東京03第17回単独公演、11月は大阪2days!

インタビュー
舞台
2015.9.29
左から、豊本明長、飯塚悟志、角田晃広

左から、豊本明長、飯塚悟志、角田晃広

第17回単独公演「時間に解決させないで」全国7都市ツアー

キングオブコント2009年の覇者にしてテレビ、ラジオ、ライブで活躍する人気お笑いトリオ「東京03」。時に演劇的とも評される緻密な筋書きと完成度の高さから、あの人気俳優・堺雅人もファンを公言する。一昨年には10周年の節目を迎え充実期を迎えた彼らが、年末年始に全国7都市を巡る単独公演ツアーを開催する。

大阪では過去最大規模となる駅前劇場「サンケイホールブリーゼ」2daysが決定! どんな内容で盛り上げてくれるのか。9月某日、来阪中の3人を直撃した。

―――第17回単独ライブツアー「時間に解決させないで」が決定しました! 大阪へは09年「TOKY03 BEST LIVEトウキョウ、ゼロサン」を含め、7回目の登場です。



飯塚「大阪で初めてやらせて頂いた時はびびりましたね。オープニングコントはどこよりもウケずに……」

角田「ほらみたことかと。東京の人にはあるんですよ。笑いの本場でやるっていうイメージが。ベストライブで臨んでて、ウケてきたという自負がある中で…」

飯塚「しかも、オープニングコントの中ではいまだに一番気に入ってるコントなんですよ! 『BAR』といって、バーテンダーが長らく振っていたカクテルを最終的にこぼしちゃうっていう。シンプルなネタなんですけど」

角田「昨日仕事でご一緒したバナナマンの日村さんも『時々見たくなる』と、言ってくれるほどのネタなんです!」

飯塚「そこで日村さんの名前出すの(笑)? ただ、あの時はオープニングこそウケなかったけど、エンディングの一番長いコントはどこよりも盛り上がってくれた! 一個のライブの中で受け入れて貰えたという印象がありました。そこからしばらくはまだ、怖かったですけど」

豊本「次のライブまで期間が開くので。慣れた気持ちもリセットされる」

飯塚「ここ2年ぐらいですね。受け入れて頂けてるな~って感覚があるのは」

―――今回の第17回単独公演「時間に解決させないで」はどんな構成に?

飯塚「いまネタ作りの最中でございまして、今回も7本ぐらいでやるつもりです」

角田「ネタの合間に映像とオリジナルの歌も交えて。あと物販では(僕が歌う)CDを販売しています」

飯塚「これが売れないんですよね~」

角田「とか言うからー!」

飯塚「売れない理由? 時代ですね。配信の時代です」

―――(笑)。前回に引き続きタイトルもユニークです。

飯塚「一応単独公演は美術から世界観まで、3部作で1個完結させているので。今回は人を慰めるようないい言葉を否定するような縛りを考えて。前回の『あるがままの君でいないで』に続く2作目です。こういう慰め方って、人によるなって。今回のタイトルで言えば、僕の場合『いやいや、ぼーっとしてる間に解決策を考えたら?』って思っちゃう」

角田「お前はとくにな! 飯塚さんのツッコミ目線みたいなことですよね」

豊本「僕は今回のタイトルを聞いたとき、うまいこと付けたな~と。縛りがある中で、自分では考えても思いつかないので」

角田「いいタイトルだと刺さっちゃうんですよね~。『俺、時間に解決させてたな…』って。苦しいのは嫌だけど、苦しくないのは響かないし…」

飯塚「ジレンマだね(笑)」

―――東京03のネタは、“演劇的”と評されるほど設定が作り込まれています。平均10分程度の長いものが多いですよね。

飯塚「中には前振りに5分ぐらい費やすネタもある。振りが長ければ長いほど最初のツボにハマったときに、大きな笑いがくる。そういう計算でやってるので。僕らは長い尺を頂いた方がやりやすい。テレビ番組だと30秒に1回ぐらいの割合で笑いを取らないとダメなので。長い振りのネタは、舞台ならではだと思いますよね」

―――ネタのアイデアはどこから?

