三谷幸喜、阿川佐和子らによるトークショーも開催 和田誠の作品とともに日本のイラストレーションの歴史を辿る
『和田誠と日本のイラストレーション』矢吹申彦がデザインした本展覧会のポスター。イラストレーターたちの似顔絵は和田によるもの。
東京・墨田区のたばこと塩の博物館で9月9日(土)から10月22日(日)まで、『和田誠と日本のイラストレーション』展が開催される。
1960年代以降、日本で広く知られるようになった「イラストレーション」「イラストレーター」という言葉。その時代の日本のイラストレーション界の中心にいたのが、「ハイライト」や「週刊文春」の表紙デザインなどで知られる和田誠(わだまこと)である。
和田の足跡をたどることは、日本のイラストレーションの歴史をたどることでもあるといえる。本展覧会では、和田の仕事のみならず、和田と交流のある多くのイラストレーターの作品を展示しながら、日本のイラストレーションの歴史が紐解かれる。
名称 : 和田誠と日本のイラストレーション
会期 : 2017年9月9日(土)~10月22日(日)
主催 : たばこと塩の博物館
会場 : たばこと塩の博物館 2階特別展示室
所在地 : 東京都墨田区横川1-16-3
(とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分)
電話 : 03-3622-8801
FAX : 03-3622-8807
URL : https://www.jti.co.jp/Culture/museum/
入館料 : 大人・大学生 :100円(50円)
満65才以上の方(要証明書):50円(20円)
小・中・高校生 :50円(20円)
※( )内は20名以上の団体料金
開館時間: 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
休館日 : 月曜日(ただし、9/18、10/9は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
展示の構成と作品
この展示は、5つの構成で紹介される。和田誠の足跡を追いながら、和田の作品と合わせて関わりのあるイラストレーターの作品を展示、日本のイラストレーションの歴史を紹介する。
1.絵・ポスターを描くことへのあこがれ
絵を描くのが好きな子どもだった和田は小学4年生の頃、清水崑の政治漫画に触れ、その切り抜きを始めた。その後、自分でも似顔を描きたくなり、時間割をそれぞれの先生の似顔で作ったりするようになったという。
和田が高校2年生の頃に作った先生の似顔による時間割表〈1953年〉
2.グラフィック・デザインとの出会い
1953年の『世界のポスター展』を観て感動した和田は、「ポスターを描く人になりたい」と思うようになり、1955年、多摩美術大学に入学。在学中からいろいろな会社のデザイン賞に応募し、入選を果たした。大学3年生の時には、グラフィック・デザイナーへの登竜門である日宣美賞を受賞。その当時の先生は、資生堂宣伝部の顧問でグラフィック・デザイナーの草分けでもある山名文夫だった。
山名文夫による資生堂ポスター〈1955年〉(資生堂企業資料館所蔵)
日宣美賞を受賞した、和田誠の「夜のマルグリット」ポスター〈1957年〉
3.グラフィック・デザイナーになる
1959年、当時としては珍しかったデザイン専門の会社ライトパブリシティに入社。この頃和田は、「ハイライト」のデザインコンペに応募し入選する一方、「自分の絵を役立てるチャンスがあればいいな」との思いから、「ピース」の雑誌広告で一コマ漫画を描いた。また、映画が好きな和田は、日活名画座のポスターも手がけた。
ピースの雑誌広告シリーズのポスターバージョン。雑誌はモノクロ、ポスターではカラーの作品であった。〈1963年〉
日活名画座のポスター〈1959年〉 映画好きな和田は、とある印刷会社の社長に声をかけられ、勤務時間後に無報酬で制作した。
4.「イラストレーター」という職業
