おっちゃん&ミンジュの怪しいK-Pop喫茶[第1話]平行進化
「ソウルの街角」(本文とは関係ありません) (撮影:SPICE編集部)
K-POPファンの間で「コレを読まぬ奴はもぐりだ」と秘かに囁かれ続けてきたカリスマ的人気ブログといえば「関西ソニョシデ学園(「関ソニョ」)」であります。その「関ソニョ」の作者といえばu1729さんですが、このほど編集子Aの熱烈ラブコールに応えてくださり、「SPICE」のために新たなK-POP与太話(←失礼!)「怪しいK-Pop喫茶」を不定期連載で書き下ろしてくださることとなりました。しかもプロフィール欄においては、なんと初の顔出しも決心してくださいました!「関ソニョ」共々ご愛読賜りますよう、また多少の危険や下品には寛容の心で目をつむっていただけますよう、心よりお願い申し上げる次第に存じます。それでは紳士淑女の皆様、お待たせいたしました。おっちゃん&ミンジュをご紹介します!(パチパチパチ)
第1話 平行進化
おっちゃん:裏通りにあるK-Pop喫茶店のマスター。少女時代とインディーズばかり聴いているので、K-Pop関係の情報は偏っている。SF、アニメ、クルマなどサブカルに詳しいが、ジジィなので得意分野は自ずと古い。
ミンジュ:元アイドルのミュージカル女優でK-Pop喫茶の常連。未だに芸能界復帰を夢見ている。売れ子アイドルの弟をうまく利用出来ないかと画策中。
おっちゃん「(ぼへー)9月でんなぁ」
ミンジュ「そーでんなぁ」
おっちゃん「9月になると、無性に竹内まりやの『セプテンバー』を聴きたなるな」
ミンジュ「竹内まりあはええよねぇ。ウチ好きや」
おっちゃん「アホ、“まりあ”ちゃう“まりや”や。この方は日本三大“内まりや”のひとりやぞ、間違えるでない」
ミンジュ「なんやねん、その日本三大“内まりや”て」
おっちゃん「“竹内まりや”、“西内まりや”、“その内まりや”やがな」
ミンジュ「あ、“西内まりや”は聞いたことあるで。キレイな女優さんやがな。…もうひとりの“その内まりや”って?」
おっちゃん「ま、今は存在せんけど“その内”デビューする気がする」
ミンジュ「(こけっ)おらんのかい! 三大ゆうて成立してへんやないかい」
おっちゃん「あかんか? “内”を取って“まりや”だけなら“竹内”、“西内”、“鈴木”、“永尾”、“山田”と五大まりやが成立するんやけどなぁ」
ミンジュ「“まりや”てそんなにおるの?(ひえー)」
おっちゃん「おる。“鈴木”と“永尾”はどっちもAKB48やから、秋元康が“まりや”好きなんかも知れんな」
ミンジュ「それはどーでもええ。てか、そもそも竹内まりやもどーでもよかったわ。
初回からJ-Popてなんやねん。K-Popを語れや、ここはK-Pop喫茶なんやから」
おっちゃん「最近ネタがなくて」
ミンジュ「そやから、ネタを探せっちゅてんねん!(がおー)」
おっちゃん「わぁ、こわ。仕方ない、ヨウツベでも覗いてみるか(くりくり)
…ん? …んん? …ぴゃー(驚愕)」
ミンジュ「どないしたん、素っ頓狂な声出して?」
おっちゃん「これや、これ観てみ!(ぽち)」
ミンジュ「レンタカー屋のCFやないか。K-Popのネタゆうてるのに、また日本のCFなんか観やがって」
おっちゃん「いや、CFは日本のもんやけど、歌手が韓国やねん」
ミンジュ「はぁ?」
おっちゃん「よぉ聴いてみぃ、Lim Kimが日本のCMソングを歌ってる!」
トヨタレンタリースTVCM 『乗りたい時に篇 30秒』
ミンジュ「どれどれ…あーなるほどー。確かにLim Kimっぽいなぁ」
おっちゃん「そやろ? そやねん。こんな個性的な声の主がふたりとおる訳がない」
ミンジュ「そやけど、韓国でもまだIUはおろかAileeほどの人気もないLim Kimが、日本の大手レンタカー屋のCFに抜擢されるやろうか?」
おっちゃん「なんや、疑っとるんか? よお聴いてみぃ、
♪ラララ レンタカァ…の“カァ”って上がるところがまさにLim Kimならではないか」
ミンジュ「まぁ確かにそおなんやけど」
おっちゃん「日本語の発音も完璧や。(はっ)まさかLim Kimて、日本人やったん?」
ミンジュ「んな訳あるかい」
おっちゃん「ほならこの謎をどお解く?