飯塚「ネタは僕と角ちゃんで考えて、豊本は僕らが書いた手書きの原稿をパソコンで打ち出してプリントアウトしてくれる係り。結局ネタに関しては、角ちゃんや豊本なりがモデルになることが多いですね」

―――実話ですか!?

角田「過去にはありましたよ。まんま実話というのが! 飯塚さんは視点が鋭い。すぐ『今の必要?』とくる。以前はそれも突っぱねていたんですけど。気づいたらネタにされて、お客さんにウケたりとかするわけじゃないですか! 俺ってズレてるのかな……と気づかされます。飯塚の鋭い指摘は正しいんだなと、自覚せざるを得ない」

豊本「従わされる側の人々です(笑)」

―――逆に飯塚さんが、お二人から指摘を受けることは?

飯塚「ふたりは人に興味がないんですよ。僕が見るほどに、僕を見てくれない」

角田「淋しいみたいですよ(笑)。人に興味がないって発想は僕の中にはなかったんですけど。自分が好き! それは間違いなくその通りだなと」

豊本「俺は自分が好きなのかな。……分かんないですね」

飯塚「お前は自分大好きだよ!! 隠し切れない自己顕示欲がすごい。うわ、出た!って、瞬間がすごいですよね」

角田「うははは(笑)」

豊本「むふふふ(笑)」

―――何か、決定的な出来事が!?

飯塚「以前、豊本にピンでドラマの仕事が入って、それを伝えたんですよ。ストーカーみたいな気持ち悪い役らしいけどって。そしたら、『失礼しちゃう!』って。聞いたこともないようなオネエ言葉で返したんですよ。こいつ相当機嫌いいな!って」

豊本「ウキウキしてたな~あれは(笑)」

角田「見つけるよねー」

飯塚「僕は他人の変だな、嫌だなと思う部分に目がいっちゃう。自分の体験をネタにして笑うことで、ストレスを解消している部分もあると思う。だから、同じ体験をした人には、絶対に楽しんで貰える自信があります! あと、毎回ライブを見に来てくださるミュージシャンの方に『東京03は痒いところに手が届くのが好き』と言って貰えたことがあって。なるほどなと」

豊本「それで言えば、以前から僕らのファンというイラストレーターの方は、はっとさせられると。僕らのネタに『あ、俺がいる』って思うらしいです」

角田「それ、よく聞きますね」

飯塚「笑えないんでしょ?」

豊本「最初に俺だ!と気づいたときには笑えないんだけど、最終的にはなんか救われた気がするって」

角田「多分、お客さんが思い当ってしまう役って、俺が演じることが多いと思うんですよ。だからこそ、俺の役がコントで自分の言い分をぶちまけることで、見る人も救われるんじゃないかな。日常生活では言えないからね」

飯塚「一応どっちの言い分も言うからね。アンケートとかで嬉しいのは、昔は全然分からなかったけど、社会に出ていま急激に好きになったと書いてくれる人がいて。そういうのは嬉しいですね」

―――ネタ作りの際、これだけは使わない禁じ手とかありますか?

飯塚「コントの設定として、その人物が言わないような台詞は使わない。例えウケそうだなと思っても」

―――笑いが起こると分かっていても?

飯塚「それやっちゃうと、昔に逆戻りしちゃう。コンビ(豊本さんとのお笑いコンビ「アルファルファ」)の時に散々やってきたことなので。ウケるけど自分たちは全然面白くない。だから何なんだ!という気持ちになる。今は自分たちがちゃんと面白いと思ったものをやって、その中でお客さんも笑ってもらわないと、僕たちのコントは成立しない」

豊本「コンビのときはよくネタ作りで煮詰まると、もう1人いたらな~と飯塚さんが言うのは聞いていたので。それが、3人になってから意味が分かるんですけど。ようは話の展開をつけやすい」

―――トリオだから成立した部分もあるんですね。

飯塚「コンビだと、ぶっ飛んだ台詞にツッコミを入れての繰り返し。いつ終わらせてもいいような感じで。でもそこに1人入るだけで、ドラマが生まれるような気がした。実際にそうなりましたね」

