ビッケブランカ いざ、ポップシーンのメインストリームへ、恐れを知らない男の挑戦

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インタビュー
2017.7.13
ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

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知る人ぞ知る存在から、知らないとまずいんじゃない? という存在へ。昨年2016年10月のメジャーデビュー以降、認知度アップが止まらないビッケブランカ、いよいよ完成した1stフルアルバムは『FEARLESS』。ゴージャスなピアノポップ、あふれ出る美メロ、変幻自在の多重コーラスにさらに磨きをかけ、よりファンキーなダンスチューンや、あえてJ-POPど真ん中を行くキャッチーすぎる曲など、持ち前の万華鏡ポップワールドはさらに進化した。いざ、ポップシーンのメインストリームへ、恐れを知らない男の挑戦が始まる。

今の風潮や流行は意に介さずに、僕が作るべきものを作ったと言えるものにしたかった。そういう環境を作ってくれたチームのみんなに感謝したいし……って、サッカーみたいなこと言ってますけど。


――インディーズ時代も含めて、これが初のフルアルバムですか。

毎度そうなんですけど、何も決めずにということは結局同じで。前作もそうやって作って、メジャー1枚目の名刺代わりということに、後付けでなりましたけど。結局は今できること、その瞬間にできることをやろうということなので、こんな曲を集めるんだ、こんなメッセージを伝えたいんだというものは一切なく。あるとしたら、“生まれるべき曲”か、そうじゃないか。自分の中で作るべきだったと言える曲だけを入れようという感じですね。それだけを心がけてました。

――それは昔の曲から、最近の曲まで?

ほとんど最近ですね。「さよならに来ました」は前からあって、「Postman」も前からあるかな。歌詞は英語でしたけど。「さよならに来ました」も歌詞を変えてるんで、結局今の自分で塗り替えてはいるんですけど。全部が新鮮な曲が入ったなという感じですね。

――前半はリズミックで派手な曲が続いて、中盤から後半はスローやミッドのメロディアスな曲が増えていって、ラストに壮大な感動が待っている。実にアルバムらしいアルバム。

2曲目、3曲目ぐらいが先にできたんですけど、アッパーな感じが続いたから、ちょっとテンポを落としたものを作ってみようと。「幸せのアーチ」とか、そのへんですかね。これはアルバムで言うと7曲目ぐらいかな、じゃあこの曲の前にはどんな曲を作ろうかな? とか、そういう感じなんですよ。最終的にはバランスの取れた、流れで聴いて楽しいものにしようということはあったので、穴埋め式で曲を作っていきました。かといって、こういう曲が絶対必要なんだというものもなかったですし、自由にやれましたね。

――2曲目「Moon Ride」とか、3曲目「Take me Take out」とか。序盤のご機嫌なダンスファンクチューンでは、管楽器が大活躍してます。

ちょうどこのアルバムを作る前ぐらいに、管を知ったんですよね。今まではまったく意識したことがなくて、たぶん自分には引っかからなかった楽器なんですよよ。バイオリンはすごい引っかかるし、ギターもピアノも引っかかるんですけど、ホーンだけは聴き流していた。でも、そういう曲も作ってみようということになった時に、自分では絶対選択することのないトランペットの音を入れてみたら、“あーなるほど、こんな感じになるんだな”と。たとえばプリンスって、そういうノリが多いじゃないですか? あんまり掘ってはいないですけど、ディレクターの人に2~3曲教えてもらって、参考にして。逆に言うと、最後まで自分で手綱を握れなかったんですよ。ホーンが入ることによってこの曲がこうなって、というのは未だに僕は説明できない。でもそれによって、逆に自分の範疇を超えた曲になっている可能性がある。


――ああ。なるほど。

たぶん前作では、まだその度量がなかった。でも今はそれができるようになってきてる。自分ではわかんないけど、きっとこれはいい曲のはず、みたいな。実際聴いた人が“めっちゃいいじゃん”と言ってくれて、やっぱりそうなんだって。そういう感じの2曲ですかね。

