湖月わたるインタビュー~宝塚OGの新たな可能性が花開く舞台、オリジナルショー『Pukul~プクル~』に出演 

インタビュー
舞台
2017.12.6
湖月わたる (撮影=中田智章)

湖月わたる (撮影=中田智章)

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宝塚歌劇100周年を契機に数多く作られてきた宝塚OGが集結したステージの、全く新しい第一歩として、多彩な宝塚OGと実力派男優が共に創り上げるオリジナルショー Cosmos Symphony『Pukul~プクル~』─時を刻む愛の鼓動─が、12月9日(土)から16日(土)まで東京・日本青年館大ホール、同月21日(木)から25日(月)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。

本作は、斬新な振付で数多くの話題作を発信し続ける演出家の謝珠栄がストーリー仕立てで紡ぐ、ダンスと歌で構成されたオリジナルショーだ。ACT1は偉大なる創造主によって宇宙が、そして人類が生まれる生命の鼓動を壮大に、ACT2ではその人類が生み出すリズムと音楽に溢れた鼓動を、ジャジーに華やかに展開するショー作品となっている。

そんな作品に出演する湖月わたるが、新たなショー作品にかける意気込み、謝珠栄作品と振付の魅力、更に宝塚を土台にこれまで築き上げてきた様々な経験について語ってくれた。

■毎日観たい!と思える「鼓動」をキーワードにガラリと変わる二つのショー

──宝塚時代からご縁の深かった謝珠栄先生の新作オリジナルショーに出演が決まった時の心境から教えてください。

「遂に来た!」と思いました。謝先生には宝塚在団中も卒業後も大変お世話になっていて、その中で「いつかこういうショーをやりたい!」とずっとおっしゃっていましたから、まさに「待ちに待った時が来た!」と。先生とは『ディアナ』という作品でご一緒して以来7年ぶりのお仕事になりますが、この7年の自分を振り返ると、水夏希さんと挑戦してきたダンスシリーズでヒップホップ、ジャズ、タンゴ、フラメンコに取り組んで来ましたし、ミュージカル『CHICAGO』ではフォッシースタイルも勉強しました。一方、宝塚100周年を記念した多くのOG公演にも出演して、再び男役として踊る機会にも恵まれ、本当にダンスと濃く携わってきた年月だったので、「これが今の私です、先生どうぞ料理してください!」という気持ちです。

──作品も宇宙と生命の旅といった、壮大なテーマが描かれていますね。

タイトルの「Pukul」は時や、鼓動という意味なんです。宇宙から地球を見る映像はとても綺麗ですよね。ACT1ではそういう宇宙から感じる地球の鼓動、様々な苦難を超えた生命の誕生など、神秘的な「謝先生ワールド」が描かれます。その中で私は、アディティア、太陽として登場します。太陽が地球に与える鼓動を、韓国の三面太鼓で情熱的に表現するのですが、衣装がとてもセクシーで、ちょっとお腹も露出するかな(笑)、そして地球を凍らす雪の女王となり、クールに踊ります。更にACT2はガラリと変わって、地球から生まれてきた人々の鼓動を、ナット・キング・コールさん、スティーヴィー・ワンダーさんなど、皆さんが絶対に聞いたことがある音楽の新たなアレンジで踊ります。全体はもちろん謝先生が統括されますが、今宝塚でも外部でも大変な人気のKAORIaliveさんも振付に入ってくださいます。KAORIaliveさんは、スピーディな中に妖艶さがあり、更に群舞のフォーメーションで魅せる振付をなさる方で、私は今回初めて振付を受けるので、とても楽しみにしています​。

──では、ひとつの作品でガラっと変わる二つのショーが楽しめるのですね。

そうですね。ACT1は私たちが皆さんを誘い、ACT2は皆さんと共に旅をするというイメージでしょうか。そこに「鼓動」というキーワードがしっかりとつながっていきます。女性は全員宝塚OGですが、それぞれがこれまで培ってきたものを集結させますし、男性陣は歌とダンスの実力派揃い、更に日替わりで歌のスペシャリストの方たち、姿月あさとさん、春野寿美礼さん、彩吹真央さんも登場しますので、とても贅沢な内容になります。

──それは確かに「毎日観たい!」という贅沢さですね!

そう言ってもらえると本当に嬉しいです。是非日替わりの各バージョンを観て頂きたいです!

■男役スイッチと女優スイッチ、元イケメンの新たな可能性を楽しんで欲しい

──アフターイベントに「元イケメン×イケメントーク」という楽しいものも用意されていますね。宝塚100周年を契機に様々なOG公演が企画されて、どれも素晴らしいものでしたが、今回そこに男性陣が加わるというのが新たな展開ですね。

宝塚OGだけが集まった公演にも、本当に様々な可能性があると感じてきましたが、今回そこに男性陣が加わることによって、更に大きく可能性が広がると思います。リフトひとつ取ってもやはり男性がいると、全く違う見せ方ができますし、私たち「元イケメン」も(笑)、マニッシュな面だけでなく、女性的な面も見せられると思います。

──では、男役として培ったものと、女優として培ったものの二面性が見られるのですね。

そう思います。ただ、蘭乃はなちゃんや舞羽美海ちゃんが隣にいると、きっと自然に「男役スイッチ」が入るだろうなと(笑)。やはり娘役さんがいると、このスイッチがパチッと入るので! 男役とは全然違う華やかさを出してくれますし、現役時代には組んだことのなかった娘役さんたちですから、新たなカップリングも楽しんで頂けると思います。もちろん、男性陣の前にいけば、今度は女優スイッチが入るでしょう。そういった意味でも、このメンバーとの出会い、このメンバーだからこその、ステージになっていくはずですから、私自身もワクワクしています。特に今回はこれまでのOG公演とは違って、新たなオリジナルショーなので、宝塚時代に歌ってきた懐かしい歌を聞いていただくのではなく、すべて新しいものを創っていきます。宝塚OGの持っている可能性が更に花開く、新たな第一歩を刻む公演になる、そうしたなければ!という意欲でいっぱいです。そんな公演を率いるのが謝先生なので、私たちの良いところや、その人らしさは必ず取り入れながら「ここはもっとできるよね!」と、新しいものも引き出してくださるはずなので、全員で高め合って最高の舞台を創りたいです。

■宝塚という永遠の土台の上に、新たな自分を構築し続けていきたい

──謝珠栄振付の魅力についてはどうですか?