角田「逆に僕はコンビとかやったことがないので。以前のトリオでは3人であることを生かしたネタ作りじゃなかったと思う。3人は多いなと感じていたぐらいで。でも今は楽しいですね。だって、どの役にも存在意義があるので」

豊本「これは僕だけの感情かもしれないですけど。僕は2人の後から舞台に出ることが多くて。先に出た2人がウケてたりすると、よしよし!って嬉しい気持ちになる。コンビでは体験できないことだなって」

角田「確かに。そりゃ嬉しいよね」

飯塚「あと3人で良かったのは状況説明がラクなこと。コンビだと『ここかぁ、変な店員がいるという喫茶店は~』とか全部自分で説明しなくちゃいけない」

豊本「『じゃあ、入ってみようかな。カラン、コロ~ン』みたいな(笑)」

―――さて、6月の『東京03 FROLIC A HOLIC ラブストーリー「取り返しのつかない姿」』@赤坂ACTシアターに続き、9月の『ゴットタン マジ歌ライブ2015 in東京国際フォーラム ~9年目の本気がここにある』では、角田さんが5千人を前に歌声を披露しました。

角田「凄かったですね。今回は大竹(角田さんのバンドメンバーで担当を離れた元マネージャー)いないの!? で、5千人がシーンとなったときは怖かったです」

飯塚「僕らは舞台袖から角ちゃんの雄姿を見届けて。ステージからの眺めは別格でした。とにかく人の数が圧巻だった!」

豊本「上の方までお客さんがびっちり埋まってて。良く見えるから近くに感じた」

角田「次は武道館なんて声も現実味を帯びて来て、凄いですよね~。いつか武道館に立てたら、後はどうなってもいいですよね(笑)」

―――バナナマン、おぎやはぎ、劇団ひとり、バカリズムなど。同世代の仲間との大きなステージを経て単独ライブへ戻ると、改めて思うこともあるのでは。

飯塚「いろんな方と共演して、単純に楽しかった。6月の公演なんて4時間ぐらいやってましたから(笑)」

角田「オープニングのプロジェクションマッピングも凄くて。これぞエンターテインメントな演出にゾッとしたもんね」

飯塚「ゾッとしたらダメだろ!」

角田「あ、ゾクゾクだね(笑)。ゾクゾクしました! DVDでも見て欲しいな~」

飯塚「一方で、みなさん忙しすぎて稽古がなかなかという場面もある。単独ライブだと僕らびっくりするほど稽古するんで。多分業界内でもダントツじゃないかな。単独ライブはいま僕らが一番面白いと思っているネタをやる場所。がっつりやれるという意味で密度は濃いですね」

豊本「やっぱり単独ライブはホームグラウンドという意識があるので、気合いが入る」

角田「今までちゃんとやってこれたからまた単独公演が出来る。2013年から始まって、これからも3人でやり続けたい」

―――では最後に、お誘いのコメントを!

飯塚「大阪ではサンケイホールブリーゼに初進出します。いつもより多めに来て頂けるとありがたいですね。今作っているネタも設定も面白いですよ!」

角田「来ていただきたいな~。楽しいライブに絶対したいと思ってますんで!」

豊本「今回は、たまに連絡するぐらいの交友関係にまで声を掛けてみよう! もちろん来て下さった皆様に、満足して頂けるステージにしますので」

とりわけ経験値の高い30、40代の観客から熱い支持を得る東京03。2015年の笑い納めには少し早いけど、11月はアクセス便利な大阪駅前のサンケイホールブリーゼへ。きっと、あるあると膝を打ちたくなるようなコントの数々に、今年出合った理不尽な人や出来事も、まとめて笑い飛ばせている自分に気付くはず!

イベント情報
第17回東京03単独公演「時間に解決させないで」

日時:2015.11月18日(水)、19日(木)両日とも19:00開演(18:30開場)
会場:サンケイホールブリーゼ
出演者:豊本明長、飯塚悟志、角田晃広
公式サイト:http://www.p-jinriki.com/talent/tokyo03/​

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