――客観的なところがあるんですかね。自分の理解よりも、聴き心地を優先させるという。

それだけいろんな人が関わってくれて、大きいものになりつつある時って、それに逆らう気もないというか。“全部に俺の血が通ってないと嫌なんだよ!”とか、“そんなの俺は入れたくないんだよ!”とか、一切なくなってるんで。昔はあったんですけどね。今は、絶対に間違っていないものになってる確信があるし、最終的に聴いて、これは価値のあるものだと思えてるから。全然それでいい。

――ミュージシャンのエゴの形が、変わってきている? よりプロデューサー的というか。

結局その裏には、僕がメロディを作って、コーラスワークして、言葉を乗せてるから、何が周りで起きても大丈夫。だっていい曲なんだからという、ゴリゴリのエゴがあるのかもしれないですけど(笑)。

――そうか(笑)。それが固まったからこそ、逆に自由になれてる。

そうですね。面白いバランスだとは思いますね。

ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

――個人的に、8曲目の「Broken」、好きなんですよ。アルバムの中では異色の、ヒップホップ色が濃い曲で、すごくかっこいい。

これは、おもしろ真面目という感じ。ガチで作ってるけどどこかガチじゃない、絶妙なバランスが自分の中でありますね。

――ヒップホップ、好きでしたっけ。エミネムっぽいフロウだなと思ったりしましたけど。

好きな時期もありました。中学校3年生から高校1年生ぐらいですかね。エミネム、パフ・ダディ、リル・ジョン、リュダクリス、ZEEBRAも聴いてました。さっき言ったみたいに、曲を穴埋め式で作ってるんで、こういうヒップホップなノリの曲がないな、じゃあ作ってみようという感じです。

――からの、9曲目「幸せのアーチ」が名曲すぎて。こういう曲が作れるんだって、逆に新鮮でしたね。王道ポップスど真ん中。

すごくJ-POP然としてますね。他の曲でいっぱい振り切ったからこそ、何も物怖じすることなくJ-POPがやれるというか、堂々とやれたっていう感じですかね。別にJ-POP嫌いではないし、やることを全然恥ずかしいとも思わないけど、他の曲が音楽的なところにいっぱい寄って行ったから、僕も自然とこういう曲を求めたから書けたという感じです。これに関してはアレンジが、ピアノリフや全体の流れは僕が作ったとはいえ、ストリングスとか細かいアレンジは横山(裕章)さんという人に全部任せたんですけど。自分の中で「Moon Ride」のホーンに近いものがあるというか、人に任せてもこのメロディとこの歌詞なら大丈夫だから“J-POPなものにしたい”とお願いしたら、間違いないものを返してくれたという感じですね。

――すごくせつない、ノスタルジックなラブソング。

リアリティのある歌詞を書いてます。自分がそこにいる絵があって、それを絵解きしてる感じ。このアルバムにはあんまりそういう歌詞はなくて、自分の経験を大きい物語にふくらませて書く手法もあるんですけど、これはそうではなくて、リアリティのあるものですね。いつも通り、失恋の歌です。

――いつも通り(笑)。確かに。

僕、リアルな歌を書こうとすると、失恋の歌しかないんですよ。あんまり詳しく言って、聴かれなくなるのも困りますけど(笑)。

――全体的に今回の歌詞は、リアリティ寄りじゃないですか。以前に得意技だった、ひねりの効いたオチのあるストーリー展開は、再録の「Slave of Love」くらいで。

そう、プロットツイストはあんまり使わなかったというか、もはやないかもしれない。別にやめたわけでもないし、偶然ですね。「さよならに来ました」も、昔書いた歌詞ではプロットツイストを使っていて、“さよならに来ました”っていうことを一番と二番で歌って、Dメロで、それを言ってたのは僕じゃなくて、僕があなたに言われたことだったって、バン!と切り替えて、同じサビを最後にもう一回歌う。同じことを言っても全然意味が変わるということをやってたんですけど、わかりづらすぎるということで(笑)。ストレートに伝えたくて、プロットツイストを自分でやめました。