「全身全霊」という言葉そのものです。宝塚でも名シーンが数々ありますが、やはり代表的なものが『シトラスの風』の「明日へのエナジー」で、宙組発足の記念すべきショーの中でも、特にセンセーショナルなシーンとして、再演が繰り返される名場面になりました。男役は普段ヒールのある靴で踊るのですが、謝先生の場面はダンスシューズで、床に滑り込む、ジャンプする等、空間全部を使った躍動感溢れるダンスになります。しかも最後はダンサーも歌い、シンガーも踊り、まさに全員が全身全霊で取り組みました。各組から集まったメンバーが「宙組」として1つになれたのは、あのシーンがあったからこそだと思います。ですから今回の舞台でも、顔ぶれを見ると一応ダンサーとシンガーに分かれてはいるのですが、きっと先生が「ここは踊れるよね!」「皆歌えるよね!」と現場で垣根を越えていくだろうと思います。「きっとできる!」と思わせてくれるのが謝先生の魅力です。

──そんな「きっとできる!」という新しい挑戦に当たって、先ほどもお話に出ました『CHICAGO』への出演など、湖月さんが経て来た特別の経験は大いに力になりますよね。

アディティア、太陽という役を頂いた時に、フォッシースタイルの肉体だけで勝負する、すべてをそぎ落とした表現と技術が必要になるだろうと思いました。それは『グランドホテル』で演じた「死のダンサー」でも感じたのですが、この世に存在していない役でしたから、歩き方しか練習していなかったんじゃないか、というくらい歩き方を稽古し続けた時に、フォッシースタイルの繊細な表現が重要な拠り所になったんです。ですから、宝塚で学んだ大きく見せる技術と、フォッシースタイルで学んだ僅かな肉体の動きで見せる表現、双方が活かせる舞台になっていくと思います。新しい舞台に立つ度に、新たな自分を粘土のように構築していくのですが、やはり私にとってその粘土の土台が宝塚であることは永遠に変わりませんし、『CHICAGO』のアメリカのカンパニーに参加した時には、ほぼ男役時代のような腹の据わり方で、両足を踏みしめて舞台に立っていて、男役を経験していなかったらこの役柄が果たしてできただろうか?と思うほどでした。やはりここまで経て来たすべてが、今の私を創ってくれていると思いますので、今回の舞台もそれらすべてを使って挑んていきたいです。

──では、その新たな舞台『Pukul~プクル』を楽しみにされている方々にメッセージを。

とても幻想的でエネルギッシュで「生きている!」ということを感じていただける舞台になると思います。これは劇場でしか体感できないですし、必ず「明日も頑張ろう!」というエネルギーを発信します! 是非私たちと一緒に『Pukul』の世界を旅しにいらしてください! お待ちしています​!

取材・文=橘涼香  写真撮影=中田智章

公演情報
Cosmos Sympony『Pukul~プクル』─時を刻む愛の鼓動─


■構成・演出・振付:謝 珠栄
■音楽:玉麻尚一 長谷川雅大
■振付謝 珠栄 KAORIalive ほか
■Regular Cast -全日程出演- 
湖月わたる 水夏希 蘭乃はな 舞羽美海 坂元健児 大貫勇輔 島地保武/ 岡幸二郎 
千田真司 神谷直樹 舞城のどか 鶴美舞夕 ほか 
■Special Cast -日程別出演- 
姿月あさと 春野寿美礼 彩吹真央
■公式サイト:http://www.umegei.com/pukul/
 
<東京公演>
■会場:日本青年館ホール
■日程:2017年12月9日(土)~16日(土)
■料金 S席11,000円 A席7,000円(全席指定・税込) 
■問い合わせ:梅田芸術劇場 0570-077-039 (10:00~18:00)
■イベント詳細
〇12/9(土)12:30公演:初日スペシャルカーテンコール 
〇12/10(日)17:30公演:タカラヅカメモリートーク (湖月わたる、水 夏希、蘭乃はな、舞羽美海、姿月あさと) 
〇12/12(火)18:00公演:お楽しみ抽選会&ご来場者全員プレゼント 
〇12/14(木)18:00公演:キャストによるお楽しみ抽選会&ご来場者全員プレゼント 
〇12/15(金)18:00公演:元イケメン×イケメントーク (湖月わたる、水 夏希、彩吹真央×岡幸二郎、坂元健児、大貫勇輔、島地保武)

 
<大阪公演>
■会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
■日程:2017年12月21日(木)~25日(月)
■料金:全席11,000円(全席指定・税込)
■問い合わせ:梅田芸術劇場 06-6377-3888(10:00~18:00)
■イベント詳細
〇12/21(木)18:00公演:初日スペシャルカーテンコール 
〇12/23(土)17:30公演:キャストによるお楽しみ抽選会&来場者全員プレゼント 
〇12/24(日)17:30公演:タカラヅカメモリートーク (湖月わたる、水 夏希、蘭乃はな、舞羽美海、彩吹真央)

 
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