ひょっとして『新しき世界』のイ・ジョンジェみたいに、長期にわたって韓国に潜入している日本のスパイなのではないやろうか?」
ミンジュ「アホなの? 国際スパイがレンタカー屋のCFソングを歌うなんて、シュールすぎるがな」
おっちゃん「事実は小説よりシュールやて又吉直樹先生もゆうてはるで」
ミンジュ「ゆうてへん、ゆうてへん。
とにかく、Lim Kimが日本のCFソング歌うて決めつけてる時点でいろいろおかしゅうなっとるんや。ちゃんと調べてみよう(ばっ)」
おっちゃん「あ、ワシのiPad…」
ミンジュ「(くりくり)…あ、あった、これか…(くりくり)ほーら、Lim Kim違うやんか」
おっちゃん「えー?」
ミンジュ「日本の“中山うり”ゆう人やで」
おっちゃん「そんなパボな…」
ミンジュ「パボゆうたって、ホンマやから仕方ないやん。ほら」
中山うり『月とラクダの夢を見た』
おっちゃん「ホンマやぁ(がーん)。Lim Kimみたいなセクシーでハスキーな声の持ち主が、この世にもひとりおったとは。
しかもなんだか見た目が小劇団の女優風な、アングラな雰囲気のおねえちゃんやないか」
ミンジュ「失礼やな。個性的ゆわんかい」
おっちゃん「それにしても、日本海を挟んだ東と西で」
ミンジュ「東海な」
おっちゃん「(無視)これほどクリソツな声が存在するとは、これぞまさに平行進化。ダーウィンも真っ青や」
ミンジュ「そんな大したもんかな?」
おっちゃん「きっとLim Kimか中山うりのどちらかは有袋類に違いない」
ミンジュ「んなアホな」
おっちゃん「そんで結婚式の時は、定番の3つの袋に加えて“育児嚢も大切にしてください!”てゆわれるんや」
ミンジュ「よおそんなくだらんネタ、膨らますよなぁ(呆)」
おっちゃん「膨らますのは給料袋だけにしておいてください」
ミンジュ「ええ加減にせぇ!」
おっちゃん「しかし、このように声が平行進化するってコトは、他のモノも平行進化するんやなかろうか?」
ミンジュ「他のモノちゅうと?」
おっちゃん「例えばももクロとクレヨンポップみたいに」
ミンジュ「あー、あれはパクリやなくあくまで平行進化やったんやね」
おっちゃん「その通り。そして、ベイビーメタルとPRITZ」
ミンジュ「ぴゃー、あれも?」
おっちゃん「『マジンガーZ』と『テコンV』」
ミンジュ「そ、それは(汗)」
おっちゃん「ディズニーランドと北京石景山遊楽園」
ミンジュ「いや、あれは完全にやってるって」
おっちゃん「『釣りバカ日誌』と『エロバカ日誌』」
ミンジュ「いやーん、またイカされちゃう~って、ドアホ!」
おっちゃん「竹内まりやと西内まりや」
ミンジュ「そこか? そこに戻るんか?」
おっちゃん「そんな訳やから、自分もなにか平行進化してみたら売れるかも知れんで」
ミンジュ「そおかなぁ。例えば?」
おっちゃん「例えば、自分、ミュージカル女優やから、中村雀右衛門とか」
ミンジュ「歌舞伎の女形やないかい!」
おっちゃん「イカにも。歌舞伎とは西洋のミュージカルが平行進化したものなんや」
ミンジュ「嘘つけ。…て、もおLim Kim関係なくなっちゃった」
おっちゃん「わ、オチがハライチのパクリ(呆)」
ミンジュ「パクリちゃう! これも平行進化や」
おっちゃん「うそつけ」
※Lim Kim…1994年生まれの歌手で、本名及び活動名はキム・イェリム。Lim Kimは愛称。
アメリカでの高校留学時代に出会ったト・デユンとトゥゲウォル(二ヶ月)と言う混声ユニットを結成し、2011年Mnetのオーディション番組『スーパースターK3』で注目を浴び、デビューするきっかけとなった。
が、相方のト・デユンがまだ高校に在籍中で、学業優先なためLim Kimが先にソロでデビューし(2013年)、以後幅広い活動を行っている。
独特なハスキーボイスが特徴で、少女らしい清楚さとセクシーさがバランスした妖しい魅力で注目のソロ歌手である。
Lim Kim『Goodbye 20』
※平行進化…系統的には直接関係ない種が、似たような形態に進化すること(諸説あります)。
例えば太古に進化的には分断されたオーストラリアの有袋類のいくつかが、オオカミに対してフクロオオカミ、オセロットに対してオグロフクロネコなどのように、他の大陸のほ乳類と似た形で存在していること(収斂進化)。
当たり前だが、互いに充分情報が入手出来る日本と諸外国の環境において、このようなアイドルの進化はあり得ない。
もし似た形態のアイドルがあるとすれば、それは意図的なモノであるか、マスコミによる情報操作で故意に“似ている”とされている場合である。
例えば少女時代はデビュー初期に“韓国のモーニング娘。”などと揶揄されたが、彼女らが世界的なアーティストとなった現在、そのように呼ぶ者はいない。よって平行進化(パクリ)ではないのである。