初の大阪開催となったCzecho No Republic『ドリームシャワー2017』サプライズ満載のステージ

レポート
音楽
2017.7.4
Czecho No Republic

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Czecho No Republic presents ドリームシャワー2017 at 大阪城音楽堂 夏だ!野音だ!Czecho No Republicだ!~そうだ、みんなで大阪へ行こう。〜2017.7.2(SUN)大阪城音楽堂

結成当初からの自主企画イベントとして、これまで数回にわたり行われてきた『ドリームシャワー』。今回、東京を飛び出し、初の他エリア開催の地となったのは、大阪城音楽堂だ。メンバー間でも「本当に大丈夫?」なんて心配の声も上がったという中、見事はソールドアウト!  間違いなく、バンドのヒストリーに大きな意義を残したであろう、チャレンジングなステージをレポートをお届け。

撮影=日吉”JP”純平

撮影=日吉”JP”純平

開場中はFM802のDJ・飯室大吾と板東さえかによるMCで、この宴にぴったりな選曲が紡がれる。今か今かと、その時を待つなか、メンバーが登場しゴキゲンな「Amazing Parade」で開幕!  初っ端から最前線へと駆ける砂川一黄(Gt)をはじめ、メンバー全員ギアは全開。武井優心(Vo/Ba)がパノラマ感ある歌声で場を鼓舞したかと思えば、タカハシマイ(Cho/Syn/Per)のヘルシーなボーカルで、一層の清涼感をもたらしていく。エイティーズなムードの「Dream Beach Sunset」では、ベースをシェイカーに持ち替え、軽やかに歌い出す武井。手をフラミンゴに見立て、華麗なステップを披露しながら、「ダンスは腰で踊ってください!」なんて、コンダクターのごとくオーディエンスを先導。トロピカルなムードの「ゴッホとジョン」では、八木類(Gt/Cho/Syn)のドリーミーなシンセを得て、ハンドマイクを手にしたタカハシ。ステージの端から端へと舞うように歌い、客席を釘付けにした。続く「Call Her」では、ポップネスなメロディとは裏腹に、砂川と八木によるツインギターのロック・モードが炸裂、心地よいポップネスと、芯あるバンド・サウンドが展開される。その共存がチェコを成す魅力のひとつだと改めて気付かされた。続いて「もうひとりのボーカリストが歌います」(武井)と促され、八木がマイクを執る「絵本の庭」へ。タイトルどおり絵本を読み上げるようなやさしい低音を響かせる八木。そこへ包容力あるタカハシのコーラスと重なり、何とも幸福感に満ちた空間に。さらに「ひとりで参加したオーディエンスの勇気を讃えて、この曲を」(武井)と、「1人のワルツ」を披露。カントリー調のみずみずしいギターの音色、人肌の温かみある武井の歌声。みんなチェコの音楽を楽しむというひとつの目的ゆえ、思わず知らない隣の人とも肩を組みたくなるほどに、ハートウォームな心地を胸に灯していく。

撮影=日吉”JP”純平

撮影=日吉”JP”純平

そしてタカハシがメイン・ボーカルを担う「Electric Girl」では、彼女のシンガーとしての魅力を余すところなく発揮。伸びやかでブレのない歌声をめいっぱい響かせつつ、客席ひとりひとりに向けるように歌う。野外の気持ち良さも手伝って、もう踊らずにはいられない気持ちを察してか(!?)、「みんな自由にダンスを踊ってくれよ!」(武井)と水を向けるは、まさしく「DANCE」。 無機質かつドリーミーなシンセで奏でる、混沌としたメロディの強さ。それと相反するかごとく生命力あふれる山崎正太郎(Dr)のドラミングと、別次元へといざなわれるような凄まじいトリップ感をもたらしていく。続いて武井のベースリフをトリガーにしたエッジィな「ショートバケーション」を経てMCへ。「……えーと、みんなアコースティックって知ってますか?」(武井)。思わず笑いがこぼれる会場だが、それもそのはず。実は「Electric Girl」の前にセットリストを先走り、アコースティックである次曲まで飛ばしそうになるハプニングがあったのだ。飄々とした顔で「空、風、みんなの笑顔……。この最高のロケーションでアコースティックを……!」と同じ話を繰り返す武井だが(笑)、曲紹介ではきっちりと想いを伝えた。「もう会えなくなった人への思いを捧げる歌です。みんなにもそういう人がいたら思い浮かべながら聴いてください」と、続けるは「For You」だ。どこか祝祭感すら感じるピースなムードが、一層センチメンタルの濃度を増す名曲に武井とタカハシのハイトーン・ボイスが重なり、穏やかな景色を描き出す。そう、チェコの歌には必ずと言っていいほど景色が見える。海や緑、空に街といった情景に思いを重ね、その景色の一部である人へと愛を捧げる。マクロの世界からミクロのいとしさを見出すその視線は、何と温かいことだろう。

