9・16「WWE LIVE OSAKA」は、中邑真輔のタイトル戦以外にも内容盛りだくさん! 現在進行形のスマックダウンライブが大阪上陸 無敗記録更新中のアスカも、“with”として日本公演皆勤賞!
真夏のビッグショー「サマースラム」でおこなわれたWWE王座戦、ジンダー・マハルvs中邑真輔の再戦が、中邑3度目の凱旋帰国となるWWE日本公演で実現することになった。世界最大のスポーツエンターテインメント団体WWEが、9月16日(土)エディオンアリーナ大阪で「WWE LIVE OSAKA」を開催。8・20「サマースラム」や現在の動向を受けて、当初発表されていた対戦カードが日本時間の8月29日に変更。あらためて、以下のカードが発表された。
〈王者〉ジンダー・マハル(withシン・ブラザーズ)vs〈挑戦者〉中邑真輔
▼US選手権試合トリプルスレットマッチ
〈王者〉AJスタイルズvs〈挑戦者〉ケビン・オーエンズvs〈挑戦者〉バロン・コービン
▼ラストマン・スタンディング・マッチ
ランディ・オートンvsルセフ
▼サミ・ゼインvsドルフ・ジグラー
▼3対4ハンディキャップマッチ
ナオミ&シャーロット&ベッキー・リンチ(withアスカ)vsナタリヤ&タミーナ&ラナ&カーメラ(withジェームズ・エルスワース)
その他出場予定…ニュー・デイ、ルーク・ハーパー、エリック・ローワン、エイダン・イングリッシュ
※来日タレント、対戦カードは当日まで予告なく変更される場合があります。予めご了承ください。
※王座はすべて8月22日(現地時間)スマックダウン終了時点でのもの。
スマックダウンの頂点WWE王座を争うJ・マハルと中邑。王者のマハルについては前回、NXT王座につづき2度目のWWE戴冠のチャンスを母国で得た挑戦者・中邑については前々回を参照いただくとして、本欄ではUS王座戦を中心に、見どころを探ってみようと思う。
大阪公演でのUS王座戦は、3人が同時に闘うトリプルスレット方式となる。AJスタイルズとケビン・オーエンズの攻防に割って入るのは、中邑との因縁も深いバロン・コービン。ミスター・マネー・イン・ザ・バンクとしてWWE王座を狙っていたが、権利行使に失敗。標的をUS王座に改めたということか。実際、4・11ボストンのメインではUS王座次期挑戦者決定戦にエントリーしトリプルスレットで闘っているだけに、今回の参戦についても申し分ないだろう。
新日本プロレスのエース外国人選手だったAJと、来日時にはドラゴンゲート最強外国人と言われていたオーエンズ(当時のリングネームはケビン・スティーン)。この2人がベルトをかけてWWEで激突する姿は、日本での姿を知る者にとっては実に感慨深い顔合わせである。
先にUS王座のベルトを巻いたのはオーエンズだった。4・2「レッスルマニア」で、こちらも日本になじみの深いクリス・ジェリコからタイトルを奪取。1週間後の「スーパースターシェイクアップ」でUS王者としてロウからスマックダウンにオーエンズが移籍した。新体制の初回4・11ボストンでは、AJがトリプルスレットを制しオーエンズへの挑戦権を獲得したのである。
4・30「ペイバック」で再度ジェリコが挑戦しオーエンズが敗れるも、5・2フレズノですぐに奪回。オーエンズとAJがタイトルをかけて激突したのは5・21「バックラッシュ」だった。ここではオーエンズがリングアウトで王座防衛。6・18「マネー・イン・ザ・バンク」でも、両者はマネー権をかけたラダーマッチで闘った。しかしここで勝ったのは、中邑を終盤まで退場に追いやったコービンだった。
仕切り直しのUS王座戦線には、またもやAJが参入した。次期挑戦者決定バトルロイヤルに15人が参戦し、サミ・ゼインをペレキックで場外に落したAJが勝利、ベルトへの執念をかたちにしてみせた。試合後にはオーエンズが現われ次期挑戦者を襲撃し、2人の闘いがより白熱することに。
そして7月7日、ニューヨークのマジソンスクエアガーデンで事件が起った。この日、オーエンズとAJが王座をかけて対戦。ここでAJが勝利し、タイトルが動いたのだ。テレビ中継のないハウスショーでの移動はきわめて異例。US王座を初めて奪取したAJはさっそく、4日後のサンアントニオでジョン・シナとのタイトル戦に臨んだのである(ルセフがシナを襲い試合不成立)。
