約1万個の燈籠が宮津湾を埋め尽くす 海に浮かぶ幻想的な灯りと夜空にはじける優雅な花火

2017.7.5
インタビュー
イベント/レジャー

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京都府宮津市の海と空が奏でる、火の祭典「宮津燈籠流し花火大会」。約1万個の燈籠が宮津湾に流され始めると、打ち上げ花火が夜空にはじけ、クライマックスには海上スターマインが空と海を鮮やかに染める。大会の魅力と新たな京都の魅力を、宮津燈籠流し花火大会事務局に伺った。

ーー宮津燈籠流し花火大会を開催することになったきっかけなど、これまでの深い歴史をお知らせください。

花火大会の起源は戦国時代に遡ります。宮津は400年ほど昔に細川藤孝(幽斉)が入国し、海辺に城を築き城下町が形づくられました。城下の人々が盆に迎えた先祖の霊を再び極楽浄土へ送るため、供物にささやかなともしびを添えて海へ流したのが宮津の燈籠流しの始まりと言われています。やがて海へ流す供養火の美しさが評判となり、多くの見物客を迎えるようになりました。花火については大正13年(1924)、宮津の地に鉄道が開通したことを記念して打ち上げられたものが現在まで続いています。

ーー当大会ならではの特徴や自慢できるプログラムはなんでしょうか。

花火の規模は約3000発、一番大きな玉は10号玉と、他の花火大会と比べると決して大きな規模ではありませんが、大きな花火大会にも負けない3つの魅力を紹介いたします。

まず一つ目は「燈籠流し」です。当イベントは日本三大燈籠流しの一つと言われ、当日は花火とともに約1万個の燈籠が宮津湾を彩ります。宮津の燈籠は昔ながらの藁と竹ひごを使って作られています。少子高齢化が進む地域の中、地元の方々が一冬かけて準備をしてくださった燈籠は、紅白セットで前売りは800円(当日は1000円)で販売しております。ご来場の際は地域の思いの詰まった燈籠をご購入ください。

二つ目は宮津湾の船上からの打ち上げ花火です。船上からの打ち上げを最大限に活かしたプログラムで構成しているのも当花火大会の魅力。特に2カ所の台船から打ち上げられる斜め打ちスターマインは、宮津湾一帯を花火が埋め尽くす大パノラマで、河川敷花火では味わうことはできません。

三つ目は「音」です。宮津の地形は北側を海に、残りの三方向を山に囲まれており、打ち上げ時の花火の音が山に反響して会場を包み込ます。ぜひ会場に足を運んでいただき、3つの魅力を五感で感じていただきたいと思います。

ーー他にもおすすめする部分がありましたら教えてください。

花火大会の前日8月15日の夜には、宮津市役所前の道路を封鎖して市民総おどり大会が開催されます。宮津市は昔から城下町として、また北前船の寄港地として栄え、花火大会会場のそばにも旧花街である「新浜地区」がその名残を残しています。そういった城下町・北前船文化の中で生まれた、宮津節に合わせた宮津おどりなどが今もなお市民を中心に親しまれています。市民総おどり大会は当日の飛び入り参加も可能です。

ーー今年特に力を入れているところはなんでしょうか。

「伝統行事」としての再認識です。近年は全国的に花火大会を中止したり、取りやめにしたりしている地域が多くあります。当大会は単なる花火大会の要素だけでなく、宮津ならではの先祖の霊を敬い浄土へ送る燈籠流しや、初盆の家から出される精霊船の慣わしに花火や踊りを添えるという、長年培ってきた文化的・歴史的な伝統行事としての顔を持っています。少子高齢化が進む当地でありますが、伝統・文化を後世に残していくためにも花火大会の役割を再度考え、ご来場いただくお客様に宮津の歴史や文化の一端に触れていただく機会としていきたいと考えています。また、運営については安全安心を第一優先として、来ていただいたお客様が思う存分花火に親しんでいただけるように、当日まで準備を進めたいと考えています。

ーー実行委員会を担当されて感じたことがあればお知らせください。

花火や燈籠などの準備は実行委員会内部で分担し、毎年どの担当者も炎天下の中で準備を行います。水分補給は欠かさないように気をつけていますが、汗だくになりながら作業を行う際はやはり体力的にも辛いですね。また近年は残念なことに雨天時の準備・開催もあり、ずぶ濡れになりながらの会場設備作業をすることも少なくありません。また、花火大会終了後は当日遅くまで片付けを行い、翌日も早朝から会場のゴミ拾いなど清掃作業を行います。無事に本番をやり遂げて疲れ切った体での早朝作業は正直大変ではありますが、地域のボランティアの方々も参加していただいており、地域を挙げて花火大会を支えていただいています。

とはいえ、決して辛いことばかりではありません。準備や片付けがどんなに大変も、ご来場いただいた方々から嬉しいお言葉をかけていただくと、疲れも吹っ飛びます。観覧席の担当者は笑いながら言います。「初めて観覧席を担当し、お客さんとともに花火を見たとき、泣きそうになってしまった。」と。今年もご来場いただいた来場者の皆さんに喜んでいただけるように、準備を進めていきたいと思います。