――ストレートに伝えたいという思いは、ラストチューン「THUNDERBOLT」に一番感じましたね。こんなに素直なビッケブランカは、聴いたことないというぐらい。めいっぱい前向きのメッセージチューン。

この曲が書けたことは、僕にとってすごく大きいです。今までは、こういうふうには書けなかった。作詞の主人公は“僕”でしかなかったけど、心から“僕ら”と言えてるのは初めてなんで。サウンド的にも大好きだし、この曲があって良かったなと思うぐらい好きです。

ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

――なぜ今、“僕ら”と歌えるようになったんですか。

ライブと音源はまったく切り離して考えていて、録音芸術はちゃんとそこで作って、ライブで再現できないからやめるという選択は絶対しないんですけど……たぶんライブから影響されたのかなと思うんですよね。ライブでこんなことをやりたいからこんな曲を作ろうという一親等のつながりじゃなくて、ライブをすることによって僕が面白いと思ってしゃべることにみんなが笑ってくれるとか、僕がここで“ウォー!”って叫ぶとみんなも一緒に“ウォー!”って叫んでくれるとか、そういう経験をライブですることによって、自然と自分の感覚とみんなの感覚は同じじゃないか?って、無意識に思っていったんですよ。

――ああ。なるほど。

そういうことが今まで、リリースしたあとに何度も繰り返して行なわれたことによって、自分がこう言いたい、こういうふうに行動したい、こういうふうに生きていたいというものは、もしかしてみんなも一緒なんじゃないか?という感覚に、僕を経由して、ライブが僕に入って来て、その僕から出てきた言葉が“僕ら”だった。僕らはみんな、種類は違えど同じように何かを抱えている、という大前提で歌うことができているから、“僕はみんなと一緒だよ”と歌う必要はない。もう僕らはみんな一緒じゃん? じゃあこれからどうする? ということを入れてるから、一個次に行けたなと思いますね。

――確かに。

“僕と君は同じなんだ”が、この歌のオチじゃない。それはもう当たり前、みんな一緒なんだからという前提で歌えてることが、“おー、こんな歌詞書けるようになったんだ俺”という感じ。新しいのか、間違ってるのかは知らないけど、すごく俺は好きです。

――この歌が、アルバムのすべてを肯定している。フレディ・マーキュリー、マイケル・ジャクソン、ミーカの歌詞を引用しているところがあるでしょう。ある意味ネタばらしだけど、ちゃんとビッケのルーツを織り込んで歌ってるところが、すごく強いと思った。

言っちゃいましたね。しかも、そんなビッグネームを並べたあとに、“俺はこうだ”というものを入れてる。とはいえ敬意は忘れずに、自分をそこに横並びにしようとは思ってなくて、フレディとマイケルとミーカは“said”で、過去形になってるんですよ。で、俺だけは現在形の“say”になってる。

――ああ、そうか! そういうことか。フレディは“ウィー・アー・ザ・チャンピオン”と言った。マイケルは“ウィー・アー・ザ・ワールド”と言った、ミーカは“ウィー・アー・ゴールデン”と言った。そして僕は“ウィー・アー・ザ・サンダーボルト”と言う。

彼らはこう言ってきた。だから、その流れで、僕はこう言う。

――ここ、すごく大事なところですよ。レジェンドの精神をちゃんと引き継いでる。頼もしいです。

ありがとうございます。この曲ができたから、アルバムタイトルが『FEARLESS』になったと言っても過言ではないです。直訳すると、大胆不敵とか、そういう意味になりますけど。でも単純に強いメンタリティを表したいなら“STRONG”とか“POWERFUL”でもいいわけで。それを『FEARLESS』にした本当の意味は、FEAR-LESSから、恐れがないということ。二つの単語で成り立つ言葉であって、ただの恐れ知らずなら“ストロング・ファイター”とか、“パワフル・マッチョマン”でもいいわけですよ。