撮影=日吉”JP”純平

撮影=日吉”JP”純平

かと思えば一転、砂川がゴキゲンなメロを紡ぐアンセム「ネバーランド」で、宴は最高潮へ。スティックを空へと突き上げ、煽りに煽る山崎のこの上ない表情たるや! さらにツイン・ギターでふたりが最前線で弾き暴れる「No Way」は、陽の落ち出した会場を瞬く間にクラブ空間へと変貌させる。ハンドマイクで跳ねる武井の姿に自然とハンドクラップが湧く「Oh Yeah!!!!!!!」を経て、ここで驚きの仕掛けが登場する。何と、客席の中央にセンター・ステージがお目見えし、山崎の乾いたドラミングを背に、4人は客席の間をハイタッチしながらそこへと移動するのだから、歓声が鳴り止むはずがない。と、ひとり健気にプレイしていた山崎が口を開く。「楽しすぎるだろ、大阪! もっとみんなと気持ちよくなりたいけど、そっちには行くことはできない……」と哀愁たっぷり。でも、「(センター・ステージへと移動した)メンバー4人へついていけますか!?」と、一転煽るや、「RUN RUN TIKI BANG BANG」を! センター・ステージを360°見渡すようにくるくる入れ替わる4人。その姿は何だか櫓(やぐら)のようで、あたかもチェコ流の盆踊りのようだ。

撮影=日吉”JP”純平

撮影=日吉”JP”純平

ステージへと戻った武井は、改めてこの日への思いを語る。「今年の初めに大阪での『ドリームシャワー』の話があって。近しい関係者からは“無謀では?”と言われたり、メンバーからも“大丈夫かな?”って不安の声も上がっていた。だけど、迷ったときに勝負を賭けられないならバンドマンじゃないと。回転が早い音楽シーンで、自分の立ち位置すらもわからなくなるけど、音楽って続けていると何があるかわからないよ。今日はハッピーな音楽をばらまいて、こんなにハッピーな笑顔を見れた!」と、今日一番とばかりに、顔をほころばせる武井。「だがしかし、もっといけるのでは!?  一緒にこの曲を完成させたい」(武井)。そう続けては「ダイナソー」をブッ放した。先の武井の言葉を噛み締めつつ聴くこの曲からは、一層強靭なエナジーを感じる。そして本編ラスト「Firework」では、オーディエンスの手のひらで生み出した特大の花火を打ち上げる! 「感謝しかないからもう一度言わせてください、ありがとう!」と武井は感謝の気持ちを伝えた。

撮影=日吉”JP”純平

撮影=日吉”JP”純平

アンコールでは、ツアー決定のうれしいサプライズも発表に。「秋冬にかけて『リリースツアーじゃないツアー』をやります。音楽が大好きで、これまでも一生懸命やってきたけど、チェコってどう思われているんだろう、と。音楽性も変化してきたし、キラキラポップと言われることが嫌でマイナーコードの曲ばかり作ったり、愛されることから逃げてきた。でも決して消費される音楽じゃないと思っています。改めて今までの曲も愛してもらいたい、そう思っていろんな街に鳴らしに行けたらと思っています」と、決意を語る武井。今宵勝ち取った確かな一体感は、きっと次のツアーへの糧となったに違いないと確信した。と、ここでもうひとつサプライズが! この日に向けてFM802とタッグを組みゲストを迎え新たに録音した「MUSIC(チェコと12人の仲間たち)」から、おかもとえみ(フレンズ)と藤森元生(SAKANAMON)、さらにFM802のDJ・飯室大吾と板東さえかがステージへ。「(12人参加してくれたなかで)来れなかった8人の分は、みんなが担ってくれるはず。では“2400人の仲間たちver”を!」と武井が話し、音楽への初期衝動をギュッと詰め込んだ同曲は、武井から藤森、タカハシからおかもとと、歌いつないでいくその様に一層の高揚感が会場いっぱいに広がった。人間の根源的なところを突く音楽の素晴らしさをまざまざと見せつけ、大団円へと導いてくれた。

撮影=日吉”JP”純平

撮影=日吉”JP”純平

「ロックへ永遠に片思いの人生だとしても、全うしてやるぜ」。これは終演後、Twitterでつぶやいた武井の言葉だ。何度もあきらめかけたというその音楽への思い。それをつなぐ今日の希望となったのは、間違いなく『ドリームシャワー』のステージだ。そんな場に立ち会えたことを誇らしく思う、そんな豊かな音楽体験となった。

取材・文=後藤 愛

セットリスト

01. Amazing Parade
02. Festival
03. Dream Beach Sunset
04. ゴッホとジョン
05. Call Her
06. 幽霊船
07. 絵本の庭
08. 1人のワルツ
09. Electric Girl
10. DANCE
11. ショートバケーション
12. For You
13. ネバーランド
14. No Way
15. Oh Yeah!!!!!!!
16. RUN RUN TIKI BANG BANG
17. ダイナソー
18. Firework

<ENCORE>
19. MUSIC

イベント情報
Czecho No Republic『リリースツアーじゃないツアー』
※すべてワンマン
2017年9月30日(土)北海道・札幌KRAPS HALL
2017年10月14日(土)宮城県・仙台CLUB JUNK BOX
2017年10月22日(日)福岡県・福岡BEAT STATION
2017年11月25日(土)愛知県・名古屋ボトムライン
2017年12月14日(木)大阪府・心斎橋BIG CAT
2017年12月22日(金)東京都・EX THEATER ROPPONGI
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