天橋立・飛龍観

ーー県外から行くお客様のために、その土地の魅力や観光スポットを案内いただけますでしょうか。

観光スポットはなんと言っても日本三景「天橋立」です。近年、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」への掲載や、「世界で最も美しい湾クラブ」へ宮津湾が加盟されるなど、世界的にも天橋立の価値が認められてきていますが、それは天橋立が単なる景勝地としてだけでなく、文化的な価値を徐々に知っていただけているものと考えています。天橋立の南北には、「智恩寺(文殊堂)」と元伊勢「籠神社」があります。智恩寺は、「三人寄れば文殊の知恵」で有名な文殊菩薩を本尊とされており、日本三文殊の一つに数えられているもの。古くから文殊信仰の霊場として知られ、謡曲「九世戸(くせのと)」の題材となっています。籠神社は伊勢神宮の元宮とされ、日本有数のパワースポットとしても知られています。小倉百人一首にも歌われるように、古くから日本文化の中で、重要な信仰の地として現代まで多くの人々が訪れています。

宮津は京都府北部地域の要所として、北前船の寄港地としても有名です。北前船とは江戸時代から明治時代にかけて日本海海運で活躍した主に買積みの北国廻船の名称です。買積み廻船とは商品を預かって運送をするのではなく、航行する船主自体が商品を買い、それを売買することで利益を上げる廻船のことを指します。北海道、北陸以北の日本海沿岸諸港から下関を経由して瀬戸内海の大坂に向かう航路の中で、様々な貿易とともに文化の交流が行われ、日本海側の発展に大きく寄与しました。宮津市街地には北前船で財を成した「旧三上家住宅(重要文化財)」や旧花街「新浜地区」など至る所に当時の町並みを残しています。また宮津おどりや宮津節など、芸能の分野でもその一端を垣間見ることができます。平成29年4月に北海道から福井県の北前船寄港地が日本遺産に認定されたことを受け、宮津をはじめとした西日本の寄港地もその準備を進めており、これまで以上に宮津の歴史文化を伝えていきたいと思っています。

カレー焼きそば

ーーおすすめグルメも豊富だと思います。

宮津の名産は豊かな自然が培った農林水産物です。特に海産物はキアジや丹後ぐじ(真鯛)など希少価値が高い魚をはじめ、冬期は丹後名物の「ブリしゃぶ」や「松葉ガニ」もおすすめ。貝類もブランド化されている「とり貝」をはじめ、「大アサリ」や「牡蠣」など、四季折々で特徴ある水産物を味わっていただけます。また、京都府北部地域は米どころでもあり、米の食味試験で最高ランクの「特A」を何度も獲得しています。

それから、宮津のソウルヌードル「宮津カレー焼きそば」があります。これはいわゆる「ご当地グルメ」として市内の飲食店十数店舗で提供されており、平成27年には「宮津カレー焼きそば会」を設立し、提供店によるスタンプラリーや提供店マップの作成など、地域を挙げて活動を行っております。発祥は今はなき宮津の中華料理店だったと言われており、カレーラーメンに近いウェットタイプのものから、通常の焼きそばに近いドライタイプのものまで、各店独自の味を持っています。食べ比べをするのも面白いと思いますよ。

■宮津カレー焼きそば会ホームページ:http://curryyakisoba.com/

ーー他にもおすすめのイベントがありましたらお知らせください。

宮津の夏のイベントをいくつか紹介します。

■天橋立まち灯り(天橋立砂浜ライトアップ) 7月15日(土)〜8月31日(木)
燈籠流し花火大会の開催日中に開催されるイベントです。期間中は毎日19時から22時まで、天橋立砂浜をライトアップします。砂浜はブルーに浮かび上がり、煌めく水面、天橋立の幻想的な空間が広がります。また日曜日には「天橋立まち灯りぶらり散策」を開催予定。飲食店などの夜間営業、ライブイベント、ナイトクルージング(丹後海陸交通)など様々な催しが行われます。

■文殊堂出船祭 7月24日(月) 場所:天橋立廻旋橋付近
智恩寺に残る伝説「九世戸縁起」を再現したイベントで、松明が灯された海上舞台の上で太鼓に合わせて金銀2頭の龍が舞います。クライマックスには打ち上げ花火もあがります。

■千日まいり 8月9日(水) 場所:成相寺
西国28番札所の成相寺で毎年開催される行事です。この日にお参りすると千日分のご利益を観音様より授かるといわれ、毎年多くの参拝者で賑わいます。当日は大施餓鬼供養に始まり、願い事を護摩木に書き込み祈祷する柴燈護摩祈祷と、行者による火渡り修行などが行われ。ご参拝の方も火渡りにご参加いただけます。

ーー京都の素敵な一面が発見できそうですね。

京都縦貫自動車道の全線開通と舞鶴若狭自動車道の延伸により、京阪神からだけでなく中部地方や北陸地方からも非常に便利になりました。現在、京都府北部の5市2町では「海の京都」をコンセプトにイベントや地域の環境整備等に取り組んでおります。京都と言えば京都市内を思い浮かべる方が多いと思いますが、一度宮津にも足を運んでいただき、京都の新たな一面を感じていただければと思います。


インタビュー・文=ふくだゆみ

イベント情報
宮津燈籠流し花火大会

 日時:2017年8月16日(水)19:30
 会場:京都府宮津市字島崎 島崎公園一帯

 
 

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