しかし、このまま黙っているオーエンズではなかった。7・18バーミンガムではAJ&中邑組vsオーエンズ&コービン組がおこなわれ、オーエンズがポップアップパワーボムでAJから直接勝利。これが、7・23「バトルグラウンド」での王座奪還につながった。3度目のUS王者となったオーエンズ。しかし、2日後には悪夢を見ることになる。ジェリコを加えたトリプルスレットでのタイトル戦で、フロッグスプラッシュをジェリコに決めながらもAJにカバーを横取りされた。3カウントを奪ったのはAJのほう。怒り心頭のオーエンズはすぐにシングルでの再戦を訴え実現させるも、8・1クリーブランドではAJが防衛。この試合ではオーエンズがフィニッシュでのフォールを「肩が上がっていた」と主張。実際、挑戦者の肩がマットから離れていたようだったのだが、レフェリーが巻き込まれた直後で視界不良だった可能性が高い。この論争に終止符を打とうと「サマースラム」での再戦にレフェリーを買って出たのがスマックダウン・コミッショナーのシェイン・マクマホンだ。そして迎えた8・20「サマースラム」では、シェインがAJのスワンダイブ式450スプラッシュの誤爆をくらいながらも試合を成立させた。最後はAJがスタイルズクラッシュからオーエンズをフォール。8・22ニューヨークでも同一カードがおこなわれ、コービンがレフェリーとなるも、途中からシェインが再び裁くことに。混乱の試合は結局、AJがフェノミナルフォアアームでオーエンズを返り討ちにしてみせた。現在もこの抗争はつづいており、三つ巴での闘いが大阪で実現するというわけだ。
ランディ・オートンvsルセフのラストマン・スタンディング・マッチでは、ド迫力の攻防が展開されること必至。ピンフォール、ギブアップによる決着はなく、相手を10カウントKOするまで勝敗は決まらない。“最後に立ち上がっている男”が、勝者となる過酷なルールだ。前WWE王者のオートンは、常にWWEのトップを張るスーパースター中のスーパースターであり、この形式でトリプルHを破ったこともある。対するルセフはブルガリア出身のパワーファイター。マハルvs中邑と同じく、これもまた「サマースラム」の再戦である。このときはオートンが奇襲を受け、しばらく戦闘不能状態に陥った。が、カムバックすると必殺RKOを決め、秒殺勝利を飾ってみせた。が、大阪ではラストマンスタンディングルールとあってじっくりした攻防が期待できるだろう。オートンのRKOが再び爆発するか、それともルセフがアコレードでオートンを落とすのか。最後にリング上で立っているのは…?
サミ・ゼインvsドルフ・ジグラーも注目の一騎打ちだ。ゼインは中邑のNXTデビュー戦の相手であり、ジグラーは中邑スマックダウン昇格の第一抗争相手だった。どちらも試合巧者でありながら、対照的でもある。ゼインはエル・ジェネリコというマスクマンとして世界のインディーシーンを渡り歩き、日本のDDTでも活躍、日本武道館でも闘っている。ジグラーはオートン同様に常にWWEの最前線に君臨。どんな相手でも好勝負を連発させている。それだけに、このカードが目の肥えた日本のファンを前に実現されることが興味深い。
女子の試合は、ナオミ&シャーロット&ベッキー・リンチ(withアスカ)vsナタリヤ&タミーナ&ラナ&カーメラ(withジェームズ・エルスワース)のハンディ戦。当初はアスカの凱旋試合が予定されていたのだが、8・19「NXT テイクオーバー ブルックリンⅢ」でのエンバー・ムーン戦で鎖骨を骨折してしまった。NXT女子王座はアスカロックで勝利し王座を守るも、試合には出られない状況となったのだ。それでも大阪公演には“with”として参加。NXTデビュー以来の連勝は一時ストップも、WWE日本公演での皆勤賞がつづくことになる。試合をおこなうのは、スマックダウン女子王者のナタリヤをはじめとするスマックダウンのメインロースターたち。記憶に新しい6・30&7・1両国では、ロウの女子スーパースターたちと闘った。メインロースター昇格の噂もあるだけに、スマックダウン勢が中心の大阪公演は、期待される近未来に向けての“視察戦”になるかもしれない。大阪公演は、その他数試合が加わる予定である。
このように、中邑のタイトルマッチはもちろんのこと、9・16「WWE LIVE OSAKA」は内容盛りだくさんの見どころ満載。一夜限りの“オーサカライブ”を見逃すな!
文=新井 宏