2つのツアーで巡る、混浴温泉世界
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ふたつのツアーと、街。
今年の混浴温泉世界、かなり特異なスタイルで展開しています。
というのも、主軸となる作品群を巡る「アートゲートクルーズ」はツアーでしか鑑賞できない仕掛けですし、「ベップ・秘密のナイトダンスツアー」は、案内人に連れられ、週替わりで街のあちこちが会場になり、両ツアーとも別府に潜り込んでいくようなマニアックな場所で展開されていきます。町歩きする中で、地元の人でさえ「こんな場所あったのか!」と驚くほど。
まずは、アートゲートクルーズ。別府駅構内のインフォメーションに集合しスタートします。
出発前の注意事項等の説明の中に「道筋などがわかってしまう写真撮影はNG」とあり、この秘密の冒険を参加者だけで共有するという静かな高揚感がたまりません。
別府にはこのような路地裏がたくさんあります。
そして、ベップ・秘密のナイトダンスツアー。
毎週末3~4組のパフォーマーによって行われてきたダンスツアーは、会場も週替わりです。幅広く多様な持ち味の身体表現を濃密に楽しめるだけでなく、ツアー形式だけあって鑑賞者はまるでハーメルンの笛吹きさながらに街を練り歩きます。アーケードや温泉、高架橋下商店街など、街のいたるところにパフォーマーが潜み、パプニングのようにコトが起こっていきます。
雨の中でも熱演する"大東京舞踊団"
今回も大人気だった"The NOBEBO"による金粉ショー
市営温泉施設の広場での公演
今でも流しが成り立つ飲食街で、焼き鳥屋店主が公演を応援したり、酔っ払いが楽しんだりと、なんだか街の雰囲気が醸し出す昭和的ファンタジーに拍車をかけるのが、評価をダイレクトに演者へ投げる「おひねり」システム。生まれも育ちも別府の山本善之氏(通称ライスボール山本)が考案・実施していて、前回2012年の混浴温泉世界から氏が勝手に始めたことなのですが、それが別府らしい情緒も公演の一体感も倍増させています。氏の陰ながらの努力によって定着し、パフォーマーも励まし、主催者も快く容認しているというのは、地方でのアートフェスの体温と愛のある象徴的な事例でしょう。
毎回インフォメーションセンターでおひねり用紙(自前)を配布する山本氏
トリエンナーレ形式で行われてきた「混浴温泉世界」は、今回をもって終了すると予告されています。しかしそこには全く悲壮感はなく、むしろ今後、別府の街や別府のアートシーンがどのような変化を遂げていくのか、皆、期待を膨らましているのではないでしょうか。
日時:2015年7月18日〜9月27日
会場:大分県別府市内各所(中心市街地/鉄輪地区)※定休日はプログラムごとに異なる
公式ウェブサイト:http://mixedbathingworld.com