1960年代、まだ「イラストレーター」という言葉に知名度はなかった。「イラストレーション」というもの、「イラストレーター」という職業をアピールすべく、和田は同志である宇野亞喜良、横尾忠則と、イラストレーションの団体を作ろうと語り合い仲間さがしを始め、灘本唯人、山下勇三、さらには山口はるみ、長新太、伊坂芳太郎たちに声をかけ、東京イラストレーターズ・クラブを結成。年鑑の出版、展覧会の開催など、イラストレーションを広めるべく、様々な活動を行った。
宇野亞喜良によるミュージカル作品のポスター〈1967年〉 作曲:和田誠、美術:横尾忠則の名前がある。
山口はるみによるパルコポスター〈1972年〉 山口は、高校生の頃にみた和田のポスター「夜のマルグリット」に影響を受け、進むべき道が見えたという。
横尾忠則を表紙モデルにした「話の特集」〈1981年〉。この雑誌で、和田はアートディレクターを務めた。「イラストレーション=○○」とイラストレーターの名前を記載するなど、イラストレーションをアピールした。
東京イラストレーターズ・クラブの仲間・山下勇三によるヤマハのグラススキーのポスター〈1961年〉
5.イラストレーションの広がり
1967年、和田はライトパブリシティを辞め、独立。そして、雑誌の表紙、絵本の挿絵、音楽のジャケットや演劇のポスターなど幅広い分野の仕事を手がける。さらに、湯村輝彦、安西水丸、南伸坊、矢吹申彦など多くの後輩イラストレーターに影響を与え、イラストレーションは広がっていった。
1977年5月12日号
2017年7月20日号 1977年5月から描き始めた「週刊文春」の表紙は、2017年7月に2,000作目を迎えた。同じ雑誌の表紙をこれほど長く描き続けたのは、おそらく和田だけであろう。
和田が監督した映画『快盗ルビイ』のポスター(1988年公開)
作・演出=つかこうへいの『ストリッパー物語』ポスター〈1976年〉
目玉の展示はほかにも。貴重な制作風景を公開
制作現場を見せることのない和田だが、2010年にたばこと塩の博物館で開催した展覧会『和田誠の仕事』の際に、「地にはピース」をリメイクしたイラストレーションの制作風景の映像を公開した。今回の展覧会では、この映像と合わせ、未公開の制作風景も上映される。
<アニメーション作品を上映!>
展示室内では、1964年に和田が制作したアニメーション「殺人(マーダー)!」も上映される。
※定員は事前申し込み制で各回90名。応募者多数の場合は抽選となります。
※いずれも午後2時~。3階視聴覚ホールで開催。
「私の《師匠》和田誠」 矢吹申彦×吉田宏子
開催日:9月23日(土・祝)
「私の好きな和田誠」 阿川佐和子×三谷幸喜
開催日:9月24日(日)
「ウルトラポスターハリスターが語る演劇ポスターとイラストレーション」 笹目浩之
開催日:10月8日(日)
「私のイラストレーション史と和田誠」南伸坊×吉田宏子
開催日:10月14日(土)
〈申し込み方法〉
往復はがきの往信面に、住所・氏名・年齢・電話番号・希望人数(1名か2名)・ご希望のイベントいずれか1つを明記し、返信宛先面に郵便番号・住所・氏名をご記入の上、下記までご応募ください。往復はがき1通につき、1イベントの応募とさせていただきます。
申し込み締切日:2017年9月15日(金)必着
[送り先]
〒130-0003 東京都墨田区横川1-16-3
「たばこと塩の博物館 イベント係」宛
※応募者多数の場合は抽選となります。結果は返信用はがきでお知らせします。
※当選された場合も、入館料は必要となります。
「快盗ルビイ」(1988年公開・上映時間96分)
上映日:9月16日(土)
「真夜中まで」(2001年公開・上映時間109分)
上映日:10月7日(土)
※定員は当日先着順・整理券制で各回90名。
※いずれも午後2時~。3階視聴覚ホールで開催。
※観覧料無料。ただし、入館料(一般・大学生100円/満65歳以上・小・中・高校生50円)は必要です(満65歳以上は要証明書)。
※当日開館時より整理券を1名につき2枚まで配布します(配布時に人数分の入館料をいただきます)。