたいなと感じたり自分の生活をちょっとでも変えるきっかけになるイベントにしたいですね。俺らが維新派に行ってそう感じたみたいにね。

――開催当初は仲のいい3バンドからスタートした「ズボップくん」ですが、“身内ノリのイベントと言われても、続けることで結果的に同世代のシーンを作っていけたら”と、テーマを掲げていたと思うのですが今はどうですか?

金城:今はあんまりそういう“同世代のシーンを作る”とかっていう感覚はなくなってきたよな。

GIMA:どちらかと言えば、“帰る場所”を作っているような気持ちですね。各々が戦場に1年間飛び立つから、ボロボロになりつつも確実に力をつけて帰ってくる実家のような場所を作れたらと思ってる。

ちひろ:今は各バンドがそれぞれでシーンを作っていくようなイメージ。

吉川:1年間、いろいろとやってきたことを集約させる場所なのかなと思いますね。全国でライブしてますけど、『ズボップくん』でしか観られへん俺らが確実にあると思いますから。

ちひろ:結局、4年目になってそれぞれのバンドがやりたいことって全然違うかったんやなと気づいたんですよね。音楽もそうやし、作っていきたい環境というのも違う。どれだけ仲が良くても違うわけだから、それなら自分たちで戦場に行って自分たちのシーンを作るしかないと思ったんだと思います。

――それぞれやりたいことが違う中で、ひとつに繋ぎあわせているものって何なのでしょうか?

吉川:結局、違うことをやっていても、カッコいいと思うかどうかの価値観が一緒なんやと思います。愛はズもプププもBOSSSも、音楽は全然違うけどお互いがライブを観た時にカッコいいと思うようなリスペクトがある。間違いなくカッコいいと思える人ばかりが集まってるんですよね。それがひとつの共通点じゃないですかね。

――因みに以前、金城さんがインタビューで、『ズボップくん』について話していたことがあって。愛はズボーンを結成して間もない頃、よく対バンしていたキュウソネコカミやフレデリック、夜の本気ダンスといった今やメジャーシーンを賑わせているほとんど同世代のバンドに対して、“なにくそ!”という気持ちがあるし、あの頃の同世代バンドで関西インディーに居残りしている組が、プププランドTHE BOSSSには悪いけど『ズボップくん』の3バンドじゃないかと。

吉川:そういう気持ちはそりゃありますけどね。無いというヤツはいないですよ。みんなそういう気持ちは持ってやってます。確かに、僕もキュウソとかフレデリックとかのライブを観に行くと凄いなと思うんですけど、音楽とか演奏面でなら負けてへんと思っているし、「俺らだってやったんで!」っていう気持ちは常に持っています。そういう気持ちは、何らかの形で『ズボップくん』で出したいなと、頑張ってるバンドはみんな思ってるはず。

金城:そういう意味でも、みんな“なにくそ!”って気持ちで名村にやって来てるから、出演する10バンドの中で、来年、滅茶苦茶ハネてるバンドが最低でも1組はいると思います。だからこそ、来年どうなってるかは本当に分からない。

――各バンドが来年にグンとハネて売れたいと思ってる。だからこその“バチバチ感”なのですね。

金城:ほんまに、バチバチですよ!

――今年で、もしかすると最後かもしれない……。ブレイク間際のバンドが最高沸点を更新するライブが観れるかもしれない、と思うと見逃せないイベントになりますね。

吉川:そうです! まだまだメディアの露出は少ないかもしれないですけど、観に来てくれた人たちに、絶対に好きになってもらえるようなカッコいいバンドばっかり集まっていますから。記事を呼んでくれた方は、おひとりでも、周りの人と誘い合ってたりでも、とにかく遊びに来てほしいです。

『ズボップくん前打ち上げ』

『ズボップくん前打ち上げ』

インタビューを行った6月11日には、大阪のトークライブハウス・Loft PlusOne Westで、愛はズボーンプププランドTHE BOSSSの全メンバーが参加する『ズボップくん前打ち上げ』が開催された。出演者もお客もお酒やフードを楽しめる、トークが繰り広げられるライブハウスとあって、まさに打ち上げさながらの大宴会に!出演者らと同世代のFM802 DJ・樋口大喜氏をMCに迎え、改めて『ズボップくん』の歴史を振り返ったりお客からの質問に応えながらトーク繰り広げ、観客参加型のプレゼントコーナー等がとり行われた。そして、この日のハイライトといえるのが、『SUMMERズボップくん2017』当日の出演順をかけたゲーム大会。お客さんも手に汗を握り興奮しながら見守る中、愛はズボーンプププランドTHE BOSSSの3組全メンバーがイベントのトリをかけてテレビゲームでガチンコの熱烈バトル! 結果はなんと……、『ズボップくん』初回はオープニングアクトだった、THE BOSSSが今年の大トリに! プププランドがトリ前、そして3年連続トリを務めてきた愛はズボーンが3バンドの中で一番先に登場することに。早くもそんな予定調和とはいかない展開をもって、トークイベントは締めくくられた。『SUMMERズボップくん2017』当日は一体全体どうなってしまうのか!? SPICE編集部では当日の様子もしっかりとレポートすることとなった。
 

『SUMMERズボップくん2017』

『SUMMERズボップくん2017』

インタビュー・取材=大西健斗

 

イベント情報
『SUMMERズボップくん2017』
2017年7月23日(日)
会場:STUDIO PARTITA (大阪府)(名村造船所跡地)
出演:愛はズボーン / THE BOSSS / プププランド / ナードマグネット / ドミコ / DENIMS / Tempalay / 神頼みレコード / TENDOUJI / キイチビール&ザ・ホーリーティッツ

 

 

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