"世界屈指の格闘技レース"がもてぎにやってくる! FIA 世界ツーリングカー選手権の第8戦開催
“世界屈指の格闘技レース”が日本にやってくる。『2017 FIA 世界ツーリングカー選手権シリーズ JVCKENWOOD 日本ラウンド(WTCC)』が28日~29日、ツインリンクもてぎで行われる。
FIA(世界自動車連盟)が管轄する「世界選手権」を冠するレースは、タイヤがむき出しで屋根がない単座席競技専用として造られたF1をはじめとして、大自然の中を走るWRC(ラリー)、24時間など長時間を止まらずに走り続けるWEC(耐久)、そしてスプリントレースのWTCC(World Touring Car Championship)がある。
F1はモータースポーツ最高のスピードを求めたレースで、WRCはさまざまなハザードのある自然の大地を克服する面白さがある。そして、耐久レースはMAXスピードをどれだけ長く続けられるかという過酷なレースである。しかし、このWTCCはスプリントレースなので、とにかく1周が、いや1コーナーが勝負となる。抜きつ抜かれつの激しいバトルが繰り広げられ、ある意味一番エキサイティングなレースとも言える。
もちろん、わざとぶつかり合うことは禁止されているし、そういう危険な行為をするドライバーもいない。しかし、とにかく“短期決戦”であるがゆえ、各プロドライバーたちも「少しでも前に」という気持ちが前面に出てくるため、ホイール・トゥ・ホイールは当たり前。観ている方はその激しさに虜になっていく。
今季のWTCCは全10ラウンド。もてぎで行われるのは8戦目で、チャンピオンシップには重要な意味を持つレースとなる。現在、チャンピオンシップをリードしているのはテッド・ビョーク(スウェーデン、Polestar Cyan Racing、Volvo S60 Polestar)の200.5ポイント。続く2位につけているのはティアゴ・モンテイロ(ポルトガル、Castrol Honda World Touring Car Team、Honda Civic WTCC)の200ポイントでその差はわずか0.5ポイントしかない。3位も198.5ポイントと厘差で、ノルベルト・ミケリス(ハンガリー、Castrol Honda World Touring Car Team、Honda Civic WTCC)が追走している状況だ。
今年からレギュラー参戦している道上龍の凱旋ドライブにも注目だ。慣れないWTCCカーと初めて走るサーキットに戸惑いがあったが、走り馴染んだもてぎでは本来の力を発揮できるはず。前回の中国ラウンドでは初の2レース(オープニングレース、メインレース)で入賞を果たし、コンストラクターズ(マニファクチャラーズ)にも貢献、ワークスはボルボ(635.5ポイント)とホンダ(640.5ポイント)の一騎打ちで、その差もわずかのため(中国ラウンド前は2ポイント差でボルボが1位)、道上のもてぎでのパフォーマンスも重要な意味を持つ。
その他、プライベーターチームに与えられるWTCCトロフィーも、毎レースごとに順位が入れ替わるほど熾烈な戦いになっている。現在は、トム・チルトン(イギリス、Sébastien Loeb Racing、Citroën C-Elysée WTCC)が92ポイントでトップ。ロバート・ハフ(イギリス、ALL-INKL.COM Münnich Motorsport、Citroën C-Elysée WTCC)が88ポイントと2位につけている。その下の3、4位はそれぞれメフディ・ベナーニ(モロッコ、Sébastien Loeb Racing、Citroën C-Elysée WTCC)が87ポイント、エステバン・ゲリエリ(アルゼンチン、Campos Racing、Chevrolet RML Cruze TC1)が85ポイント。この4人が頭一つ抜け出しているだけに、この部門での争いもあわせて、“格闘技レース”が勃発する可能性もある。
いずれにしても、2レース制で予選の順位もポイントに加算されるWTCC。最初から最後まで目が離せないスプリントレースのWTCC日本ラウンド、モータースポーツファンなら絶対に観ておかなくてはならない必見レースだ。