――やだなあ。そんなアルバム(笑)。

そこで、たとえば“フィアレス・マッチョマン”だと、言葉としておかしいんですよ。“FEARLESS”という言葉が一番似合うのは、ファイヤーマン(消防士)なんですよ。フィアレス・ファイヤーマンと言う言葉が一番しっくり来る。火事という恐ろしい現場に、ビビりながらも立ち向かう。僕は行かなきゃいけないから行く。それが“FEARLESS”という状態を示しているわけで、本当は強いわけじゃなくて、強くあろうとしているだけだということを言ってるんです。だから「THNDERBOLT」が『FEARLESS』を呼び、すべての曲をフィアレスにした。という感じになってるところがあります。

――ノーコンセプトで作ったアルバムとか言って、全然違うじゃないですか。メッセージがちゃんとある。

自然にです。作り始める時は何もないところから始めて、作りながらそれができていった。

――そこまで見えてたんですよ、きっと。今の俺なら絶対こういうものになるだろうと。

そうですね。それはライブで得た自信が、間接的に絶対影響してるとは思うんですけど。自分が“行こうよ!”と呼びかけたら、みんなも応えてくれるという現状があるから、そこに感謝したいと思います。切り離そうとしても切り離せないものですね。ライブも録音も、自分というものを経由してるから。

ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

――この作品で、自分のストロングポイントを、がっちりとつかんだんじゃないですか。

前作よりもさらに、自分のやるべきことだけをやった感じがあるので。いい意味で、自分一人とだけ向き合い続けた時間があったし、今の風潮はこうとか、こういうジャンルが流行ってるとか、ほぼまったく意に介さずに、作るべきものを作る。そこだけですね。作り上げた時に、僕が作るべきものを作ったと言えるものにしようというだけだったので、それだけに打ち込めたし、そういう環境を作ってくれたチームのみんなに感謝したいし……って、サッカーみたいなこと言ってますけど。

――僕の得点じゃなくて、みんなで取った得点(笑)。いいと思います。

そういう状態で、めちゃめちゃな曲を作っても、“面白いじゃん”と言ってくれる人がいて良かったなと思います。環境が良かった。すべてが、こうなるべくしてこうなった、そういうアルバムだと思います。たとえば未来の自分が、もっともっと音楽を掘り、いろんな景色を見させてもらっている時に、このアルバムを振り返って“この頃はまだ、この感覚を知らないんだな”って思えたりしたら、よりいいなと思うんですよね。だから今の時点では、足りない部分があってふさわしいと思うんですけど。まだまだ次を作らせてもらえるのであれば、どんどん新しいものへ進化していきたいと思います。


取材・文=宮本英夫 撮影=鈴木 恵

ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

ビッケブランカ 撮影=鈴木恵

 

リリース情報
Major 1st Full Album『FEARLESS』
2017年7月5日発売
 
[CD+DVD]AVCD-93697/B ¥3,500(本体価格)+税
CD+DVD

CD+DVD

 
[CD only]AVCD-93698 ¥2,800(本体価格)+税
CD

CD


<収録内容>
-CD-
01. FEARLESS
02. Moon Ride
03. Take me Take out
04. Want You Back
05. Stray Cat
06. さよならに来ました
07. Postman
08. Broken
09. 幸せのアーチ
10. Like a Movie
11. Slave of Love
12. THUNDERBOLT
-DVD-
Slave of Love TOUR 2017@Shibuya WWW
01. ココラムウ
02. Alright!
03. 追うBOY
04. 秋の香り
05. Your Days
06. アシカダンス
07. Slave of Love
08. ファビュラス
 
ライブ情報
FEARLESS TOUR 2017
9/14(木)【愛知】名古屋ダイアモンドホール
9/15(金)【宮城】仙台MACANA
9/17(日)【北海道】札幌KRAPS HALL
9/29(金)【大阪】梅田バナナホール
9/30(土)【福岡】福岡INSA
10/14(土)【東京】赤坂BLITZ
・TICKET 前売 ¥4,000(1D別) / 当日 ¥4,500(1D別)
・オフィシャルホームページ先着先行実施中
受付期間:2017年5月29日(月)10時~6月18日(日)23時59分
 
※その他ライブ情報はオフィシャルサイトへ http://vickeblanka.com/
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