ミラノ大聖堂聖歌隊<グレゴリオ聖歌>と真言宗<声明>がコラボレーション
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(声明のみ→アクロス福岡提供 写真:椎原一久)
ミラノ大聖堂聖歌隊による<グレゴリオ聖歌>と真言宗青教連法親会による<真言宗声明>。通常コンサートホールでは滅多に出会えない、二つの異なる宗教、異なる歌声のコラボレーションが2017年12月1日、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて実現する。
天上から舞い降りる静かな安らぎと喜びの音楽<グレゴリオ聖歌>と、地から湧き上がる魂の音楽<真言宗声明>、どちらも1000年を超える歴史を持ち、伝承され続けてきた宗教音楽。それぞれの独自の音楽が響きあい、そして重なり合い、現代社会にも通用する普遍的な祈りと、感謝による特別な時間が生まれる。
その東西の祈りの歌声の対比。そしてその融合から生まれる、新しい世界を“コンサート”として聴けるのは極めて貴重なことだ。
<グレゴリオ聖歌とは?>
-西洋音楽の源とされる聖歌-
その起源は8世紀の終わり頃に遡る、ローマ・カトリック教会で用いられる単旋律、無伴奏の宗教音楽。
現在の五線譜の原型である「ネウマ譜」と呼ばれる譜面にラテン語で書かれたものが今日でも残されている。
ミサや聖務日課といったカトリック教会の典礼で歌われるラテン語の歌で、レパートリーは全て暗記され、口承されてきたと考えられている。
言葉の抑揚と旋律の動きに合わせた特有のリズムを持っている。その豊かな旋律にのせて語られる聖書の言葉、祝祭の内容を伝える言葉、神をたたえる言葉は、天上から舞い降りる、永遠のなかに漂うかのような響きで、1000年の歴史を持つ聖歌にふさわしく、安らぎと静かな喜びをもたらす。
ミラノ大聖堂聖歌隊
<真言宗声明とは?>
-日本音楽の源とされる声明-
仏教儀式において僧侶が仏陀(釈迦、ゴータマ・ブッダ)の説いた経典や、あるいはそれらを解説した文章を暗記し朗唱する際に旋律をつけて唱えたもので、9世紀始めに弘法大師空海が中国から伝え、伝承されてきた無伴奏の宗教音楽。
グレゴリオ聖歌と同様に1000年の歴史を持つ声明は、現代社会の喧噪の中で静かなブームとなっている。
中でも、天台声明と並び二大流派といわれる真言宗声明は、男性的なダイナミックさが特徴で、その地から湧き上がる響きは、魂の音楽と称するにふさわしいものだ。
アクロス福岡提供 写真:椎原一久
■ミラノ大聖堂聖歌隊 指揮者クラウディオ・リヴァ氏インタビューより抜粋
言葉は通じなくても心がつながりました。声明の歌唱法がいにしえの聖歌の歌い方に似ている点もあり、悠久のロマンを感じました。今回の聴きどころは『融合』です。宗教の差を越えて、それぞれの精神性を持ちながらも一つになっていく、普遍的なものをお届けします。世界でも貴重で特別な共演の場で、その空間に身を委ね、今まで体験したことのない『融合』を感じ取ってみてください。
■真言宗青教連法親会 堤大恵氏インタビューより抜粋
“日本の声楽の原点”といわれる声明の深い芸術性、日本の伝統文化を、祈りと感謝の気持ちを込めて、伝承したいと思います。宗教音楽は本来、死者を弔うものではなく、真摯に生きる人たちへ向けたメッセージです。いま生きている私たちが、いかに生きていくかを奮い立たせるものでもあります。生きている喜びや希望を、音楽を通じてより深く感じていただきたいです。
【動画】ミラノ大聖堂聖歌隊 グレゴリオ聖歌 & 真言宗 声明 PV
■日時:2017/12/1(金)18:30開演
■出演:
ミラノ大聖堂聖歌隊/クラウディオ・リヴァ(指揮)
真言宗青教連法親会
■プログラム:
〈第一部〉真言宗声明
散華(さんげ)
唱礼(しょうれい)
称名礼(しょうみょうらい) 他
公現祭の晩課のルチェルナリウム「なぜならあなたこそ輝かせ・あなたのもとには」
公現祭の晩課の賛歌「いと高きものよ、輝かせ」
降誕祭の晩課のレスポンソリウム「今日わたしたちに」
待降節第4主日のマニフィカト・アンティフォナ「すべての民」
主日ミサ通常唱のグロリア
降誕祭ミサのアレルヤ唱「今日」
降誕祭ミサの奉納唱「見よ、神殿は開かれ」
感謝の賛歌「テ・デウム」
声明:露地偈(ろじのげ)
グレゴリオ聖歌:アンティフォナ(交唱)「異邦の者が我に逆らいて立ち」
詩篇第54編「主よ、御名によって」
声明:理趣経善哉譜 (りしゅきょうせんざいふ)
グレゴリオ聖歌:第4ミサのキリエ