Album Review: 大人の色気を楽曲のコンセプトとしたセレーナ・ゴメスの新作『リバイバル』

コラム
音楽
2015.9.24

 先行シングル「グッド・フォー・ユー」が、米ビルボード・シングル・チャート5位まで上昇中(10月3日付現在)、セレーナ初のTOP5入りを果たした、9月最終週。いよいよ来月初頭、10月9日にセレーナ・ゴメスの2ndアルバム『リバイバル』がリリースされる。公開されたアルバム・アートでは、トップレスを披露し、発売前から何かと話題が絶えない本作だが、話題性のみならず、自身も積極的に楽曲制作に携わってることも、本作の注目したいポイントのひとつ。

 エキゾチックかつ、究極のフェミニンスタイルで聴き手を魅了する、セレーナ・ゴメス。「カム&ゲット・イット」や「スロー・ダウン」など、他の若手シンガーとは違う、個性的なトラックを放ってきたが、昨年大ヒットした「ザ・ハート・ウォンツ・ホワット・イト・ウォンツ」では、さらに“大人の色気”をアプローチし、それをセレーナの強みと確立させた。そのアダルトなムードをそのまま引用したのが「グッド・フォー・ユー」だ。

 ラッパー、エイサップ・ロッキーをゲストにむかえたこの曲は、さらに色気が増した、セレーナのファルセットが映えるミッドチューン。ポップ・ソングというよりは、R&Bやヒップホップにも通ずるナンバーで、本作『リバイバル』にも、ラップソングに影響を受けたトラックや、アダルト・コンテンポラリーがべースにあるという。2ndシングルとしてリリースされたばかりの「セイム・オールド・ラヴ」も、美白路線とR&Bをうまくマッチさせた力作だ。

 その「セイム・オールド・ラヴ」には、昨年「ファンシー」の大ヒットで、イギー・アゼリアと共に一躍時のヒトとなった、チャーリーXCXがクレジットされている。その他、アリアナ・グランデやザ・ウィークエンドといった、最先端のアーティストを手掛けるマックス・マーティンが「ハンズ・トゥ・マイセルフ」に、デミ・ロヴァートやフィフス・ハーモニーのヒットで名を知らしめた、ジュリア・マイケルズは、「グッド・フォー・ユー」はじめ、全面的にアルバム制作に参加している。

 本作は、インタースコープ・レコードへ移籍しての第1弾となるアルバム。首位デビューを果たした、処女作『スターズ・ダンス』に続いて、2作連続のNo.1獲得は目前といったところだが、ヒット云々より“内容の充実”に着眼点をおきたい。流行を重視し過ぎず、実験的にもなり過ぎず、程よく尖っている。“アイドルでしょ?”と食わず嫌いの年配層にも、すんなり受け入れられるアーバンな仕上がりで、ファン層も拡大するだろう。もはや、女優であることや、ジャスティン・ビーバーの元彼女なんて代名詞は、セレーナの看板じゃない。シンガーとして確立した、満を持しての傑作だ。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『リバイバル』
セレーナ・ゴメス
2015/10/09 RELEASE
2,376円(tax incl.)

 

Billboard Japan
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